【セルフ コンパンション:自分に思いやりを】クリスティー ン・ネフ博士著を読む:要約 パート2

苦しんでいる人に『セルフ コンパッション』という考え方を紹介したいと思います。少しでも苦しみをやわらげるヒントになれば、と思います。

紹介する本は、クリスティー ン・ネフ博士著の『セルフ コンパンション(”Self-Compassion” Kristin Neff, PHD.” )』です。

先日、パート1”セルフ コンパッション とは” を読みました。

今日は、パート2”The Core Components of Self-Compassion(セルフコンパションを構成するもの”を読んでいきます。

注:尚、パート1と同じく、これは原本(英語版)からの要約です

セルフ コンパッションの3つの構成要素

セルフコンパッションは以下の3つの構成要素が要求されます。

1. 自分へのやさしさ

自分にやさしくする。

2. 人類の共通の体験

苦しむことは、他の人たちも同じあり、人類共通の体験であると理解する。

3. マインドフルネス

自分たちの体験について、バランスを持って認知する。

自分へのやさしさ

それぞれの要素について、もう少し詳しく見てみます。

自分へやさしくするとは

自分を”いい”とか”悪い”とか評価することをやめる。

やさしさを持って、自分の心の痛みをなだめ落ち着かせること。

☐自分自身へ、温かく穏やかで思いやりのある和睦を提供することで、本当の癒しが生まれます。

ケアすること、されること

☐私たちの体と脳には生まれ持って ”ケアすること” と ”ケアされること” の両方が備わっています。

☐ケアされることは、生きる上での必要な栄養素です。

☐自分自身にも絶え間なく栄養と理解を与えれば、ケアとそれを受け入れることの価値がわかります。

自分自身へ共感しサポートをすれば、私たちは助けはいつも手の中にあることを学びます。

やさしさで自分を温かく包めば、安全であること、守られていると感じることができます。

I love and accept myself exactly as I am

【私は、今のあるがままの自分を愛し受け入れています。】

セルフコンパッションは価値ある贈り物

☐セルフコンパッションは、望む人には誰でも開くことができる贈り物です。

☐自分へのやさしさの習慣を発展させていけば、苦しみは、そこに含まれる愛や柔らかさを経験する機会になります。

☐他の人にケアやコンパンションを求める必要はありません。

☐受け入れられていることや安全を外部に求める必要もありません。

(*但し、これらは、他の人が必要ではないという意味ではありません。)

思い出してください。

◎笑顔の下で、あなたが本当はどう感じているかを知っている一番身近な人は誰ですか?

◎あなたが直面している痛みや恐れの全てを知っていて、何が一番必要かを知っているのでは誰ですか?

◎人生で、24時間・7日間休みなくあなたのそばにいることができる、ただ一人の人は誰ですか?

それは、あなたです。

人類の共通の体験

セルフコンパッションの2つの目の要素は、”人類の共通の体験”という認識です。

共通の体験とは

人間は、不完全である、という認識です。

セルフコンパションは、”どんな人も誤りをし、間違った選択をし、後悔をする”という避けることができない事実に敬意を払います。

自分が落ち込んだ時、失敗は人類の共通の体験であることを、思いやりを持って思い出すことができれば、孤独ではなく繋がりを感じることができます。

☐問題に直面し苦しい時、数えきれない他の人たちも、同じように困難を体験していることを認識すれば、痛みは和らぎます。

完璧という幻想

☐完璧な人はいません。もしいるのなら、それは人間ではなく、人形です。温かい息をしている人間は、絶え間なく変化していて、傷のない固まった形状ではありません。

生きていることは、喜びや栄光と同じように、もがくことや絶望することが含まれています。

☐不完全だから、人間は学び成長することができます。

☐実際に、失敗が私たちに学ぶ機会を与え、夢を実現させる助けをしてくれます。

☐私たちはみんな限りがあり、それぞれが同じように苦境に立たされます。

☐人間は不完全であり、一人一人が同じように苦しみや痛みを経験します。

☐その本質をシェアーし認識することで、セルフコンパッションは、真の成長に必要な他者とのつながりの気持ちをもたらします。

☐この認識は、個々の苦しい時のチャレンジへの助けになってくれます。

マインドフルネス

マインドフルネスとは、”今起きていることを、そのまま明晰に観察し、判断をせずに受け止めること。別の言い方をすれば、現実に目を向けること。”

自分にセルフコンパッションを与えるためには、まず、自分が苦しんでいることを認識する必要があります。

☐しかし、多くの場合、例えば何か大きな問題が起きた時、私たちはそれを解決するために全ての時間、エネルギーを使い、その時の自分自身の苦しみや痛みに向き合うという考えが浮かびません。

☐その結果、疲れ切り、激しい感情や苦しさに押しつぶされたりしがちです。

☐恐れや焦り、不安、誤解から、問題を必要以上に大げさに考え、必要以上に複雑にしてしまうことがあります。

◎マインドフルネスは、私たちを現在の瞬間に戻し、セルフコンパッションの基盤になるバランスの取れた認知を提供します。

◎マインドフルネスは、澄んだ波のないプールのように、今、起きていることを歪曲せずに、そのまま映す鏡です。

◎マインドフルネスは、状況を客観的に眺め、私たちが必要のない苦しみに陥らないための助けになります。

認知の認知

私たちが、誇張せずに痛みに気がつく時、それはマインドフルネスの瞬間です。

今、ここで起きていることを、その通りに観察すること。

◎マインドフルネスは、しばしば メタ認知:認知の認知 と考えられます。

例えば:

▷”私は怒っている”とシンプルに感じるだけでなく、”私は怒っていることに、今、気がついている”ということ。

▷”私は、明日ミーティングで何を言おうかを考えている”だけではなく、”私は、明日ミーティングで何を言おうか考えている、ことを今、認識している”ということ。

これは漠然としてはっきりしない区別に見えるかもしれませんが、難しい状況に有効に対応するための能力を高めます。

自分の状況を明晰に観察できた時、叡智の扉を開けることができます。

マインドフルネスの練習

◎気づきの練習

マインドフルネスを上達させるための大事な道具は、気づきを練習することです。

☐気づきを練習することで、現在起きていることについて認知する能力が上がります。

☐そしてそれは、難しい状況に陥った時、有効に対処できる客観的なメンタルを供給してくれます。

反応するのではなく、対応する

マインドフルネスの最も驚くべき良い点は、自動的に反応するのではなく、意図を持って対応する機会を与えてくれることです。

☐何か問題が起きた時や苦しい状況に陥った時、すぐに反応するのではなく、まず現実に何が起きたのかを観察して認識すること。

☐そして I am aware that I am suffering : 私は苦しんでいると認識する、ことです。

認知を習慣化することで、苦しい状況になった時、自動的にそれを認知して、まずあなた自身をコンパッションで包むことができます。

☐それから、自身の心と気持ちをリセットして再稼働することができます。

Suffering = Pain x Resistance (苦しみ=痛み x 抵抗)

ここで一つお話が紹介されます。

【幸せの鍵は ”苦しみは、痛みに対する抵抗が起こす” ということを理解すること。私たちは痛みを避けることはできない、しかし、痛みによって必要でない苦しみを感じる必要ない。

☐この意味は、私たちは ’痛み’ と ’苦しみ’ を区別することができるということ。

☐問題が起きたり、自分が望まない状況になることは避けられない(痛み)。

☐それに対して、怒りやストレス、失望等が湧き上がることで、苦しみが生まれる。

☐その時、マインドフルネスによって ”問題が起きて、私が望まない状況になっている”という事実をただ認識し受け入れることです。判断したり抵抗しない。

☐そして、冷静にその嵐が過ぎるのを待つことができれば、私たちは、それらの問題を現実以上に悪くすることはない。

Pain is unavoidable: suffering is optional. 

【痛みは避けることはできない:苦しみはオプショナル(選択)である】という考え

◎マインドフルネスを上達させることができれば、セルフコンパッションの能力も自動的に上がっていきます。

まとめ

パート2では、セルフコンパッションの3つの構成要素についてのお話でした。

1. 自分を批判しないで、自分に対してやさしくすること。

2. 自分が直面する痛みは人類共通の体験の一部であることを覚えておくこと。

3. 自分の気持ちや感情を、マインドフルネスで、そのまま認知すること。

パート2は、この本のコアだと思います。

日々、いろいろな場面で、悩みや苦しみに直面している方がいらっしゃると思います。

私自身も、これまで数え切れないほどの失敗、間違い、後悔をしてきました。人を傷つけ、また傷つけられたりもしました。

その時「セルフコンパッション」の考え方を知っていたら、もう少し苦しみが和らぎ、もう少しうまく対応できたかもしれないと思ったりします。

これからも生きている限り、問題はいつでも起きます。失敗や間違いを避けることはできません。その時、いつも『セルフコンパッション』がかたわらあることを思い出し、落ち着いて暮らしていければと思います。

セルフコンパッションは、静かな島です。終わりのない自分へのポジティブとネガティブの評価の嵐の海から避難する島です。

セルフコンパッションはいつもそこにあって、あなたを待っている安全な避難所です。

苦しんでいる方々、どうか、自分に思いやりを持って接してください。セルフコンパッションがいつもあなたの側にあることを思い出してください。

読んでいただきありがとうございました。

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