Netflix『グレイス&フランキー』アメリカドラマ【シリーズ7配信中】感想 人生現役!

『グレイス&フランキー』は、Netflixで2015年にシリーズ1が始まり、現在シリーズ7配信中。Netflixで一番長いシリーズらしいです。

とてもパワフルで、設定がすごーく現代的でアメリカらしい気がする。1話30分の短いヴァージョンで、軽いタッチのコメディー仕様なので、次々と気楽に見ているうちに、シーズン7の最新配信まで来ていました!そして登場人物たちに親しみがわき、いつの間にか元気をもらっていました。

このドラマの概要、魅力や感想を書いてみます。*ネタバレを含みます。


シーズン7の5話〜最終回の配信が2022年4月完結しました。以下で感想をまとめています。


始まりは ”THE END” 

ドラマの主人公は、タイトル通り「グレイス」と「フランキー」の2人の女性。

シリーズ1の第1話のタイトルが ”The End” 面白いですね!

二人はそれぞれの家庭を築き40年以上、平和に暮らしていた(はずだった)。

夫たち、ロバートとソルは、同じ法律事務所の弁護士。その夫たちから「話があるから4人で会食を」と誘われ、2人が彼らを高級シーフードレストランで待っているところから物語が始まる。彼女たちは顔見知りだが、親しくないことは最初の場面で明らか。

遅れてきた夫たち、なかなか本題に入らない。

やっと口を開いたロバートから「我々(ロバートとソル)はゲイで愛し合っている。結婚して、残りの人生は愛する人と一緒に暮らしたい」と衝撃の告白。彼らは20年間、関係を隠していたのだった。

青天の霹靂!夫たちの裏切りに、怒りと絶望に苛まれるグレイスとフランキー。

夫と一緒にいられないグレイスは『ビーチハウス』に移ってきた、しかし、そこにはすでにフランキーがいて、何やら怪しい儀式をしていた。

『ビーチハウス』は、4人が共同で購入した家。海に面した素晴らしいロケーション。彼女たちはお互いに「自分の家」と言い張る。フランキーは外に出て、ビーチで火を焚き、不思議な儀式を続け、酔ったグレイスもウオッカの瓶を持ちフランキーの儀式に参加。二人で一晩、海岸で酔っ払い踊って過ごした、、。

こうして、二人のビーチハウスでの共同生活が始まった。

「70歳を超えて、夫たちからゲイと告白され離婚される妻たち、その妻たちが共同生活を始める」という驚きの幕開けです!


グレイスとフランキーの人物設定

180度、正反対の性格、ライフスタイルの2人、それぞれの特徴を簡単に。

グレイス(ジェーン・フォンダ)

上流社会に属する女性で、結婚して40年、夫に尽くし2人の娘を育ててきた。その傍ら、美容関係の会社を起業し成功もおさめていた。会社は現在、長女が引き継いでいる。洋服も髪型もキャリアウーマン風、いつもヒールの高い靴を履き、隙がない。何事もきちんと計画して、場を取り仕切るタイプ。理想的な生活を送っているように見えたが、ロバートとの関係は冷めていた。しかし、突然の夫のカミングアウトに失望と激しい怒りを覚えた。

フランキー(リリー・トムリン)

芸術家。普通の社会的価値観にとらわれない人。絵を描き、ヨガやお香を焚いて瞑想したり、社会運動に参加したり、60年代はヒッピーだった。服装も髪型も考え方も言動も自由。2人の養子の息子たちを愛情を持って育て、夫ソルとは何でも話せるソウルメイトだった、、。しかし、実は夫がゲイで別の人を愛していたことを知り、とても傷ついていた。

こんな全く異なる二人の共同生活、、どうなることやらの連続。

彼女たちは、十分傷ついているけれど「これまでの人生が台無し」と悲嘆に暮れてはいない。非常にたくましく、自分の人生に向かっていくのです。

二人の間には、常にいざこざがある。激しい言葉で言い争うことも度々。”人間関係が壊れない?”とハラハラするけれど、決定的には壊れない。心の底では相手を思う気持ちがあり、自分が間違っていたと思うと、お互いに謝ることができる、羨ましい関係です。

常に行動して、しょっちゅう間違ったり、失敗したり、自己嫌悪に陥ったりもするが、お互い慰めあったり、気晴らしに誘ったり、笑い飛ばすパワーもある!

激しい喧嘩もしながら、お互いに理解し影響をし合って、なくてはならない親友になっていきます。


二人の女性を取り巻く人々

元夫たち、グレイスの娘たち、フランキーの息子たちの紹介。

ロバート(マーティン・シーン):グレイスの元夫、弁護士。ソルと同じ事務所で働いている。後にゲイのミュージカル劇団で俳優としても活躍。

ソル(サム・ウォーターストン):フランキーの元夫、弁護士。とても優しい性格で、ロバートのことを愛しているが、フランキーのことも心配している。


ブリアナ:グレイスとロバートの長女。グレイスの会社を引き継いている。人に弱みを見せたくないきつい性格は母親譲り。なぜか実母のグレイスより、フランキーと気があう。

マロリー:グレイスとロバートの二女。医師と結婚して4人も子供がいる。幸せそうだったが、夫との間にズレが生じてくる。社会に出て働いたことがなく、コンプレックスを持っている。後に姉の会社で働く。

バド:ソルとフランキーの長男(養子)。父ソルを継いで弁護士になり、同じ事務所で働いている。とてもきちんとした性格。

コヨーテ:ソルとフランキーの二男(養子)。薬物、アルコール依存で問題を起こし「依存症の会」に所属しリハビリ中。兄のバドのアパートに居候しているが、努力して徐々に社会復帰してくる。

左からマロリー、コヨーテ、ブリアナ、バド

別れた夫たち、そして娘たち、息子たちも、何かとグレイスとフランキーのところにやってきて、わちゃわちゃと賑やか。それぞれの生活も描かれ、シリーズ1から話が進むに連れて、変化していきます。


高齢である現実をユーモアに、そして利点にする

グレースとフランキーは、高齢になるにつれて、体のあちこちにガタが来ている。

グレースは、膝と腰を痛め、歩きづらくなってくる。

フランキーは、耳が遠くなり、初期の脳梗塞も起こす。

2人は高齢による不都合を認めたくない。抵抗する。子供たちに弱い姿を見せたり、世話にはなりたくない。そういう高齢者のアルアルもリアルに描かれる。

と同時に、新しい恋愛もして、起業して新しいビジネスも始める。

ドラマの1つの大きな核となるエピソードは、2人が起業すること。高齢の女性の性生活のための道具を開発して販売する。この新ビジネスは大ヒットする!女性も何歳になっても性を謳歌していい、との真正面から肯定!すごいなーと思います。

(性的な表現がストレートで頻繁に出てきて、これTVで言っていいの?と驚くことも一杯。)

またグレイスが膝と腰を痛めて、トイレの便座から立ち上がれなくなる。そこでフランキーは新しい商品のアイデアを思いつく。スイッチを押すと便座が上がって自然に立ち上がることができるトイレの考案。同じ悩みを持つ高齢者は多いはず。『The Rise-Up (立ちあガールズ)』と名付け、商品化のため、アメリカのリアルTVショーに出演して、投資家らから資金援助を受けようとする。

自分たちが高齢であるからこそのアイデアで、人の役に立つ商品を開発する。素晴らしいです!

これ、本当に商品化されると面白いですね。高齢者だけでなく、足腰を痛めている人たちにも役立つと思う。


アップデートなトピックが盛りだくさん

1話30分の中に、たくさんのアップデートなトピックが盛り込まれています。

高齢者の性、恋愛事情、同性婚、安楽死、認知症、銃社会、薬物・アルコール依存症、等々。

それらを、笑いやユーモアや風刺で味付けして、決して重く深刻にならずに笑い飛ばしていく、アメリカコメディードラマの醍醐味かなと思います。

シーズン7が最終章らしい

何にもとらわれない、新しい結婚の形が最後に描かれるのではないか?

グレイスは、いろいろな人と付き合った後、 ”ニック”に出会う。ニックは大金持ちで、かなり年下。年齢で躊躇していたグレイスだったが、お互いに愛しているとわかり結婚する。この時グレイスは80歳(ドラマの中で年齢をごかましていたエピソードあり。)ニックのペントハウスに一緒に住むが、ニックは、何かと自分よりフランキーを優先するグレイスのことが不満。

そんな時に、ニックが脱税容疑で逮捕される。グレイスは「ビーチハウス」に戻り、再びフランキーと暮らしながら、1日1時間、夫の面会に刑務所にいく生活が気に入っている。が、そんなある日、ニックが護衛に連れられて、ビーチハウスに。仮保釈?ビーチハウスでしばらく暮らすという、、、。

現在、シーズン7の配信はここまでです。この後の展開は?

グレイスは、ニックと一緒に暮らさなくてもいいと思っている感じ。フランキーとビーチハウスで暮らしながら、ニックが時々、グレイスに会いにくるという形の結婚になるのかな?と予想しています。

フランキーも今は恋愛はないが、また新しいボーイフレンドができる可能性も十分あります。

恋人や結婚相手がいても、もう既成の価値観や結婚制度にとらわれる必要はない。自由に、自分たちにとって居心地の良いスタイルを選択するのかな思います。


最後に

あるYouTubeで「グレイス&フランキー」の出演者たちと、脚本家と制作者のインタビュー番組をみました。そこで、このドラマは「ジェーン・フォンダがドラマをやりたがっている、今すぐ」とプロデューサーが聞いたことから始まり「2組の熟年夫婦の夫たちがゲイで、離婚された2人の女性の物語」という企画が生まれたとの話がありました。

初めに、ジェーン・フォンダさんありきのドラマだっだのですね

常に時代の先端を走り続けるレジェンド、ジェーン・フォンダ、実年齢もドラマの撮影中に80歳を迎えたそうで、80歳になってなお時代の最先端にいる、本当にすごいです!

フランキー役のリリー・トムリンさん、個性的で、時には自由すぎる、とても愛情深い素晴らしい女性像を作り上げました。

元夫たちも、娘や息子たちも、年月を重ねて段々と良い人生になってきていることが自然に描かれていて、よかったです。ロバートとソルの痴話喧嘩、、もう可愛らしい領域(笑)

何歳になっても、高齢(80代)になろうが、親友はできる、新しいことにチャレンジできるし、恋愛も起業もできる。そして、失敗するし、落ち込むし、意気消沈もする、、人生現役ですね!

そんな感じで、元気や勇気と共に慰めもいただきました(笑)。

アメリカのドライなコメディーと思っていたけれど、深かったです。

ドラマって面白いですね。

お読みいただきありがとうございました。

Drama
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