第7話 残された人々
その日、ダウンはゴユン先生から「つきあってほしい」と真剣に告白された。その時、警察からダウンに電話があった、ソワンさんが最後に電話をしたのが彼女だったから。
翌日、キム・ソワンさんの両親が病院に来て、「勉強のせいで病んだと言ったのに、なぜ退院させた。息子はまだ治っていなかった」とイム教授たちを泣きながら責めた。
その後、医師たちはいつもの通り会議をした、平気なフリをして。看護師たちも介護士のユンさんも大変なショックを受けていたが、いつもの通りに仕事をした。
ダウンはオフで家で寝込んでいた。
ゴユン先生もショックが大きく、その夜は深酒をした。
翌日ダウンは出勤して、いつもの通り仕事をした。
自殺未遂で緊急搬送され手術を受けた患者、チェ・ジュンギさんが、精神科へ移って来た。
ジュンギさんは、石が喉に詰まってる妄想を見てのどを刺したのだった。うつが悪化して2ヶ月で8キロ減っていた。
ジョンランがダウンを気遣い、担当をすると申し出たが、ダウンは自分が担当すると。そこはスワンさんがいた病室だった。
ダウンは、深呼吸して病室に入り、ジュンギさんの血圧を測った。彼は妄想が見え、暴れ始めた。数人で彼を押さえ安定剤が注射された。
ファン先生は、ジュンギさんの姉から事情を聞いた。
「弟夫婦は、恋愛結婚で子供も授かり、幸せな夫婦だったが、赤ちゃんが原因不明で突然死した。弟は辛さを堪えて、すごく努力してたが、義妹の口数が減り続け、自殺した。残された者はどう生きれば?」と訴えた。
ファン先生は、ドゥルレの銀行口座が凍結されたと知り(母親の借金の為)、援助を申し出たが、彼女は拒んだ。彼は、食事だけはしてほしいとの思いから、看護師たち全員に食べ物を差入れ、彼女を援助した。ドゥルレは先生の気持ちをありがたく受け取った。
翌日、葬儀を終えたソワンさんの父親が病院に来た。病室に入りたいと言っているのを、警備員が止めていた。それをソン師長が見た。
その後、父は外のベンチに座り、ずっと病院を見ていた。ソン師長が道路を挟み、その様子を見ていた。
『自殺サバイバーの心的外傷後ストレス障害』、ファン先生の発表で、カンファレンスが始まった。
医師と看護師たちも出席したが、ダウンは病棟に残った。
自殺サバイバーとは、親しい者を自殺で亡くし、そのつらさに耐えて生きる者の意味。この勉強会を通じて、患者の苦しみの理解に役立ててください。
チェ・ジュンギさん、半年前、第1子を突然死で亡くし、その後すぐ、奥様もショックで自殺。
奥様は愛情深い人で、人が好きで特に子供が好きだった。ある日、仕事から帰ると奥様は首を吊って死んでいた。彼にはその姿が常に浮かぶ。ジュンギさんは、”もしも、自分が妻を独りにしていなかったら、一緒に泣いていたら救えたか?”と自分を責めている。
自殺サバイバーたちは自分を加害者だ思ってしまう。
私たちの病院でも、つい最近、退院した患者が自殺しました。医師たちも人間、苦しんでいる方々もこの中にもいることでしょう。私たちはサバイバー、現在進行形なんです。私たちは現在という刃の上に立っています。
夕方になっても、ソワンさんの父はベンチに座っていた。ソン師長が離れたベンチに座った。
ゴユン先生は帰り、バス停でダウンと一緒になった。あの日(スワンさんの自殺した日)以来である。
彼はダウンが大きなショックを受けてると気づかったが、「何かつらいことがあったんですね?」とダウンに言われた。そして彼女は、ゲームの広告 ”ドラゴンを倒せ” を見て、「ソワンさんが言ってがゲームだわ」と平気な顔をして言った、、ゴユンはすごく違和感を感じた。
病院に朝がきた。ソワンさんの父はまだ同じベンチに座っていた。ソン師長は隣のベンチに黙って座っていた。
お父さんは「師長、みなさんのおかげで息子は寂しくなかったはず。本当に感謝します」と頭を下げた。師長は父に「自死遺族の心のケアをする集まりがあります。参加しませんか」と誘った。
”心のケア” の集まりがあった。イム教授を中心に、入院患者や残された家族が輪になって座っている。チェ・ジュンギさんも参加していた。ソワンさんの父は輪に入らず、師長の横に座り見ていた。
数人が、家族や大切な人を自死で失った苦しみを話した。
イム教授がチェさんに「話しますか」と聞いた。「妻が自殺しました。あまりに突然で実感がありません」と彼は言い、首の傷を押さえた。
教授が「奥さんとお別れができていないようですね、葬儀をもう一度行ってみては?」と言い、チャ先生が円の中央に横たわった。「奥さんだと思って、言えなかったことを今言ってください」と。
チェさんは横に座って「時間をあげたかったんだ、悲しみや苦しみに浸る時間、忘れる時間。でも今思うと、放置だった。君を独りにして、独りで泣かせた、俺がもっと気付けていたら、、今度は独りにしない、だから次も一緒になろう、幸せになろう」話しながら彼は泣いた。輪の人たちもみんな泣いた。
キム教授が「身近な人の自殺は大きなトラウマとなり、心的外傷後ストレス障害につながる。”記憶の解離”が起きることがある。あまりにつらいと、なかったことにしてしまうのです」と話した。
そこにダウンが入って来た。ソワンの父が「息子は何て言ってました?死ぬ前に」と聞くと、ダウンは「ソワンさんが死んだ?何の話ですか。退院しましたよね」と、、それを聞いた看護師たち、医師たちは驚いて彼女を見た。
その頃、ゴユンもファン医師に「ダウンさんがおかしい、ソワンさんの死を忘れているみたいだ」と相談していた。
感 想
7話もつらい話でした。
ソワンさんの自殺で、病院の医師、看護師たちもみんな傷を負っていますが、何ともないフリをして、目の前の仕事、患者さんに接さなくてはならない。
ソワンさんのお父さんが病院の外のベンチで一晩中座っていました。ソン師長が何も言わずに近くのベンチに移動しながら、お父さんと一緒に一晩中過ごした場面に、グッときました。お父さんはどれほど慰められたことでしょう。
チェ・ジュンギさんの体験も、彼が”心のケア”で奥さんに言えなかったことを言う場面も、涙が止まらなかったです。
そして最後、ダウンに”記憶の解離”が起きていました。あまりのつらさに事実を受け止められなかった。すごいドラマだと思います。
第8話 悲しみの有効期限
みんながダウンを気づかっていた。
イム教授がダウンに「大丈夫ですか?解離は防衛本能、急にショックを受けると身を守る為に記憶自体を消すんです。時間が経てば癒えるかもしれない」と言った。
ソン師長は「毎日規則正しい生活をするように。数日休めば?」と助言したが、ダウンは「迷惑をかけたくないし、仕事で気を紛らわしたいので」と休みを取らなかった。
ダウンを心配しているゴユン先生には「1ヶ月待ってください。思う存分悲しむことにします。日常を取り戻せたら、もう一度あの質問を私にしてください」と言った。
彼は「ダウンさんのためなら10年でも待てます。1ヶ月後に」と言って握手した。
ダウンは、毎日同じ生活をするために、細かくスケジュールを組んだ。
いつも通り勤務した。”境界線人格障害”のジェヒの担当は、ジュンランに代わってもらった。
ジェヒは退院したが2週間後にまた手首を切って戻って来た。今度はダウンが担当した。
彼女は人に嫌われることを極端に恐れていた。「看護師さんに好かれたい」という彼女に、ダウンは「ジェヒさん自身の愛を自分に与えてください。二度と傷つけないで」と優しく言った。
チェ・ジュンギさんが退院の日を迎えた。ダウンは「戻ってきたらダメですよ」と見送った。
ドゥルレは、ファン先生と付き合ってるようだ。ドゥレルは家を売ったが、彼女の家に母親が押しかけて来た。娘がファン医師に送ってもらったのを見て、すぐに彼に目をつけた。
ダウンは順調にそうに見えた。ユチャンを誘ってカラオケで盛り上がった、、、と思ったが、マイクを落とした。
ユチャンが「大丈夫か?」と聞いた。「全然、大丈夫じゃない。みんな大丈夫かと聞く、ずっとつらかったのに、全然大丈夫じゃないのに」と大声で泣き出した。ユチャンは驚いて、彼女を抱きしめた。
時間は解決してくれなかった、、。
ダウンは師長に休暇を申し出た。
それから家のベッドで何日も飲まず食わずで眠り続けた。母親が心配して話しかけても起きない。ダウンの好物の料理を作っても、彼女は全く口をつけなかった。
母に心配かけてるとわかっていたが、ダウンは何もしたくなかった。
母はユチャンに助けを求めた「1週間も寝込んでいる、外に連れ出して」と。
ユチャンがダウンの部屋のカーテンを開け、布団のまま彼女をかついで外に連れ出し、靴を履かせて、バイクに乗せようとしたが、ダウンは「行きたくない」と怒った。「ほっておいて、帰って、私は死んでもいい」と彼を追い払った。「もう勝手にしろ」とユチャンは帰った。
ダウンは「自分のせいで周りが苦労している」と分かっていたが、元気が出なかった。地面の底に沈んでいく気分だった。
ユチャンは、クォン先生のマンションに来て、ダウンの状況を話した。先生は「うつ病かも。急に始まったから危険かもしれない。今は何もするな。うつの人は、靴を履くことも、食事や入浴の日常生活も難しい」と言った。ユチャンは、自分が彼女を無理強いしたことを悔んだ。
そこにゴユンが来た。今日が、ダウンと約束をした1ヶ月後の日で、彼は花束を持っていた。ユチャンが彼に「ダウンはうつ病」だと言った。
ゴユンは「確認してくる」とダウンの家に来た。
母親がダウンを起こして、帽子をかぶせて外に出した。公園で待っていたゴユンは、彼女の姿を見て驚いた。
「約束の1ヶ月が経ちました。会いたかったです。ダウンさんに初めて会った日から全てが印象的でした。笑顔を見ていたいです。だから精神科で診察を、うつ病だから、病院を紹介します」と言った。
ダウンの母が聞き「精神科を受診しろだなんて」と怒って、ダウンの手を引いて行ってしまった。
横断歩道の前で、ダウンは赤信号なのに横断歩道を渡り始めた、トラックにはねられそうになった娘を、母が飛び込んで助けた。
感 想
ダウンが苦しんでいます。”解離”と分かり、悲しみを受け入れようとした。悲しむだけ悲しんだら立ち直れる、時間が解決してくれると思っていたが、、、できなかった。
彼女はずっと無理をしていて、うつ病を発病してしまった。師長に休暇を申し込んだ時は、もう、うつ病だったのでしょうね。でも、いつも笑顔で働いていたから、誰も気づかなかったのでしょう。
ユチャンの話を聞いて、クォン先生はすぐに ”うつ病”と分かりましたが。
ダウンが赤信号でも横断歩道を歩いていくのを見て、先生の”危険”の意味が分かりました、お母さんの衝撃はいかほどだったか、、。
第9話 私はうつ病のナースです
ダウンば、病院のベッドで目覚めた。そこは”ハヤン病院”。
なぜ自分がここにいるのか分からなかったが、”精神科の保護病棟にいる、保護入院だから自分の意思では退院できない”ことは、精神科の看護師だから分かった。
看護師の言葉は、いつも自分が患者に言ってたことだったが、耳慣れなかった。薬をのんだ後、口を開け、飲み込んだ確認された。これも自分がしていたこと。
しかし、”薬をのんだら精神疾患を認めることになる”、ダウンは薬を吐き出してトイレで流した。
彼女は4人部屋に入れられた。
翌日、母がお弁当を持って面接にきた。彼女は事故で足をケガしていた。
ダウンは「なぜ保護病棟に入れたの?重症でもないのに」と訴えた。母は「あなたの症状は深刻よ。死にそうで怖いの」と涙目で言った。ダウンは「もうすぐ休暇が明ける」と心配した。母が「師長さんに頼んで休暇を延長した。治療を受けなさいと言ってた」と言うと、ダウンは「精神病院に入院したと言ったの?ひどいわ、早くここから出して」と泣き叫んだ。
ハヤン病院にゴユン先生が来た。もちろんダウンを心配して。
ダウンの担当医、ジアン先生と彼は旧知の仲のようで、先生にダウンのことをお願いした。
外に出た時、ダウンを見かけたが、彼女はゴユンに気がつき逃げた。
ダウンはジアン先生に面接を求めた。
「私は大学病院の精神科の看護師なので、症状も治療法もよく分かっている。入院は不要、退院させてください」と主張したが、
「あなたが看護師だと知っている。患者の中には自分を客観視できない人もいる」と言われた。
ダウンはショックを受けた。
ダウンは、薬ものまず、課題の絵も描かなかった。同室の患者から「どんな偉い人でも、ここでは同じ患者よ。ところで何科の看護師?」と聞かれ、飲み物を投げ、暴れて叫び、一人部屋に入れられ、、泣いた。
ダウンの母は、ゴユン先生に会い、あの日のお礼を言った。ゴユンが娘を好きだと知り、喜んだ。「ダウンは常に他人を思いやる子でした、夫が死に、娘をどう育てようか途方にくれたが、ダウンは苦労一つかけなかった。本当はつらかったのでしょうか?なぜうつ病に?」と言って泣いた。
「あまりにもいい看護師だから、人の苦しみに胸を痛める人、いつも笑顔でつらい気持ちを押し殺す人だからです」とゴユンは言った。
「娘をどう治せば?」と聞く母に「相づち打てばいいんです、”まあ” ”すごい” とか。家族の支えが一番大事です」と彼は言った。
翌日、ダウンはジウン先生と面接した。
ダウンは「皆誤解している、大げさです。そこまででもないのに」と言った。「そこまでとは?」と先生が聞くと、「私が死ぬと思ってるんです」とダウンは答えた。
「入院直前に事故がありました。横断歩道で、私が車を避けないので、母が驚いたようです。あの時だけ、死のうとなんかしてません」とダウンは言ったが、
「お母さんはそうは言ってませんでした。よく思い出してください」と先生が聞いた。
ダウンは思い出した。母に助けられた後、母の手を解いて、横断歩道から車に向かって歩いたのだ。それに気付いたゴユンがダウンを抱きしめ、車から引き離した、その間、ダウンは叫んでいた。
「精神科の看護師なら、自殺未遂は相当の重症だとお分かりですよね。思い出せたのはよい兆候です」と先生は言った。
ダウンは、自分が自殺を図ったうつ病患者だ、だからここに来た、と認識した。
ドゥルレの母は、娘の家を物色して、新聞の”ファン教授御一家”の写真に、娘の彼氏を見つけた。早速、精神科のファン先生に面接を求めた。
母は「娘は経済的に苦労している、彼氏が1000万ウォン援助してあげたら?」と言った。それをドゥルレが見て、急いで母を連れ出し「もう彼と会わないで、別れるから」と言った。
別の日、ファン先生は、またドゥルレの母から呼び出され、お金の無心をされた。
「聞かなかったことにします。あんなに素敵なのに、ドゥルレさんがなぜ卑下するのか、お母さんに会って分かりました」と言った。
ドゥルレは先生にお詫びし「別れましょう」と言ったが、先生は「別れません。病名は”母親”です。母親を捨てなさい」と言った。
ダウンは、母が持って来たお弁当に箸をつけた。「お母さん、ごめんね。早く治す」と彼女は言った。
ユチャンは、ドラマの続きをダウンに話した。続きを聞きたくて、ダウンが ”とりあえず生きてみよう”と思ってくれるならと思って。ダウンはそんな彼に心から感謝した。
ダウンはきちんと薬を飲むようになり、体調に合わせて薬を要求もした。
ミョンシン大学病院、精神科に新しい患者ソンさんが入って来た。彼女はずっと帽子を被って、夜中も寝ずに立っていた。
脳検査になっても、ソンさんは帽子を脱がないで暴れ出した。そこに師長が来て「やめなさい、エシン」と言った。
感 想
病院で目覚めたダウンが、精神科の保護病棟に入っていると分かりながら、精神疾患を認めたくなくて、抵抗し続ける心理が、すごくリアルに思えました。精神科の看護師の自分が、精神疾患になったとは、認めたくなかったのですね。
8話、ダウンが横断歩道を赤信号で渡り、母に助けられた所で終わりましたが、その後があり、車に向かって歩いて行ってのです。それを本人が思い出すまで、ジウン先生が質問を畳かける場面に緊張感がありました。こんな風に患者に認知させるのかと、とても興味深かったです。
”自分が自殺を図ったうつ病患者”と認めてからは、お母さんのお弁当にも箸をつけ、薬もきちんと飲むようになりました。自分の病気を認めたから、回復への道を進めるようになった。
うつ病になったのはつらいことだけど、光が見えてきた9話だったと思います。
ファン先生のドゥルレへの愛が深くて、だんだん、ファン先生のファンになってきました(って、予期せぬダジャレに😂)。
第10話 旅で一番つらい場所
「やめなさい、エシン」師長の言葉に、患者と看護師たちが驚いた。エシンさんは師長の妹だった。師長がなだめてる間に、彼女は帽子を脱ぎ、脳検査を受けることができた。
師長は看護師たちに「妹がきっかけで看護師になろうと思った、看護大で、総合失調症だと知った、だから精神科を選んだ」と話した。
師長は、薬局で希望通りに調合してもらえなかったとドゥルレが苦労しているのを知り、自ら薬局へ。ソン師長が行くと、一発で調合された(さすが師長👏)
ダウンはジアン先生の面接を受けた。
「今日の散歩は?」と聞かれ「1人で歩きたかったが、他の患者に誘われた」と言った。
ダウンは周りの人に幸せでいてほしくて、常に相手を優先してきた。子供の時は、母を悲しませないことが大事で、常に友達を優先し、友達が好きなものを知ってるのに、自分の好きなものを知ろうともしなかった。救うべき人は自分だったと気づいた。
「幸せになりたい、どうすれば?」と先生に聞くと、「自分が望む通りに行動してみては?」と助言された。
次は”褒め言葉日記”を書くように助言された。小さなことでいい、自分を褒めることを思いつくまま書く。
ダウンは毎日、小さな自分を褒めることを書いた。そして朝が来るのが楽しくなり始めた。
次の面接で「褒め言葉日記は上出来、表情も良くなり、薬も合ってるし経過も良好です。日常生活が送れるようになったのは回復した証拠、退院を勧めます」と先生は言った。
ダウンは勇気を出して師長に電話した。「もうすぐ退院です」と言うと、師長は喜び「すぐ出勤するわよね」と言った。
母とユチャンに、仕事復帰の件を話すと二人は喜んでくれた。母は”ヨモギ餅”を作ると言った。ユチャンは、ダウンに刺激を受け、再就職を考え始めた。
ダウンは病院の最後の日、”キム・ソンシクさん”と会った(2話の患者)。彼は、治らず転院を繰り返していて、もうすぐまたミョンシン大病院に転院すると話した。
ダウンは、ソンシクさんがミョンシン大に移ると自分が精神科に入院してたことがみんなにバレると恐れた。
翌日、ダウンは退院し家に戻った。まだ、ゴユン先生には会いたくなかった。
ソン師長は、妹のエシンと暮らすために、環境の良いマンションに引っ越してきた。
管理室で”入居者カード”を記入、”注意すべきこと” の欄があり「妹が”総合失調症”です」と言うと、住民の了承が必要だと言われた。師長が夫人会長に挨拶に行くと「一存では決められない、総会の後で引っ越しを」と言われた。師長は「法律的にも問題はないし、妹は犯罪者ではない」と言ったが、、。師長は許可を得るために、1軒1軒挨拶に回ったが断る家も多かった。師長は引越しの荷物をほどけないままでいた。法に訴えれば住めるけど、住みづらくなると分かっていた。
ダウンは出勤の前日、ユチャンの家に、母が作ったヨモギ餅を持って行った。
キッチンから、彼の母の「理解できない、精神科に入院した人を復帰させるなんて」と話してる声が聞こえた。
彼女は、ソンシクさんがミョンシン大病院に戻ってきたと知った。
翌朝、ダウンは出勤しなかった。母に「転職しようかな」と話した。母はゴユンに「ヨモギ餅はお好き?」と電話し、彼はすぐにダウンの家に取りに来た。
ダウンはゴユンに「会うのはやめましょう。恥ずかしい、自殺未遂や入院のことを知られたから。返事は”もう現れないで”。看護師も辞めます」と。
ゴユンは「がっかりだ、ダウンさんらしくない。自分を卑下するダウンさんが許せない。そんな理由なら諦めません。餅はいただきます」と言って出勤した。
ドゥルレは家を売り、借金を返した残金、全財産を母にあげた。そして母を捨て、ファン先生の家に来た。
夜、ダウンはユチャンに呼ばれた。彼は、勇気を出して再就職すると彼女に話した。
家に戻ると、門の外で師長が待っていた。
ダウンは「もう看護師は無理です、うつ病なので。誰も歓迎しない、皆に迷惑が」と話した。
師長はマンションの住民に許可をもらいに回った時の、心無い偏見の言葉を思い出した。
「あなたは犯罪者?精神疾患が何よ。何も悪ことをしてないのになぜ人の目を気にするの」と。
「分かってるけど弱気になる。逃げることにします」と言うダウンに
「もう患者に会いたくないの?」と師長は聞いた。
ダウンは、精神科で会ってきた、たくさんの患者の顔を思い出した。
「師長、私は看護師の仕事が大好きです。看護師を続けます」とダウンは泣きながら言った。
師長は彼女を抱きしめ「やりなさい。明日から堂々と出勤しなさい」と言った。
感 想
ずっと帽子をかぶっている患者は、ソン師長の妹のエシンさんでした。師長は妹さんのために、精神科の看護師になった。妹と環境の良いところに住むために引っ越したが、住民の家を一軒ずつ回るが、住民の心無い偏見で、荷物が解けないままでいる。
ダウンは、治療に効果が出て、退院することになった。ソン師長は彼女を待っているが、病院でキム・ソンシクさんと会い、彼がミョンシン大に転院すると知り、自分が入院してたことがバレることを恐れていた。
ソン師長がダウンの家の前で待っていて、2人で話す最後の場面はまた涙なしでは見られませんでした。師長は、ダウンの気持ちが痛いほど分かった。でも人の目ではなく、ダウン自身に本当に望むこと”看護師の仕事が大好きで、続けたい”に気がつかせました、すごいです。
脚本も俳優さんたちの全て素晴らしです。
第11話 そして旅は続く
ダウンが出勤すると、看護師の仲間たちはとても喜んだ。
ダウンは、女子高生のパク・ビョンヒを担当した。学校生活に馴染めずに入院していた。
次に、キム・ソンシクさんの血圧を測っていたが、彼の兄が「他の看護師さんに」と言った。
ダウンは、後で同僚たちに病気のことを話すつもりだったが、ビョンヒの母がすごい剣幕で「看護師を替えて。チョン看護師は精神病院に入院してたから」と同僚の看護師に訴えてた。
ダウンは同僚に「黙っててすみません」と謝った。みんなは理解してくれた。
師長が「悪いのは私よ、私が内緒にしたから。周りの冷たい目を体験したから、最後まで守りたかった。入院中のソン・エシンさんは妹なの。あなたは何も悪くない。胸を張って堂々と仕事をするの」と慰め励ました。
ダウンは引き続き、ビョンヒを担当したが、彼女の母親から心ない言葉を浴びせられた。他の患者たちもダウンをジロジロ見て噂した。
ビョンヒ母とソンシク兄は、他の患者の家族を集めて、病院に抗議する相談をしていた。
ユチャンは、チャ医師に再就職の相談した。理由を聞かれ「自分が未熟者に思える」と言うと、「誰かに言われたのか?」と聞かれたが、誰からも言われていない。「自分で自分の悪口を言い続けていたのですね」と先生に気付かされた。
翌朝、ダウンはバス停でゴユン先生と会った。彼女が、看護師を辞めないで、自分ともまた会ってくれると分かり、ゴユンは喜んだ。
しかし、病院の掲示板で、ダウンのことが叩かれていた。エレベーターの中でも、病院内のどこにいても、彼女はジロジロ見られて、ウワサされた。
ソンシクさんが「すみません、兄のせいで」とダウンに謝った。彼女は「ソンシクさんのせいじゃない」と言った。
ダウンは帰りのバスの中で ”今日もへこたれずに仕事した自分をえらいと思った”と”褒め言葉日記”に書いた。
翌朝、ダウンはゴユン先生と一緒に出勤した。
病院の前で、患者の家族たちが”チョン・ダウン看護師を解雇せよ”とピケを張っていた。
ダウンは彼らの前で深く一礼してから、病院に入った。
ダウンが検査のために、ビョンヒの採血をしてたら、母親が止めようとして針が抜け、血が吹き出た。ダウンは何事もなかったようにすぐに処置した。
ドゥルレは、ダウンに「看護師を辞めては?こんな仕打ちを受けて、なぜ我慢するのか?」と聞いた。ダウンは「私には看護師がワクワクする仕事なの。今経験してる全ての過程が私を成長させると思ってる」と答えた。
患者の家族たちが、チョン・ダウン看護師について、”家族懇談会”の席を要求した。広報の担当者と師長とダウン出席した。
ビョンヒ母が「うつ病で保護病棟にいましたよね?治りました?」と聞いた。ダウンは「ええ、いました。退院後も服薬を続けています」と答えた。
「精神疾患があるのに社会生活をするなんて」と母と、他の家族が口々に言った。
師長が立って「お母さん、心を病んでいる者は社会生活をするなと?では娘さんも、ソンシクさんも、他の患者さんたちも一生家から出ちゃだめですね」と言うと、家族は「ひどすぎ」と言い出した。
「なぜ?自分の家族が言われるとつらいですか?でもみなさんが言った言葉を、患者は退院後に浴びせられる。”病人を雇うな” ”通常学級に入れるな”、経験者でしょ。精神疾患は、誰もが経験しうる予想不可能なものです。無関係だと思わないでください」と師長は言った。
ビョンヒの母、ソンシクの兄、その他の数人の患者の家族は、ダウンの解任要求運動から抜けた。
翌朝も、まだ6人の家族が、病院前でピケを張っていた。広報担当が「病院はチョン看護師は解雇しないと正式決定した。決定に不服があるご家庭には、転院の便宜を図ります」と説明した。
実は、前日の夜、ゴユンが院長の車を待ち伏せして、院長に「ダウンを解雇しないように」と直談判したのだった。
ゴユン先生がバスを降りるとダウンがいた。ダウンが、「待ってました、会いたくて」と言った。二人は一緒に歩いた。
ドゥルレは高校時代の友だち、ナラと4年ぶりに会い、彼女が、クルーズ船で乗客の世話や、客をもてなすために歌やダンスをする仕事をしてることに興味を持った。同僚と集まるナラに付いて行った。居酒屋ですぐにダンスと歌が始まり、彼女は初めて見る世界にワクワクした。
後日、ドゥレルはファン先生に「看護師を辞めます。ワクワクしたことがないんです」と言った。
師長は、退院した妹のエシンさんを新しいマンションに連れてきた。まだ荷解きがされていない。
師長はエシンさんを連れて、婦人会長に挨拶にきた。エシンさんは「外に出ません、家の中でずっと過ごします。ですから姉と私をここに住まわせてください。お願いします」と頭を下げた。
師長はエシンさんと一緒に、荷物を解き始めた。
ユチャンは、面接試験に来ていた。番号を呼ばれた時、彼は息苦しくなり、また、足元から水が溢れてきた。彼は大きな声をあげた、水は引いた。ユチャンは面接に間に合った。
”パニック障害治療中”と履歴書に書いていた。あえて公表した理由を聞かれ「長い間、閉じ込められていた気分だったが、おかげで大切なことを知りました」と言った。
感 想
11話も本当にすばらしかったです。
仕事に復帰したダウンを待っていたのは、すごい偏見でした。ダウンが傷つきながらも、心折れずに、淡々といつもの通り誠実に仕事をし続ける姿に姿に感動しました。
10話の最後で、話に来てくれた師長と話した時に、自分がどれほど看護師という仕事が好きなのを改めて自覚したから、揺るがなかったのかと思います。
”今経験してる全ての過程が私を成長させると思ってる”、こんなことを言える人って本当にすごいです。
患者の家族との”家族懇談会”で、師長が言った言葉も、本当に心に刺さりました。
妹のエシンさんが夫人会長にお願いした言葉に胸が痛かったです。でも長い間ほどけなかった荷物を、師長と妹さんが一緒にほどく場面に胸が熱くなりました。
第12話 今日もあなたに太陽を
ダウンの担当の女子校生のビョンヒが自傷行為をし、保護病棟に移った。ビョンヒは、タブレットが使用禁止になり、ヒステリーを起こした。彼女の母は、ダウンを傷つけたことを、謝った。’
ダウンは、ソワンさんのことを思い出して、少し元気がなかった。ゴユンと母が気遣った。
ドゥレルはダウンに「看護師を辞める」と一番に話してから、師長に退職願を提出した。
パク主任は師長とビールを飲みながら「人手不足なのに、あんな有能な人を引きとめもしないなんて」をすごい剣幕で怒っていた(ハハハ)。
ドゥレルは友達のナラをファン先生に紹介した。ドゥレルが笑顔でミュージカルやクルーズの話をしているのを見て、先生は彼女に「これからは好きなことをして」と言った。
ゴユンとダウンと早朝散歩をした。快眠のためには、早朝散歩がいい方法らしい。
2人は、初出勤のユチャンに会った。
ビョンヒは知能検査を受けた。ダウンは、母親に知能検査を受けさせる理由を聞きた。
「小さいころから発達が遅めで、発語も遅く、友達の遊ぶのも苦手だった。高校で志望校を提出したが、無理だと言われた。ビョンヒは ”パイロットになるのが夢”で、それを教室で言うと、クラスメイトが彼女をバカにした。ビョンヒは鉛筆で自傷行為を始め、入院してきた」
知能検査の結果は、71点で境界知能に該当した。「69点以下は知能障害、90点以上を平均とみなす、その間の70点から84点を境界知能と呼ぶ。適切は適切な教育を受ければ平均に近づける」と教授は説明した。
母親は、再検査をお願いした。ビョンヒは、母から再検査を聞き、ヒステリーを起こし、また自傷行為をしようとした。ダウンは、輪ゴムを彼女の左手首につけて、引っ張って離した。パチッと当たって痛かった。ダウンは「自分を傷つけたくなったら、このゴムをぶつけて」と言った。
ユチャンは、初日から取引先に紹介されたが、相手は、彼が以前勤めていた会社の部長だった。彼女は、ユチャンのことを「仕事は速いし報告書もすぐ通るから、あだ名が”高速道路”だった」と話し、ユチャンは早速上司から急ぎの仕事を依頼された。
ゴユンは明け方、ユチャンに会ったが、彼は会社からの帰りだった。またすぐに出勤しなくてはならない。
2日目のゴユンとダウンの朝散歩が終わった後、ゴユンの母が2人に朝食を作った。
その後、母はゴユンに「私はダウンのことが常に心配で不安です。でも先生といる時のダウンは楽しそうで、安心しました。だから先生に任せることにします」と言った。ゴユンは「感謝します」と深く礼をした。その後、母はやっと安心してぐっすり眠れた。
ビョンヒは2回目の知能検査を受けた。
結果は少し上がり75点だったが、実は母親は、69点以下になることを望んでいた。「69点だったら、特別支援学校に入れられた。普通学校に通っても、他の子と同じように平凡に暮らすのには何倍も努力が必要。かなわぬ夢を抱かせるより、現実的に稼げる力を身につけさせたかった」と母親はダウンに話し、涙を流した。
ユチャンは会社で頑張っていたが、前の会社と同じように、次から次へと仕事が入り、息苦しくなってきた。
彼は上司に「退職したのは、仕事の重圧が原因でパニック障害になったから、会社に慣れるまで余裕が欲しい」と相談したが、「何も考えず仕事に没頭しろ」と相手にされなかった。ユチャンはまたトイレで発作を起こしそうになった。
彼は定時になると「帰ります。緊急に自分を労る必要性を感じているので」と言って帰った。その日からユチャンは定刻の6時に帰宅するようになった。
ビョンヒの退院が決まった。ダウンが母親に、どうすることになったのか聞くと「就職クラスを作るそうなので、卒業まで通わせる」と言った。本人はパイロットを諦めていないようだが。
ドゥレルの送別会が開かれた。
彼女とファン先生が付き合ってること、ダウンとゴユン先生が付き合っていることを、みんな知っていた。
彼女はクルーズの仕事が決まっていたが、1年もファン先生と離れることを不安に思っていた。ファン先生は「クルーズに乗ってください、私のことは気にしなくていい」と彼女を励ました。
ドゥレルの出発の日、ダウンは空港に見送りに行った。
ダウンが「ドゥレルさんのような看護師になりたいと思ってた」というと、「先輩を見て看護師を諦めた。起き上がる方法を見つけるために看護師を辞めた」とドゥレルは言った。
ダウンは空港でビョンヒに会った。彼女は、学校ではまだ辛い目にあって自傷行為をしようとしたが、輪ゴムで自分をパッチンとして耐えたようだ。
彼女は、空港が職場だと言った。先生に”夢の近くで働きなさい”と言われて、”空港案内サービス”の実習をしていた。「看護師さん、また会いましょう」と彼女は仕事に戻った。
精神科に新しい看護師が来た、チ・スンジェ看護師である。
私たちは皆 境界にいる。うつとの境界にいた私は、うつより先にやって来てくれる人を得た。
私たちは皆正常と非正常の境界線上で生きてるのだ。
ーー完ーー
最後まで見た感想
最終回も本当に良かったです。
再就職したユチャンが、自分を守るために定時には退社することも、女子高生のビョンヒが、”夢の近く”の空港で実習を始めたこと、大きな進歩だと思います。
最後に、パニック障害の研修生だったチ・スンジェさんが、看護師として精神科に入って来たのも良かったです。
ダウンもゴユン先生と恋人になって、楽しそうにしていることで、お母さんもやっと安心しました。
このドラマの中で、日々、患者さんたち、看護師たち、医師たち、家族たちが懸命に生きている姿に、心をうたれました。
精神疾患についても、たくさんの学びがありました。
師長さんの「精神疾患は、誰もが経験しうる予想不可能なものです」ということば、最後の『私たちは皆正常と非正常の境界線上で生きてるのだ』も、その通りだと思いました。
そしてやはり大切なことは、「助けて」と言える人がいることですね。自分の近くにいてくれる人たちを大切にして感謝していこうとまた改めて思いました。
素晴らしいドラマに感謝します。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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