
『私たちのブルース』3話、あらすじと感想を書きます。
*ネタバレあり
1話2話のあらすじは、以下でまとめています。
第3話 ハンスとウニ 3
ハンスとウニは、思い出の”木浦”に着いた。
ロープウェイに乗って観光して、修学旅行の思い出の場所を歩いた。
空き地にバスケットのポールがあり、ハンスはドリブルして、ボールをネットに投げ入れた。
「学生の頃の夢は、バスケットボールの選手になることだった。でも、家が貧乏だったから、親に夢の話をする前に諦めた」と話すハンス。
ウニは歌が上手だった。夢は ”歌手になること”、でもウニの家も貧乏で、母親も亡くなり、高校を中退して働き、弟4人の面倒を見て、大学に入れ結婚までさせた。
「私たちの頃は、夢を親に話すことさえできず、自分で諦めた」とウニはハンスに言うのだった。
ウニの身長は、ハンスの肩ぐらい。ハンスは、ウニを肩車して、ウニはボールをネットに入れた。
修学旅行で来た一番思い出深い場所は、そのまま残っていた。
ハンスが、露天の綿菓子を買ってくれた。
ウニは、友だちたちとはしゃぎ、走り回ったことをありありと思い出した。
ウニがハンスに”キス”をした階段もそのまま。下から見上げ、「あの頃の私たち、可愛かったね」とウニは言い、ハンスも笑顔で頷いた。
のっぽのハンスが、小さなウニの肩を抱いて歩いた。
その頃、市場では「今日、ウニ水産の社長がセリに来なかった」と噂に。
イングォンの店には、ハンスの妹が来て、朝から焼酎を注文し「兄さんはひどい、私にまでお金を貸してなんて、、いろんな人に借金を頼みまくっている」とグチをこぼした。
銀行のキム・チーム長から、同級生のイングォンとホシクに呼び出しがあった。
キムは、ハンスがお金に困っていて、ウニに金を借りようとしている、と二人に話していた。
観光を終えたハンスとウニはホテルに着いた。2つ部屋が用意されていた。
ハンスがお酒を買いに出た後、ホシクとイングォンからウニに電話があった。
「ハンスから金を貸してくれと言われたか?妹に2億ウォン貸してと言ったらしい。ハンスが別居中というのはウソ」と、ハンスの妻がSNSにアップした親子3人の写真を送ってきた。
一方、ハンスがお酒を買って戻ると、娘のボラムからビデオ通話の着信、自分の部屋で話した。
「お父さん、もうゴルフをしてても楽しくない、やめたい」と訴え、妻も「私たちは、明日ソウルに帰るわ」と言った。
ハンスは「なぜやめるんだ、あんなに好きだったゴルフを。イップスが治ればできるはず。ボラムの夢を叶えさせたいんだ」と泣いた。
ウニの部屋に戻ってきたハンス。二人はワインを飲みながら、しかし、会話が弾まない。
ウニが話し始めた。
「次は何をするの?観光して、思い出の場所に行って、二人でホテルに入りお酒を飲んだ。次は何?2人で一緒に寝るの?あるいは、ついにあんたが私を連れてきた本当の理由を話すの?一体どこまでがウソなの?お金が必要なことをさっき知った」
と携帯を差し出し、SNSにアップされたハンスの家族の写真を見せた。
「ここはソウルじゃなくて、済州よ。すぐにわかるわ。お金が必要なら貸してと言えばいいのに、奥さんと別居だの離婚だのとウソをついて、、」
「ウニ、全部がウソではない。この旅行は俺にとっても本当に大切な、そんな、、」
ハンスの話を遮り、ウニは泣きながら、クッションでハンスを叩いた。
「私を何だと思ってるの?友だちだと思うなら、最初から言うべきだった。別居や離婚の話をしたとたん、あんたに夢中な、ただのバカのように私を扱ったの。私の気持ちを利用してね」
「ああ、できることなら利用したかった。娘には金のために夢を諦めてほしくなかった」とハンス。
「私は、今この瞬間、一生の友を失った」とウニは言い、洗面所でタオルで顔を押さえて泣いた。
部屋に戻り、「帰って」とハンスに言った。
ハンスは立ち上がり、ウニの顔を見ずに、
「なぜ、最初からカネの話をしなかったか?楽しみの一つも知らないお前だ。毎日、必死に魚をさばきカネを稼いで 弟たちを養いながら生きるお前だ。そんなお前の、ただ1つの俺との思い出をカネの話で壊したくなかった、、、それでも、やっぱり、本当にごめん。謝るよ」と言って出ていった。
ホシクとイングォンからウニにまた電話、ハンスにカネを貸したのか?と訊いた。
「貸さなかった、貸さなかったわよ!」ウニは電話口でどなった。
「1つ教えて、あんたたちは私にお金を借りるのに、私がハンスに貸したらダメなの?」
「友達にウソをつくからだ」とホシク。
「理由があったのよ。友達?あんたたちが友達だと?あんたたちは騒ぎまくって、人の裏調査をしてる。私は恥をかかせた。お金があってもなくても友達なら気にかけるべきでしょ。私たちは彼の友達なの?彼は私たちを友達と言うけれど、私たちは今も彼の陰口を言ってるじゃない」と怒り泣いた。
ハンスはフェリーの上から、妻とビデオ通話をした。妻たちは、ソウルに戻るため空港に来ていた。ハンスは怒らなかった。
「正直、気が軽くなったでしょ」と妻に言われて「確かに、軽くなった。でも、いつかボラムに恨まれたらどうしよう」と。「受け入れないとね。あなたは十分にやったわ」「君もよく頑張った」とお互いを労った。
ハンスは、銀行に行き、”退職願”と”早期退職で処理”を依頼したメモをキム・チーム長の机に残し、銀行を去った。
携帯に『2億ウォン入金、チョン・ウニ』との通知、すぐに「商売に損はつきもの。今年は損が出たと思えばいい。気にせず受け取って」とウニからメールが届いた。
ウニは、プルンに戻るフェリーに乗って、一人で歌を歌っていた。
そしていつも通りの、忙しい日常へと戻った。
”チェ・ハンス様から2億ウォン送金”の通知が、そしてハンスからのメール。
「ウニ、カネは送り返した。割りに合わない人生を送ってきたお前に、今回だけは損をさせたくない。
カネは送り返すが、お前の気持ちは受け取った。
ウニ、今回の俺の済州島生活は儲けものだったよ。お前や、思い出の中にいた友達と再会できたから。
まずは傷ついて戻った家族とあちこち車で旅行して、そのうちどうやって食べていけばいいか考えつくだろう。
またつらくなったら、済州のお前や友達を思い出すよ。何をするにせよ、お前たちよりは楽だと思う。
俺たちがまた会ったら、済州の海辺で、ヤツらと一緒に楽しく焼酎でも飲もう。
俺のおごりでな。その時は、歌ってくれ。その日を楽しみに。ウニの一生の友、ハンスより」
「そうね、必ず来て盛大にごちそうして。済州の海辺で待ってる。体に気をつけて」
ウニは簡単に返信した。そしてノートを出し、
”私の永遠なるの初恋の人” ”チェ・ハンス、、、” ”さよなら” と書いた。
カラオケで、”ウイスキー・オン・ザ・ロック” を歌った。
〜🎤 その日は誕生日だった 過ぎて思った〜 年を取るというのは 悪いことだけじゃないわ〜
ー ハンスと再会した交差点、同窓会のカラオケ、木浦へのフェリー、綿菓子、、、一コマ一コマが脳裏に浮んだ ー
感 想
じんわりと沁みるお話でした。
2回見ないと、私には、ウニとハンスが木浦のホテルで交わした会話の意味が分かりませんでした。ハンスが部屋を出た後、ウニがホシクとイングォンになぜ怒ったのかも。
ハンスは、ウニが高校時代の初恋の思い出を大切にして、割りの合わない人生を懸命に生きて来たことがわかっていた。そんなウニの思い出を壊したくなかった、でもウニを利用しようとしている、そのことに葛藤もあり、、。
ウニは、ハンスのことを告げ口してきたホシクとイングォンに、友達なら、ハンスのことも気にかけるべきなのにと怒ったのだ。その告げ口を信じて、ハンスを傷つけたことに自分も傷ついたのだと思う。
ハンスは、帰りのフェリーのデッキで、妻とビデオ通話をした時、初めて安堵の顔になりました。「自分のように、娘に夢をあきらめてもらいたくない」という呪縛から解放された顔に。
ハンスは、2億ウォンをウニに返しましたが、その気持ちは受け取りました。そのウニの気持ちや、済州での友達との再会の思い出が、これからの彼の人生の応援になります。
ウニにとって、今回の木浦の旅は、、今は、ちょっと苦い思いかもしれないけれど、歳月が経つと、また深く心に残る思い出になるだろうと思います。
輝く青春の思い出だけじゃなく、切ない思い出もまた、宝物だから。
ウニの人生に心からの応援を送りたいです。
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