『ペーパー・ハウス』シーズン1&2 感想【スペイン版と韓国リメイク版を比較】*ネタバレあり

『ペーパー・ハウス』スペイン版シーズン1と2を視聴しました。韓国リメイク版を見てから、オリジナル版を見ましたが、すごく面白いです!オリジナル版とリメイク版を比較しながら、概要、感想を書いてみます。

*ネタバレあり


「ペーパー・ハウス・コリア」のあらすじは以下でまとめています。

全体的に

両方とも、教授が8人の仲間と、造幣局を占拠、大金を印刷して盗み出すという基本は同じ。

首謀者は「教授」と呼ばれ、実際に造幣局入っていく強盗8人は、それぞれ”都市名”で呼び合う。

韓国リメイク版は、近未来2025年に韓国と北朝鮮が統一された時に作られた JEA (共同経済区域)で、”統一通貨’を発行している造幣局を狙うと設定し、オリジナル版と違いを出したのかなと思います。”造幣局”は、新しくて綺麗です。

北朝鮮と統一がベースでドラマが展開。強盗も人質も警察関係者も、北と南の両方からの出身者がいます。

スペイン版では、そういう政治背景はない。しかし、シーズン1、2の回数が多い分、強盗に入る前の共同生活の映像などから、人物のバックグランドや関係がより詳細に描かれていました。

マドリッドの”王立造幣局”、建築物は歴史と伝統があり古く、中は薄暗い感じです。スペイン版での、ワインや食事の場面、哀愁ある音楽などが、素敵で、映像が映画的に感じました。

両方とも、強盗が、警察の情報操作(世論の敵意を強盗に向けるように、意図的に間違った情報を流した)をあばく場面があり、世論は強盗に味方しました。

スペイン版では、ダリの仮面が流行り、人々は強盗団を支持し、”義賊”として賞賛された。社会の不公平さに怒りを持つ人々の心を掴んだ、ということでしょうか。

登場人物の比較 (S版はスペイン版、K版は韓国版)

強盗団

教 授

両方とも、強盗の首謀者。現場から離れた場所から、強盗団に指示を出す司令塔。

S版:強盗の計画は、教授の父が考えた。父は実際に銀行に強盗に入り、警察に射殺された。教授は、外からの司令だけでなく、警察の動きを察知して、警察の目を誤魔化すために色々と活躍します。

K版: 本当に元”教授”で「南北が共に豊かになれるという”欲望”で南北の統一が可能」と講義をしていた。しかし現実は「北朝鮮の開放で、みんなが豊かになるのではなく、金持ちだけがより金持ちになっただけ」。そして彼はこの計画を思いついた。

トーキョー

ナレーションを担当。S版とK版で、一番性格が違っているのが ”トーキョー” だと思いました。

S版:主人公らしいです。別の強盗中に恋人が殺され、警察に追われる身となるが、教授に救われ、強盗団の一員になる。度胸があるが、短気な性格で、自分で勝手な行動を起こし、現場を混乱に陥らせることも。教授から”恋愛禁止”と言われているが、”リオ”と恋愛中。教授を「守護天使」と呼び尊敬している。

K版:北朝鮮出身、BTSのファンで元アーミーにも所属していた。南北統一で、希望を抱いて南に移動したが、移住者を喰いものにする悪徳業者に騙され、逃亡中。指名手配を受け、絶体絶命の時に教授に助けられ、強盗団の一員に。 ”教授”を信頼し、このプロジェクトの達成を一番に考えている。

ベルリン

S版:造幣局でのリーダー。冷酷で知的、挑発的な性格。病気のため、余命宣告を受けている。教授と一緒に長年かけて、造幣局襲撃計画を立てた。最後に紙幣を持って逃亡する場面で、強盗団の砦となり、撃たれて亡くなる。

K版:脱北者。9歳の時、母と脱北を図り失敗、母は射撃された。生きては帰れないと言われる収容所で25年を過ごしたのち、脱走。人間を完全に押さえ込むには、恐怖を植え付けるしかないという考えの持ち主。なぜ教授と知り合ったかは分からない。

モスクワ

両方とも、元鉱山の労働者で、すごく腕力がある。造幣局から逃げるための、秘密の抜け道を一人で掘っている。

S版では、警察との銃撃戦で撃たれて、亡くなってしまう。

デンバー

モスクワの息子。両方とも、モスクワは教授に誘われ強盗団になったが、デンバーは、父が教授に「息子も加えてもらいたい」と頼んで、強盗の一員になった。

両版とも、造幣局の人質の秘書と恋愛関係になる。

リ オ

両方とも、最年少で最強のハッカー。

S版では、リオとトーキョーは恋愛関係。

K版では、リオはトーキョーのことが好きだが、トーキョーは相手にしていない。後半で進展があるかもしれないが。

ナイロビ

両方とも、偽札製造の専門家で、現場で、紙幣印刷の指揮を取る。

S版では、生き別れた一人息子がいる。

K版では、ナイロビの過去や背景についてはまだ何も語られていない。

ヘルシンキとオスロ

両方とも、強靭な肉体を持つ男たち。

S版では、二人はいとこ。オスロは、人質が逃げるのを阻止しようとして殴られ、死亡した。

K版では、同地域出身の仕事人コンビ。二人の過去はまだ何も語られていない。

警察関係者

両方とも、教授との交渉人は女性で、2人とも教授と恋愛関係になる、という中々、興味深い展開です。

S版:ラケル・ムリージョ:国家警察隊、交渉役 

ラケルの娘はまだ小さく、認知症の母と3人で暮らしている。元夫は、警察官で鑑識のプロ。元夫の家庭内暴力で離婚。元夫は、ラケルの妹と暮らしていて、娘を引き取りたいと言ってきた。

ラケルは、長年、夫のDVに耐えていた。こんなにキャリアがあり、自立している女性でも、夫のDVに耐えるのか、スペインでも、まだ男性優位の社会なのだろうかと考えさせられました。

ラケル行きつけの店で、偶然、教授に出会った。もちろん教授は最初から、ラケル目当てで店に来ていた。警察の動きを知るためだったが、二人は、本当に恋に落ち、愛し合うようになった。

最終的に、ラケルは教授のアジトを知りながら、警察に教えず、教授の味方になり、彼が逃亡した島に追いかけていきます。シーズン3から”リスボン”という名前で、強盗団の一員になる様です。面白いですね!

K版:ソン・ウジン:危機交渉チームリーダー(南)

ウジンの娘は高校生で、認知症の母と3人で暮らしている。娘の親権をめぐって元夫も裁判中。元夫は、国会議員、”南北統一国家の大統領” に最も有力と言われている実力者である。

教授が、造幣局の近所に2ヶ月ほど前にカフェをオープン、ソン・ウジンに近づいた。プロジェクトを成功させるためである。しかし教授は、ウジンを本気に愛し始めたことに気づき、動揺している。教授の正体を知らないウジンは、彼を信頼して、すでに愛している。

後半6話で、二人の関係がどうなるのか、とても興味があります。ウジンが、教授の正体を知った後、どうするのか?教授を愛していたとしても、警察を裏切り、強盗側に付くとは思えませんが、、。

S版: アンヘル:ラケルの同僚 

アンヘルは、ラケルの同僚で、15年も一緒に仕事をしてきた人物。結婚しているが、ラケルのことを愛している。しかし、強盗団との交渉中に、大切な情報が相手側に漏れ、何度も後手後手になったことで、ラケルはアンヘルを疑ってしまう。

一方、アンヘルは、ラケルに近づいてくる教授を怪しく思い、独自で調べ、彼が犯人であるという決定的な証拠を掴んだ。しかし、ラケルから裏切り者と言われ、泥酔して運転をして、交通事故で意識不明になってしまった、、。

K版:  チャ・ムヒョク:特殊作戦部隊大尉(北)

ウジンと一緒に働くチャ・ムヒョク。南北統一の象徴である造幣局が乗っ取られたことで、北側から派遣された人物で、今回初めて二人はチームを組む。

二人の間には、友情や恋愛関係はない。

チャ・ムヒョクは、最初の頃、ウジンが、強盗団と通じているのではと疑ったが、今は、コーヒーショップのソノ氏(教授)を疑っている。6話の最後、チャ大尉が、教授の家を訪ねた、という衝撃の場面で、前半が終了しました!

簡単に、教授の正体がバレるとは思いませんが、教授とチャ大尉の対決も見ものです。

人 質

造幣局 局長

S版: アルトゥーロ

K版: チョ・ヨンミン

局長秘書

S版: モニカ

K版: ユン・ミソン

人質として、一番、強盗団に抵抗しようとするのは、局長。両局長とも、秘書と不倫をしている。

モニカ(S版)は、妊娠している。

ミソン(K版)は、妊娠していない。

モニカ、ミソンとも、局長の指示で、スマホ、スマートウォッチで、警察と連絡を取ろうとしたのをベルリンに見つかる。ベルリンが、デンバーに殺すように指示したが、デンバーは殺したフリをして、S版ではモニカ、K版ではミソンをかくまった

S版では、その後、モニカとデンバーが愛し合う様になり、最後は、モニカは警察に銃を向けて、デンバーと共に脱出。モニカは”ストックホルム”という名前で強盗団の一員に。

K版でも、ミソンとデンバーの間に愛が芽生えた。後半、この2人もどうなるのでしょう?

両方とも、局長がモニカ、ミソンに危険なことをさせてようとして、身勝手でしたね。危機的状況で自分を助けてくれる人を好きになるの事を、”ストックホルム症候群”と言うらしいです。モニカの強盗名はそこからきた様です。

大使の娘 他

S版: アリソン:英国大使の娘

K版: アン・キム:アメリカ大使の娘

造幣局を乗っ取る日は、高校生の社会見学があり、そこに大使の娘が含まれていることが重要だった。S版では、英国大使の娘、K版では、アメリカ大使の娘が人質になる。

その他の人質では、S版の方が、人質に対する描写が多かったと思います。命を守るために、自分をベルリンに差し出す女、高校生の引率の女教師などが、印象的でした。

最後に

スペイン版では、人質は全員無事で、強盗団たちは、3人〔オセロ、モスクワ、ベルリン〕の犠牲を出したが、大金を盗んで、世界中に散らばっていきました。概ね、プロジェクトは成功した!ということでしょう。

韓国版、後半6話はどんな展開になるのか? 同じように、何人かは犠牲になってしまうのか?

スペイン版を見た後で気づいたこと

スペインは他の国々と陸続きだから、脱出しやすいのではないか、隣国に行ってから飛行機で高跳びすることも可能。

しかし、韓国では、強盗に成功したとしても、その後の逃亡経路はどのように確保されるのか?地理的に、とても不利なのでは?

もう1つ、通貨の問題。ユーロは、世界中どこでも通用する通貨。しかし、新しい”南北統一通貨”は、どれほど世界に通用するのか?

その辺りのことは、ドラマで語られるのか? 全く語られないのか?

「ペーハー・ハウス・コリア」の前半6話を見て、「ペーパー・ハウス(オリジナル)」を見た後、コリアの後半6話の配信を待つ、どんな後半が用意されているのか楽しみです。

お読みいただきありがとうございました。

Drama
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