Netflix『阿修羅のごとく』1話~7話(最終回)までのあらすじと感想、面白いセリフや場面  *ネタバレあり

出典:Netflix

2024年1月9日に配信されたNetflix 日本ドラマ『阿修羅のごとく』。向田邦子の脚本で1978年にNHKで放映された傑作を、是枝裕和監督が向田邦子の脚本をほとんどそのままにリメイクしたドラマ。簡単なあらすじと、面白いと思ったセリフや場面をピックアップしていきたいと思います。

*ネタバレあり

登場人物とキャスト

三田村綱子(長女):宮沢りえ

里見巻子(次女):尾野真千子

竹沢滝子(三女):蒼井優

滝沢咲子(四女):広瀬すず

里見鷹男:本木雅弘

勝又静雄:松田龍平

陣内秀光:藤原季節

竹沢恒太郎:國村隼

竹沢ふじ:松坂慶子

枡川貞治:内野聖陽

枡川豊子:夏川結衣

赤木啓子:滝内公実

陣内まき:高畑淳子

土屋友子:戸田菜緒

土屋省二

里見宏男

里見洋子

第1話 あらすじ

1979年 昭和54年 1月

竹沢家の三女滝子は、姉妹たちに「大事な話がある」と電話した。次女の巻子の家に長女の綱子滝子、そして四女の咲子が集まった。

綱子は未亡人、成人した息子は遠くに住んでいる。生花を教えている。枡川という料亭も花を担当しているが、そこの主人の貞治と不倫中。

巻子は夫と子供2人がいる家庭の主婦。

滝子は図書館司書。黒縁の眼鏡と地味は服装をして生真面目な性格、男っ気はなし。

末っ子の咲子は、まだ目が出ていないボクサーの陣内と同棲中。

滝子は父 恒太郎が、女性と小学生ぐらいの男といるのを見て、興信所の勝又に調べてもらった。その書類と写真を持って来ていた。

滝子が「お父さん、面倒を見ている人がいる」と言ったが姉妹たちは信じない。

父はかぞえで70だし、”火木の人(火曜と木曜にお情けの仕事をしてる)”と言われ、お金もないと。

滝子は「女は40で土屋友子、子供は男の子で小学2年性」と言って封筒を出したが、巻子たちは書類を見ようとしなかった、みれば本当になるからと。

その間にも、揚げ餅を食べた綱子の差し歯が抜けたり、咲子はTVでボクシングの試合を見ようとしたり、みんなバラバラ。滝子は「お母さんが可哀想」とムキになって怒ってたが、咲子は「夫婦の問題だと思う」と冷静。二人が言い争っている時に封筒から写真が落ち、姉妹たちは父が男の子とメリーゴーランドに乗ってる写真を見てしまった。

”どんなことがあっても母には知られないように”ということで一致した。


翌日、巻子は父のことを相談に綱子の家に行った。

チャイムを鳴らすと、綱子と男の声が聞こえた。綱子が戸を開けると後ろに半裸の枡川貞治が立っていた。2人は巻子を、出前のうなぎが届いたと思ったのだ。

巻子はすぐに帰ったが、綱子が走って追いかけてきて家に連れて来た。男はもういない。

綱子はもう差し歯を入れていた。綱子は巻子に秘密を知られ、ののしったらどうなの?と迫ったが、巻子は、うちの夫も浮気してると打ち明け、二人はお腹が空いたと先ほどの出前のうなぎを食べた。

2人は、父の浮気相手に別れてもらおうと50万を用意して女のアパートの近くに行ったが、むこうから当の友子と息子が歩いて来て、何も言えなかった。友子は2人が誰か知っていた。


ふじは、夫のコートのポケットからおもちゃのパトカーを見つけ、、、力一杯投げた、それが襖に突き刺さった。


咲子はふじを、間借りの部屋に呼んで、同棲しているボクサーの陣内を紹介した。母に心配事を増やして、万が一父のことを勘付いてもそれほど思い詰めないようにと考えてのことだった。


陣内は「タイトル取るまで我慢」と咲子に言いながら、夜 彼女に襲いかかり、咲子からお説教された。


鷹男は興信所の勝又を呼び出し、義父のことはなかったことにしてほしいと頼んだが、勝又は断った。そこに滝子が来て、勝又から土屋友子の戸籍謄本を受け取った。小学生の男の子は父の子供ではなかった。滝子は、私たちは4人姉妹だった、と涙を流した。


鷹男は女たちが留守の時に、恒太郎(義父)に会いに来た。「火のないところに煙が立ってるんじゃ?」と聞いたが、「火があるから煙が立つ、身から出たサビ」と義父。

「謝りますか?」と鷹男が聞くと、「いや、謝ってすむことじゃないだろう」と義父は言った。

その頃、ふじは4人の娘たちと文楽を鑑賞していた。『日高川入相花王 渡しの場の段』、”ねたましや~”で女の人形の口が割れて鬼の血相に、、。

ふじと娘たちは、恒太郎と鷹男と出前の寿司を食べた。女たちの会話はとりとめない。

鷹男がふすまに桜の穴ふさぎが貼ってあるのに気づいた。「この家でもふすまを破くことがあるんだな」と言うと、「そりゃあるさ 人間だもの」と恒太郎は笑った。ふじはすまして寿司をほおばっている。

感 想

四女の咲子が一番大人だと感じました。

一番、恐ろしいのは、お母さんのふじさん。平気な顔をして暮らしているふじの心の中に渦巻く”情念”、それを文楽でそれを表現してるのが秀逸です。しかしふじさんは、鬼になんてならず、微笑んだまま寿司を頬張る。自分の浮気のことを、ふじが知っていることを、知っている恒太郎もにこやか。このあたりがなんとも言えず、面白いです。

”情念”なんてことば、現代では死語のように思えます。

尾野真千子さんの顔芸、〔揚げ餅を口一杯に頬張ってカリカリと言わせて食べる、綱子の情人がお金を払ったうなぎを口いっぱいに頬張る〕が面白かったです。

第2話 あらすじ

1979年 昭和54年 2月

巻子は夢をみた。 ”父 恒太郎が白装束で切腹をしようとしている。姉妹4人はパジャマの上から腹巻きをして「やめて」と叫んでいるが、〆縄が張ってあり入れない。母ふじはせんべいを食べながら針仕事をしてる”という夢。

巻子は鷹男にそれを話して2人で大笑いしたが、父が自分の子供でもない男の子に「パパ」と呼ばせて、母を7年間もだましていたのが許せない。鷹男は、夢の中でおっとり構えてる義母が利口だと言った。

しかし、その日の朝刊の投書に姉妹たちは慌てた。

”うちは3人姉妹だが、つい最近、老いた父に密かに付き合っている女性がいることが分かってしまった。老いた母は何も知らず穏やかに暮らしている。私の夫もそろそろ40代、、、”と。

巻子が投書したと他の姉妹たちは思ったが、巻子ではない。

巻子は綱子が投書したと思い電話した。枡川貞治と1泊旅行の朝帰りをした綱子は、急いで電話に出たが、投書は綱子でもない。2人は、池上(実家)も毎朝だから、母が投書を読むのではと心配になった。

恒太郎が縁側で爪切りをしていた。ふじが爪の下敷きに新聞を出した、今日の新聞の投書のページを開いて。


綱子は、料亭枡川の貞治と豊子に呼ばれた、生花の仕事は終わりという話だった。貞治が出した封筒を綱子は手切金だと勘違いしたが、今月分の謝礼だった。豊子は「気の利いたものがなくて」と魚の干物を出した。それは2人の不倫旅行の土産だった。綱子は貞治に腹を立てた。

そこに鷹男が来た、彼は勝又と滝子をここに呼び、2人を仲を取り持とうとしていたが、滝子は怒って帰り、勝又は彼女を追いかけた。

勝又は滝子の姿をガラスを隔ててみた。平行に歩くが、声が聞こえない。彼はガラスに息を吹きかけて、”好”、”愛”と書いた。滝子は”バカ”と書いて2人で笑った。


咲子は陣内のボクシングの試合を見に来たが、陣内は劣勢で、怖くて見ることができない。父が来て咲子の隣に座った。陣内はボコボコに打たれて倒れた。咲子は席を立った。試合終わり彼女は戻った。陣内は、「なぜ席を立った、ボクシングは殴られるのが商売」と咲子に怒った。


綱子の家の前では、貞治が「開けてくれ」と戸を叩いていた。


巻子は池上に母に会いに来ていた。

彼女は変な夢を見たし、投書のこともあり、綱子、滝子、咲子に家族会議をしたいと電話し、全員が池上にそろった。しかし父は夜になっても帰らない。今日は節分、4姉妹たちも豆まきをして気を紛らわせたが。

巻子は父がまだ帰らないから、公衆電話から鷹男に電話してアパートに見に行ってもらった。隣の人が、土屋さんは病院、夕方子供さんがケガしたと教えてくれた。

4姉妹は、お父さんに万が一のことがあったら、と心配しながらも、お腹が空き夜遅くおにぎりを握っていた。

その時 戸が開き鷹男が入って来た。「子供がバイクにやられてケガして病院、だが大したことない、帰ってくる」と言った。

明け方近く、恒太郎が家に戻ると家の前に陣内が立っていた。咲子が地図を書いたのを頼りに来たようだが、恒太郎を見て逃げた。

恒太郎が玄関を開けると4姉妹が待っていた。父は無精髭が伸びていた。

巻子が玄関で、毎朝新聞の4コマ漫画が描かれた靴ベラを見つけ鷹男に見せた。2人は投書したのは母だと分かった。母は知ってたのに、知らないフリをしてたのだ。鷹男は巻子に「投書はお前が書いた、それでいいじゃないか」と言った。

感 想

巻子さんのご主人の鷹男さん、妻の実家や姉妹のためによく動く方ですよね。

滝子と勝又をくっつけようと料亭に呼んだり、帰ってこない義父を探しに愛人のアパートまで行ったりしてあげて、えらい人だなと思います。昭和の家族関係(義理家族も含めて)の濃さを感じます。

綱子と貞治の関係を料亭の女将が知って、綱子はクビになった。綱子は貞治のやり方にハラがたち、貞治と間違えて鷹男に怒り、不倫のことが鷹男にバレました、でも開き直って笑ってました。綱子と貞治の関係は妹夫妻にも、女将にも、近所にもバレバレです。

夫の浮気旅行の土産の『魚の干物』を、浮気相手の綱子に渡す女将もイケズです。

新聞の投書はふじさんでした。娘たちが夫の浮気のことで集まってコソコソしていることも全てお見通しで、”知らないフリ”をしながら、こう言う形で、自分が知ってることをみんなに知らせる、やっぱり一番怖いのはふじさんでした。夫が朝まで帰らなくても、平気な顔をしてるのもすごいです。

第3話 あらすじ 〔神回

1979年 昭和54年 3月

咲子は勤め先の喫茶店で倒れた。巻子が咲子を迎えに行った。咲子は減量中の陣内に付き合って、数日ほとんど食べていなかったのだ。

2人が咲子のアパートに帰ると、入り口に出前のラーメンの空の器が2つあり、中から陣内と女の笑い声が聞こえた。

咲子がドアを開け、女に帰ってくださいと言った。そして陣内に「この人のことはいい。でもこれは許せない」と空のラーメンの器を陣内の前に出した。

巻子が「この子 店で倒れた、あなたが減量してるのつらくて見てられないからと数日 食べてない」と言うと、陣内は、「そんなこと誰も頼んでない、そう言うのを独りよがりって言うんじゃない」と怒ってふてくされた。


巻子は咲子を自分の家に連れて帰り、山盛りのご飯とギョウザを食させた。

巻子は「ラーメンか女の人か、100歩譲ってどちらか1つならまだ許せるけど、、別れたほうがいいんじゃ、ねぇ」と鷹男に同意を求めたが、

「ひっぱり込んでた女って、顔立ちのぼんやりした、服もセンスも良くない、化粧も上手じゃない、、咲ちゃん怒るかもしれないけど、分かるんだよな、これ(とボクシングのフリをして)の気持ち。咲ちゃんみたに気ぃ遣われたら、男としちゃかえってつらいよ。(小説家の例をだし)亭主が油汗流して苦しんでも、鼻ぼこちょうちんで寝てる、そういう女房のことを亭主はバカだどうのと悪口を言うよ、でもさ、心の中ではほっとしてんだよ」と鷹男は言った。


勝又は図書館に行き、残業中の滝子にあんぱんと缶コーヒを届けた。勝又は机の上の、「漱石全集第三巻」の「虞美人草」を朗読した。

滝子は、”虞美人”とは中国の歴史上の人物、“草”がつくと植物で、”虞美人草”は”ヒナゲシ”と本を整理しながら、勝又に教えてあげた。


勝又は滝子との帰り道、カップルたちがデートしてる暗い公園に来た。

そして林の奥で、「これなかったことに。お父さんの浮気調べてたのが付き合いのはじめだったなんて嫌なんです」と言うと、滝子の父の素行調査の書類と写真を地面に落として、その上から液体をかけて🔥をつけた。しかしその火が大きくなって、周りの人たちが騒ぎ出した。


巻子の家に電話が、警察からだった。咲子は陣内がどうかしたのでは?思ったが、滝子だった。

鷹男が警察に行くと、勝又と滝子は「公園でたき火って、立派な軽犯罪法違反だよ」と警官にしぼられていた。2人の顔はすすでよごれ、警察の机の上には燃え残った書類や写真が置かれている。

鷹男が名刺を出し「実はですね、70になるおやじに愛人がいるらしってことで、興信所に頼んで調査してもらっているうちに、縁は異なものと申しますか、、、これ以上親の恥を調べるのはということになりまして」と話すと、警官は「ああ、そういうこと」と納得。そして興味津々に燃え残った写真を見た(ハハハ)。

勝又は滝子を家に送った。滝子は勝又が手にやけどをしているので、部屋に入れて手当してあげた。勝又が滝子に「きれいです」と言い、2人はお互いの眼鏡をとって抱き合ったが、、、勝又の眼鏡が壊れてしまった。


咲子は誰にも言わずに巻子の家をでて、アパートに戻った。陣内はいじけている。

咲子が部屋を片付けはじめると、陣内は「帰れよ!」と叫びながら、咲子の足にしがみついて泣いた。

「私もう逃げないから、英ちゃんも逃げないで闘って。チャンピョンになってよね、なって今まで見下してきたヤツのこと見返してやんのよ」と咲子は言った。


翌日、鷹男は大阪へ出張に出かけた。

巻子はひと通り家事を終えて、りんごを食べながら編み物をしてた、電話が鳴った。

鷹男だったが、巻子は口にりんごが入っていてしゃべれない。

「あっ、俺、新幹線までまだ時間があるから昼メシ一緒に食おう、これからアパート行くわ、もしもし」と。しかし返事がない、鷹男は”あれ?(ミスった?)”と言う顔。

巻子は、フフフと笑い「間違えたんだ」と。


恒太郎は友子の家で、省司とゲームをした。友子がハンバーグとお味噌汁の食事を運んできた。省司がまた遊園地でゴーカートに乗りたいと言ったので、恒太郎はいいよと約束した。


巻子と綱子は池上に行き、母の白菜の漬物を漬ける手伝いをした。

巻子が母に、「鷹男が浮気してるけど、私黙ってるの」と言うと、母は「女は言ったら負け」と言った。

漬物の手伝いが終わり、巻子と綱子は甘党のお店に行った。

巻子は「お母さんにはかなわないわ。女もあの年になると妬ましいとか憎いなんて気持ち超越してられるのね」と言うと、綱子が「あんたはお母さんに似てるわ。私には絶対無理、”見ぬこと清し”なんて」と言った。


巻子はひとりでぼんやり歩いている内に、なぜか友子のアパートの前に来てた。

足音が聞こえ前を見ると、母が買い物かごを持ってアパートを見上げていた。振り返り巻子に気づいた母は、よろけて、、、倒れた。巻子が「お母さーん」と駆け寄った。かごから落ちた卵が割れて道にひろがった。


恒太郎は友子と省司を連れ、遊園地に行っていた。省司がひとりでゴーカートに乗ってる時に、友子が恒太郎に「結婚しようと思ってます」と言った。


枡川豊子が、綱子の家に、夫が伺ってるのではと談判にきた。綱子は否定したが、豊子がゲタ箱を開けようとしたのを力づくで止めた。

豊子がピストルを出した、綱子は後ろに下がった。貞治が出てきて「バカな真似はよせ」と言ったが彼女がピストルを自分に向けたので、綱子の後ろに隠れた。

豊子が引き金を引いた。綱子は倒れた、着物の襟に水がかかった、水鉄砲だった。豊子は狂ったように笑って外に出ていった。

その時電話のベル、巻子からで母が倒れたと。綱子は「お引き取りを」と貞治に怒って言って病院に向かった。


病室には4姉妹と鷹男がいた。母は眠っていた。父の恒太郎が駆け込んで来た。

巻子は、「お母さんは知ってたのよ、買い物かご下げてあの女のアパートの前に立ってたのよ!。お母さんは口で言えないぐらいやきもち焼いてたのよ」と泣いて父をなじった。

恒太郎は静かに妻のベッドの横に来て、「ただいま。母さん、結婚するそうだ、フラれて帰ってきたんだ」と言って笑った。

娘たちと鷹男は病室を出た。咲子が「2人に結婚の報告、生まれるの」と姉妹たちに言って、病室に入ろうとしたが、恒太郎のむせび泣きが聞こえた。


夏になった。

咲子のお腹は大きくなっていた。家族は母ふじのお墓参りに来た。勝又、陣内、巻子の子供たちもいた。

勝又は漱石の「虞美人草」のおしまいの部分を滝子に話した、”ここでは喜劇ばかり流行る”と。

感 想

3話、神回だったと思います。

やはり脚本がすごいですね。4姉妹と母にもいろいろなことが起きますが、シリアスでありながら、おかしみがあるんです。

また鷹男が活躍でした。

咲子が陣内の減量に付き合いに倒れて巻子の家に来た時に、咲子に言ったセリフが最高でした。

出張の日には、浮気相手と間違えて巻子に電話する大チョンボをしてしまいましたが。

公園でたき火した滝子と勝又を迎えに行って、警察に「70になるおやじが、、、」と話はじめて、警察をうまく説得しましたよね。これにも感心してしまいました。

鷹男のような人を”ねれれてる人”って言うのでは?と思うのですが、こういう何気ない人物を描ける脚本がすごいと思います。


滝子と勝又の不器用さがいい感じです。あんぱんと缶コーヒー、夏目漱石の「虞美人草」までは良かったけど、公園でたき火って、バカね、二人とも顔に煤つけて警察で絞られてるけど、あんまり反省もしていない、鷹男さんのおかげ帰れました。


小ネタ:恒太郎さん、友子のアパートではカジュアルなトレーナーを着てましたが、遊園地ではシャツに着替えてました。着替えてて良かった、病院にあのトレーナーでは行けませんから。


ふじさんが女のアパートの前で、買い物かご下げてじっと部屋を見上げていた。それを娘の巻子に見られてしまった、、ふじさんの心情はいかばかりだったでしょう?娘には見られたくなかったでしょうね。

恒太郎さんが、病院の妻のベッドの横に来て、「母さん、フラれて帰ってきたよ」と言うセリフもすごいです、これ以上のセリフはないです。

でも、まさかふじさんが亡くなる展開になるとは思っていませんでした。

「虞美人草」の最後がドラマの最後に使われてました。

”ここでは喜劇ばかり流行る”、でも、ふじさんの死は悲劇だった?

第4話 あらすじ 

巻子はスーパーで無自覚で万引きしてしまった。「主人に付き合っている女の人がいて、赤木啓子って名前が分かってから、うちにいられなくて、、」と話すと許してもらえた。家に帰ると、池上の父がボヤを出したと電話が来た。

勝又は滝子と「ロッキー」を見た後、滝子のアパートに来たが、中に入るかどうか揉めてる時に電話が鳴った。

咲子は陣内がチャンピョンになったようで、立派なマンションに引っ越していた。”勝利(かつとし)”という男の子が生まれ、陣内の母も同居中。電話が鳴った。

綱子も貞治が来てる時に、鷹男から電話でボヤのことを知った。


巻子と綱子は父の家の前で、近所の人から「火でも出したら一軒では済みませんから」と苦情を受けていた。咲子はすごいスポーツカーで毛皮を着て到着した。滝子は手拭いを姉さんかぶりにしていた。

4人が家に入ると居間の奥に父がいたが、そのあたりは水浸し、ボヤの原因は寝タバコ。娘たちがうるさいので、父は奥の部屋に逃げた。

姉妹たちは濡れた部屋を片付け始めたが、また滝子と咲子の口ケンカが始まった。

咲子は疲れて寝た。「お父さんが愛人を作らなかったらお母さんはまだ生きていたかな?」と滝子が言うと、綱子は「寿命だったのよ」と。しかし巻子は「違うわ、お母さんのあの時の顔が忘れられない」と言った。綱子は、「子供の頃、お父さんは戦争未亡人と付き合ってたこともあった」と話した。

隣で何か割れる音が、恒太郎が電気もつけずにお酒を取ろうとし酒瓶を割ったのだ。娘たちがうるさく言うから、父は怒ってお酒もタバコも庭に捨てた。

明け方、恒太郎はこっそり家を出た。

姉妹たちが朝ごはんを食べているとチャイムがなった。巻子は鷹男が来たといそいそと出たが、勝又だった。滝子は「何しに来たのよ」と勝又に冷たく言った。

姉妹たちは、母の着物の形見分けを始めた。着物の下に、何枚かの”絵”が入っていた。姉妹たちは衝撃を受けた、綱子が「お母さんがお嫁に来た時もってきたのよ」と言った。


恒太郎は鷹男の会社に行った。

鷹男がタバコを勧めてくれた。「やめることにしたんだが」と言いながら、恒太郎は1本もらった。

「絞られたでしょ。女4人がドジだった。次は男の子と期待して?」と鷹男が聞くと、恒太郎は「バアさんがそう思ってたようだ」と言った。

帰り際、鷹男は義父に「うちにきませんか?」と言ったが、恒太郎は「自分のうちで死にたいよ」と言って帰った。


洋子は父と映画を見る約束だったので、鷹男の会社に来たが、父は急な会議でいけない。赤木啓子が洋子に付き合うことになり、彼女は巻子にその由電話した。

赤木は映画の後、洋子をフルコースの食事に連れて行った。洋子は赤木に秘書について聞いた。洋子は両親のことを話した。

洋子は家に戻り、赤木に買ってもらったブローチを巻子に見せた。

「素敵だな、あの人。足なんかスーッとしてんの」と言うと、巻子は「若い時は私もスゥーとしてたわ」と言った。


咲子は陣内に「愛がなくなったら別れようね」と急に言った。彼女は綱子から、父に自分が生まれる前にも愛人がいたと聞き、ショックを受けてた。

「そういう人がいて、家に帰ってきてもお母さんと、切ないでしょ。男の子が欲しいからって、無理して」と言うと、陣内は「無理はしてないんじゃない。好きだったんだよ、二人とも。お前も望まれて生まれてきたんだよ」と咲子を元気付けた。


鷹男は巻子に、恒太郎の面倒を俺たちで見てもいいと言ったが、巻子は「下宿人を置いたらどうかしら、勝又さんと滝子、この辺でまとめないと」と言った。

巻子は母の形見の大島を着ていた。

「着物の隙間からすごい物出てきたんだから、絵。お母さんのタンスの引き出しの中にそういう絵、19でお嫁に来て、それからずっと死ぬまでタンスの底にあるってことは、ここにあるってことよ」と巻子は胸を抑えた。立ち上がる巻子の脚を鷹男がつかんだ。


夜、滝子はメイクをしてつけまつげをつけて、綺麗な下着をつけて布団に入って泣いた。ドアをノックする音、勝又が「急に顔が見たくなって」とドアの外で言った。滝子はドアを少しだけ開けて右手だけだした。勝又はそれにキスをした。「この次」と滝子は言ってドアを閉めた。


綱子は着物に包まれた。

感 想

4話は、3話の終わりから少し時間が経過したようです。

いきなり巻子が万引きをしたところから始まりましたが、彼女は夫の浮気相手の名前が分かり、苦しんでいる。

咲子の家は、陣内がチャンピョンになり子供も生まれ、いい家と車にも乗り、生活のレベルが上がってました。

滝子はそんな咲子に嫉妬している。

綱子は貞治との関係がまだ続いている。

そこに父がボヤを出し、4姉妹がまた集まった。父の家を片付けながらの4姉妹のうだうだ話、この脚本すごいですね。

そして、母の形見分けをしていた時に、タンスの奥にしまわれていた”絵”を見つけて、、、

姉妹がそれぞれ、その絵と、母がずっと持っていたということに、心を乱されていく。

最後の巻子と鷹男の日常から非日常に移っていくような会話と夫婦の関係はエロティックで、滝子と勝又、着物に包まれる綱子とその映像も、官能的でした。

その表現方法は面白いと思いましたが、反面、母が持っていた”絵”は、くどい気がしました。


鷹男が恒太郎に「絞られたでしょう」ってタバコを出す場面が好きでした。

巻子(尾野真千子さん)の「若い時は私もスゥーとしてたわ」と娘に言う顔も可笑しかったです🤣

第5話 あらすじ 

恒太郎の家に、勝又が引っ越してきた。

勝又が高所恐怖症で踏み台に上がれず、滝子が釘を打った。勝又が滝子の足に抱きついたので、滝子が怒って、金づちを落としそれが勝又の頭に。

菊ずしから特上5人前の握り寿司が届いた、咲子の注文だった。

咲子は立派な毛皮を着て、母の仏壇の前に座った。母に見てもらいたかったから。

咲子は勝又に、ボクシング雑誌の編集への仕事を持ってきた。鷹男から頼まれていたのだ。滝子は咲子が、金持ち自慢するのが気に入らない。

滝子は「帰ってよ」と咲子に言い、咲子は寿司をもって巻子の家に来た。

咲子は、宏男と洋子にお小遣いをあげた。

巻子は「お金があるなら貯金しなさい」と言ったが、咲子は

「そういうことしたら負けそうな気がするのよ。シミシミ貯めたりしたら、次の防衛戦でチャンピオン落っこちるみたいで」と返した。


恒太郎は玄関の自分の表札の横に、”勝又静雄”の表札を釘で打ち付けた。

勝又は恒太郎に、滝子と知り合ったきっかけを話していないことに気がとがめたが、滝子は絶対に言っちゃダメと口止めした。

滝子と勝又はおでんを用意して恒太郎と3人で食べた。が、勝俣が咳き込み始めた、食べ物が気管に詰まったのだ。「ここ一番でしくじる、最初はしくじる運命かな」と勝又は落ちこんだ。

夜、滝子は布団を父の部屋に持ってきて、父と並んで眠った。

「いいやつじゃないか、勝又くん、ウソがなくて」と父は滝子に言った。


綱子の家には、息子の正樹が婚約者の里子を連れてきていた。綱子は、すき焼きを用意していた。綱子は里子の態度が気に入らなかった。


咲子はベランダに出て、老婆たちの”南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏” のお経の声に耳を塞いでいた。陣内の母が、老婆たちをマンションの2階に呼んでお経を唱えるのだ。咲子は陣内が母を大事に思っていることを知ってるので、文句は言わない。

陣内はお経の部屋にみかんを持って行って、「目を拝んでおいて、悪くなる前に」と母に言った。


巻子は鷹男が人間ドッグを受けている病院に行った、検査の後 気分が悪くなったと聞いたので。しかし、医務室には赤木啓子がいて、ハンカチで彼の口元を拭いていた。彼女は急ぎの書類を持ってきたところだと言った。彼女がなかなか帰らないので、巻子が「あとは私が」と言った。啓子が帰る時に着たジャケットと、巻子のジャケットが同じだった、、。


2日目、勝又は食事を作った。

電話が鳴ったので、恒太郎が出ようとしたが、勝又が出ると、「パパ?、パパじゃないの?」と言って切れた。

恒太郎は勝又に、「働きすぎだ、メシの当番は1日おきだ」と言った。

また電話、恒太郎が出ると省司からだった。

「パパ元気?僕は元気ない、パパと会えると元気出る」と省司が言った。

「それはダメだ」と恒太郎。「また電話してもいい?」には「いいよ」と答えて電話を切った。


その夜、勝又は恒太郎に、「話したいことがあって」と言って神妙に彼の前に来た。

「僕のこと、ウソがないって褒めてくれたって。でも僕 隠してたことあります。竹沢さんの浮気、し、、調べたの僕なんす。それがきっかけで滝子さんと知り合ったんす。もしも結婚したら、お、お詫びの印っていうか、あの人のこと大事にしますから。一生浮気しないすから」と言った。

恒太郎は、フッと笑い、ハハハハハハ、、、と大声で愉快そうに笑った。「こんなに笑ったのいつ以来かな」と言って笑い続けた。


恒太郎は、喫茶店で省司と会った。


滝子は父の家にきて、踏み台に上がって釘打ちをはじめた。彼女は勝又に「この間と同じ気持ちになってもらえないかな、今日はあたし嫌だって言わない」と言った。勝又は滝子の足を持って下に降ろし、二人は抱き合った。


翌日、滝子は巻子の家に来た。

滝子が何も言わないのに、洋子が「滝子おばさん結婚するんでしょ。おばさん、ピッカピカしてる」と言った。滝子は頷いた。

しかし滝子は「結婚式に咲子を呼びたくない。お金があるってあんな見せびらかして。勝又さんが可哀想だから」と言った。

鷹男は「そりゃしこりがのこるぞ、勝又君に残る、俺ならイヤだね、女房がそんなふうに気遣ったら」と言った。


勝又も「滝子さん、おかしいよ、そんなことをお姉さんのとこに言いに行くなんて。きょうだいなら呼ぶべきだよ」と言った。滝子は自分が間違っていたと分かった。

恒太郎が、とっときのウイスキーを持ってきた。切り子のグラスで3人でストレートで飲んだ。

「おめでとう」「お父さんのおかげです」「そうか、俺が取り持ったようなもんだ」と3人で笑った。(この時の滝子さんの笑い顔がいいですね)。


勝又と滝子の結婚式当日。

そこに陣内が白いタイシード、咲子がピンクのドレスで来た。今日の主役より二人が目立った。陣内の周りには子供達が集まってサインをねだっていた。

咲子は綱子と巻子に怒られたが、「出がけに、あの人が黒着るの嫌だっていったのよ、明るいの着たいって」と言った。

陣内が勝又に「おめでとう」とシャンパンで乾杯して、「もう少し、明るくした方がいいんじゃないかな、照明をもっと明るく」と言ってよろけた拍子に、勝又にシャンパンがかかった。

滝子が「あんたたち帰って」と怒ったが、恒太郎がその場を治めた。

咲子は陣内に、具合が悪いじゃと聞いたが、彼は大丈夫だといい、彼女を式場に入らせた。

式場では二人の誓いの言葉が始まっていた。

関係者の男性が咲子のそばに来て何か言った、咲子は走って外に出た。

感 想

5話は日常の話で、いろいろいい場面がありました。

早速、勝又が早速、恒太郎の家に引っ越してきました。

滝子は、派手な服でお金遣いも荒い咲子を嫌悪してますが、咲子の「シミシミ貯金したりしたら、次の防衛戦で負けそう」って分かる気がします。咲子は陣内のために派手にしてるんです。彼がして欲しいことをして嫌がることはしない、だから彼が大事にしてる母のお経のことに文句言わない。陣内の目がおかしいことにも気づいていますね。

勝又が恒太郎に、ウソをついていましたと告白して、恒太郎が爆笑する場面がすごく良かったです。

勝又とそういうことになった後の滝子さん、本当にピッカピカに輝いてました。結婚式に咲子を呼びたくないとの巻子たちに相談した時の、鷹男の言葉が、また的を得ていました。

そして結婚式の当日、新郎新婦より目立ってきた陣内と咲子ですが、陣内が「もっと照明を明るく」って変なことを言ってよろけたので、危ないフラッグ立ってました。

第6話 あらすじ 

滝子と勝又の結婚式の日、陣内は倒れて病院に運ばれた。

数日後、巻子と滝子がお見舞いに来たが、陣内はすでに退院していた。咲子が弱っている陣内の姿を姉妹に見せたくなかったから。

陣内は母と老婆たちがお経を唱えてる部屋に入って、みかんを投げてみんなを追い出した。その時、巻子が玄関に現れ、陣内が投げたみかんが巻子のコートに当たりシミができた。

咲子は巻子に、滝子には陣内のこと黙っているようにお願いした。


巻子は、綱子の再婚相手を鷹男に探すように頼んでいるが、まだ見つからない。巻子は、綱子と貞治を別れさせたいのだ。


勝又と滝子は、綱子と巻子を家に呼んですき焼きをした。

綱子たちが勝又に仕事の話を振った時、彼は封筒を2つ出した。今日 勝又が頼まれた仕事で、内容は夫の浮気調査、1つの封筒には奥さんから5万、もう1つにはその浮気夫から10万、「見逃してくれ」と。

2人の義姉が、「どこの奥さん?」と聞くと、「枡川という料亭の」と勝又が言った。綱子は焦り巻子は笑った。綱子は「あたしなの、浮気の相手はあたし」と勝又に小声で言い、巻子は「奥さんに、その人は再婚の話があるって言っといて」とこちらも小声で言って2人で笑った。勝又はどう返事していいやらと困惑して、、(ハハハ)。


咲子は、滝子の図書館に”快気祝い”を持ってきた。滝子が口紅をつけてるのをからかって、滝子が何か言いたそうなのを振り切って帰った。

咲子がジムに行くと、陣内が次の試合のインタビューを受け、強がっていた。

家に戻り、咲子は陣内に「もうやめてもいいんだよ」と言ったが、陣内は「バカ、もう少しで手届くとこまで来てる」と言った。2人は雨の音を聞いた。


綱子は滝子から”お見合いの相手”の情報を速達で受け取った。

綱子は池上の父に相談に行った。父は笑いながら電話を切ったところだった。「あと30年ため息ついててもつまらんだろう。会ってみりゃいいじゃないか」と父が言った。

綱子は家に戻り南天を生けた。貞治が後ろから綱子を抱いた。


綱子のお見合いの日。鷹男から巻子に、明日 急に会計検査があるので旅館にこもって徹夜仕事と連絡が来た。巻子は旅館を聞いた後、ぼぉっとしてた。洋子はそんな母を見るのは初めてじゃない。巻子は見合いの前に、鷹男の着替えを届けようと旅館に来た。洋子が追ってきて、偵察してくると、母の代わりに着替えを届けた。


綱子と見合い相手の男性と巻子は薪能を鑑賞していた。

綱子が急に立ち上がり走ってその場から逃げた。公衆電話で話してた男子学生に、アルバイトしないかと声をかけた。

枡川に電話、豊子が出ると男性の声で「プレイ・ゴルフ編集部ですが、ご主人いらっしゃいますか?」と。

枡川貞治は綱子の家に来た。綱子は蓋が開かない瓶を貞治に渡して開けてもらっていた。

チャイムの音、巻子が「途中で帰るなんて非常識よ、相手の人になんて言ったらいいのよ」と玄関先で怒っていた。

綱子は半分戸を開け、「他に好きな男がいます、別れられないって言ってます、って言いなさいよ」と。

「姉さん、恥ずかしくないの?」と巻子。

「恥ずかしくないわ。みんな1つや2つ、後ろめたいとこもってんじゃないの?」と綱子。

巻子はすごく腹が立ったが、もじもじして、「ご不浄」と言って綱子の部屋に上がり駆け込んだ(ハハハ)。

綱子と貞治は顔を見合わせて笑った。


陣内の試合の日、咲子は陣内の母と一緒に観戦した。この試合に勝てば世界一、しかし、対戦相手は強かった、陣内は打たれて続けた。ラストゴング、陣内は倒れ、救急車で病院に運ばれた。


滝子は陣内のことを聞き、勝又に「やり切れない。あまり見せびらかすから、陣内さんと咲子がペチャンコになりゃいいて思ったことあった。きょうだいって妬みそねみもすっごく強いの、そのくせ、きょうだいが不幸になるとたまんない」と泣いた。


恒太郎が病院に見舞いに行った。陣内はチューブに繋がれてベッドに寝ていた。咲子は父に抱きつき、「何とかなるって頑張ってきたけどもうダメ」と泣いた。

咲子が服を脱ぎ出したので父は病室を出た。咲子は陣内のベッドの横に入った。父は誰も中に入らないように、病室のドアの前で立っていた。

感 想

『ここでは喜劇ばかり流行る』の文言通り、6話も喜劇が流行っていたように思います。

勝又が、枡川の奥さんから浮気調査の依頼で5万、当の主人から口止めの10万を貰ったのも、その浮気相手の綱子が「あたしよ、その浮気相手」って勝又に言って、彼が面食らうのも喜劇。

綱子が思い詰めた顔でお見合いの席から逃げてきて、咄嗟とっさにバイトの学生を利用して、貞治を呼び出したのも、巻子が綱子の家に来て姉を責めながらも、我慢できず、ご不浄と家の中に駆け込むのも、やっぱり喜劇だって思いました。

でも最後の咲子と恒太郎は喜劇なのでしょうか?私はそうは思えなかったです。父は何も言わず咲子を抱きしめ、咲子が何をするか察した父はそっと病室を出て、誰も入れないように病室の前に立っていた。泣けます、、、。

第7話〔最終回〕あらすじ 

綱子は巻子に、「お父さん 子供と電話してた、土屋友子とよりが戻ったのよ」と話していた。滝子が来て、3人分のお見舞い金を封筒に入れた。

病室には咲子と義母がいた。咲子が陣内の足の爪を切っていた。義母は咲子に「あんたヒデの体の調子が悪いのしちょったやろ、怖かおなごやね。あんたみたいなんに出会わんやったらヒデはこんなことには、、」とひどいことを言った。

そこに姉3人が現れた。咲子はすごく明るく振る舞った。「今が一番夫婦だって感じがするんだ、だってこの人ずっと私のそばにいるんだから」と笑顔で言った。

咲子は、母の夢を見て、陣内の「咲子」という声で目覚めたが夢だった。

病室を出ると看護師から「おたく入院費がまだでしょう、大部屋に移った方がいいんじゃない」と言われた。


滝子は喫茶店の外から、恒太郎が省司に満面の笑みを向けているのを見た。

省司は恒太郎に絵を見せた。”ぼくのパパ”、その絵は恒太郎だった。

恒太郎は「こんな絵描いて、新しいパパに怒られないか?」と聞いた。省司はしばらく黙って、「いないよ、新しいパパ、内緒にしてってママには言われたんだけど」と言った。

恒太郎は帰り、昔の行きつけの寿司屋に行った。お土産握りを2人前頼むと、店の主人が妻のふじが好きだった”卵と穴子”を多めに握ってくれた。

恒太郎のお土産寿司を見て、滝子は母が好きだった店だと分かった。誰かと食べてきたと思い込み、「お母さんに知られて恥ずかしいことはしないでちょうだい」と言うと、恒太郎は「分かってる」と笑った。


巻子の家では洋子が、お父さんが遅いと言って雑誌を丸めて中を覗き、「お父さんは、私が知ってる女の人といるみたい」と冗談めかして言った。


滝子は商店街を歩いてる時、「あっ、口開いてますよ」と男性から声をかけられた。自分の口かと思って閉じたら、バッグの口だった。咲子は大笑いしてそして泣き出してしまった。その男とお茶に行った。男は「しゃべると楽になりますよ」と言い、面白い話をして、咲子の気持ちを和らげてくれた。その夜、咲子はその男とホテルに行った。


綱子と巻子は父を誘って、咲子に会いにきた。

病室に入ると、陣内の足の裏に”へのへのもへじ”で顔の絵が書いてある。咲子は「おまじないよ。へえのへのもへじの表情が変われば、足が動いたってこと」と言った。


その夜 巻子の家に綱子の隣人から電話があった、綱子がガスで心中、いつも来る人と一緒にと。

巻子はすぐ病院に行った。綱子は「心中なんていい加減なことを、ガス管が外れたの」と言った。綱子の足の裏には、へのへのもへじ、巻子は笑った。「咲子のところで見て実験したのよ」と綱子も笑った。

貞治は家に戻り、風邪らしいと言って倒れた。妻が駆け寄ると夫は靴下を裏向けに履いていた。妻が脱がせると”へのへのもへじ”が現れた、もう一方の靴下を脱がせると同じものが、、。


咲子の家に男から電話、咲子は誰かわからなかったが、先日の宅間だった。「ボクシング雑誌を見て陣内選手の奥さんだと分かった、100万 都合もらえないか」と男は言った。


翌朝、綱子が巻子と一緒に家に戻ると、『いけばな教室』の看板の上に、赤いマジックで大きく、”へのへのもへじ”が書いてあった。枡川豊子が早朝に書いたのだ。

綱子の息子の正樹は「同居しよう」と言ったが、綱子は、10年先にしてと断った。

綱子は巻子とバスを待ちながら、「昨夜 病院のベッドで目が覚めたとき、最初にあんたの顔が見えてほっとした」と言った。巻子は「姉さん、もしかして本当は、、」と聞いたが、綱子は何も答えない。


土屋友子は、喫茶店の前で恒太郎を待っていた。二人で少し話した後、友子が中に入って、省司に「帰ろ、パパはもう来られないって」と言った。


巻子が家に帰ると宏男が電話があったと言った。巻子はメモを見て電話して走って出かけた。

谷口書店(古本屋)に入ると洋子がいた。巻子は代金は支払いますと丁重にお詫びした。店主は表沙汰にするつもりはないと言った。

洋子は母に、「お母さん私に相談して、何でも。おばあちゃんみたいになったら手遅れだからね」と言った。

2人が家に戻ると、赤木啓子が来ていて、3月に結婚するので仲人を頼みたいと言った。疑われてたこと知っていたが、疑われたままで辞めていくの口惜しくて、と。

鷹男が夜遅く帰ってきた。巻子は編み物しながら、「今までどこに?女の人のところ?名前だけでも教えてよ。気になって気になってスーパーで万引きしちゃった、主人に女の人がいて家に居られなくなったって言ったら勘弁してくれた」と言った。鷹男は「そんな人間いない」と否定したが。「さっき彼女来たわよ、誰だと思う?赤木啓子さん」と巻子は言った。


滝子と勝又が病院にお見舞いに来た。咲子は屋上にいた。振りむいた咲子を見て、滝子は何かあったと分かった。

「バカやっちゃった、どうして見ず知らずの人に本当の気持ちしゃべったのか、フラフラと後ついていったのかな。私 本当は気持ちも体も飢えてたのかもしれない」と言って泣いた。滝子は咲子の背中をさすって「あたし、やる」と言った。

宅間が陣内の病室に来た。そして滝子と勝又が入ってきた。

滝子が宅間の手をもって陣内を触らせようとした。

「怖くないのよ、この人生きてるのよ。脅かすなら幸せな人脅かしてよ、ゆするならお金のある人ゆすってよ、やっと生きてる人間ゆするなんて汚いわよ!」と言うと、宅間は帰った。滝子はふらふらと力が抜け、咲子は滝子を抱きしめた。


4姉妹が集まり、池上で白菜を漬けていた。滝子は妊娠中、母の形見の着物を着て割烹着をつけていた。母にそっくりとみんなが言った。

電話が鳴り、恒太郎が隠しながら受話器を取り、「元気か?」と話してる、省司だろう。

勝又が4姉妹を見て「仲がいいのか悪いのか」と言うと、鷹男が「阿修羅だね、女は阿修羅だよ」と言った。


咲子は義母と陣内の看病、「陣内の足が笑った」と2人で喜んだ。


巻子は鷹男と赤木啓子の結婚式の仲人をした。巻子は夫の耳元で、「いつかのあれね、付き合ってる女の人のこと、私信じていないのよ」とささやいた。

ーー完ーー

感 想

最終回もいろいろなことが起きました。

  • 恒太郎は、省司の絵を見て土屋友子が結婚していないことを知り、彼女を喫茶店に呼んだのだと思います。自分から、もう会えないと言うと省司がショックを受けるので、友子に言ってもらったと私は解釈しました。

  • 綱子、ほんとはガス心中をしようとしたのか、真相はわかりません。
  • 陣内の回復の兆しを、足の裏の へのへのもへじが笑った、と咲子と義母の二人で喜んだのた良かったです。義母は咲子にすごくひどいことを言ってましたが、それでも2人で看病する、陣内の回復を心から望んでいるのはこの2人だから。
  • 洋子の万引きは、巻子の精神不安が伝染したということですよね。

  • 赤木啓子が鷹男の浮気の相手じゃないとしても、巻子の家に来て、疑われてるのが口惜しいので結婚式の仲人をと頼むという行為が理解できませんでした。このドラマの出演者たちで、この赤木啓子だけは好感が持てなかったです。
  • 鷹男の浮気については、白黒つけなかったですね。

『阿修羅のごとく』最終回まで視聴した感想

ドラマに登場した食べ物いろいろ

ドラマに登場した食べ物を書いておきます。このドラマには食べ物が欠かせませんね。

第1話

揚げ餅:滝子の電話で4姉妹が巻子の家に集まった最初のシーン。鷹男が鏡餅を割りそれを油で揚げて塩をふる、カリカリという音

鰻重:綱子が浮気相手の貞治と出前を頼んだ鰻重、それで巻子に不倫がバレた。

出前のお寿司:ふじと4姉妹が”怖~い”文楽を鑑賞した後、恒太郎と鷹男加わり、一緒に家で出前のお寿司を食べる。

第2話

おにぎり:父の帰りを待ちながら、4姉妹と母でにぎるおにぎり。

第3話

あんみつ?ぜんざい?:巻子と綱子が池上に母の漬物を手伝った帰りに甘味処で食べてたもの。

第4話

お味噌汁とお漬物とごはんの朝食:父がボヤを出し、片付けに来た4姉妹が、翌朝 食べた朝食

第5話

おでん:恒太郎の家に引っ越した勝又が滝子と一緒に作り、父と3人で食べたおでんったおでん

第6話

落花生:巻子が鷹男の帰りを待ちながら、ひたすら皮を剥き音を立てながら食べる落花生

すきやき:滝子と勝又が、綱子と巻子を家によんで食べたすき焼き。←この牛肉、最高に美味しそうでした!

第7話

お土産寿司:恒太郎が、滝子と勝又へ持って帰ったお土産寿司。

磯部巻き:滝子と勝又が毛布に包まって、陣内のお見舞いに行こうと相談しながら食べてた磯部焼き

白菜の漬物:最後の場面、4姉妹で母のやり方を思い出しながら白菜をつけた。

*食べ物を見ると、それぞれの回のエピソードも思い出します。

一番印象に残った登場人物

どのキャストも役柄に合っていたと思いますが、私が一番だったのは、竹沢恒太郎、4姉妹のお父さん役の國村隼さんでした。

妻といても、娘たちといても、40才の女性とその子供といても、父は同じ人だったと思います。

”火木(寡黙)人”と娘たちからちょっと軽く呼ばれ、浮気をして妻を傷つけたり、ボヤを出して娘たちから”しぼられたり”するけど、娘たちの心の拠り所だったと思うのです、寡黙で軽やかで心が温かい人だと思いました。國村さんの竹沢恒太郎がとてもよかったです。

「女は阿修羅」だったか?

1978年のNHKオリジナル版を見た記憶があり、その時、怖ーいと強烈な印象を持ちました。

日常生活の中に少しの波風が立ち、それぞれの人物たちが抱えている問題が浮かび上がる。平気な顔をしながら日々暮らしているが、その平気な顔の奥にドロドロした情念や鬼のような感情を隠している、そんな凄みを感じて、心をつかまれた記憶がありました。

さて、今回 是枝監督の『阿修羅のごとく』もNHK版と同じです、時代も登場人物も起きることも全て。俳優さんたちはそれぞれの役に合っていて、演技も素晴らしかったと思います。

しかしいくら待っていても、ヒリヒリするような凄みは感じなかったです。夫の浮気を知りながら、知らないフリをしていた母のふじさんには、心の奥の情念や怖さを少し感じましたが。

だから最終回で、「女は阿修羅だよ」と言った鷹男の言葉が、私には 刺さらなかったです。

その原因は何かと考えると、一言でいうと ”時代が変わった” ということかもしれないと思いました。昭和54年の空気感を同じように再現することは難しい気がしました。ドラマを見てて、ちょっと”時代劇”を見てるような感覚でした。を見ている感覚でした。

是枝監督の『阿修羅のごとく』をすごく楽しんで視聴したし、ドラマのどの場面を切り取っても面白いのは事実です。

でもほぼ同じ脚本で同じ設定でも、4人の姉妹たちが「阿修羅」とは思えませんでした。それがいいとか悪いとか言うつもりはありません。ただ、これが私の率直な感想です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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