スティーブ・ジョブズ 伝説のスピーチから学ぶ【仮定法】

2005年、スタンフォード大学の卒業式(Commencement)でのスティーブ・ジョブズの伝説のスピーチから【仮定法】を学んでいきたいと思います。

15分ほどのスピーチで、自身の経験から3つのストーリーが話されます。論理的で簡潔、かつ深い内容です。

このスピーチに「仮定法」がたくさん使われています。要約をしながら、仮定法が使われている表現や印象的なフレーズもピックアップしたいと思います。

Steve Jobs’ 2005 Stanford Commencement Address by Stanford University

第1ストーリー:Connecting dots (点と点を結ぶ)

要約:点と点は、後から振り返った時に、繋がっていたことが分かる。自分の心の声に従って行動すれば将来に結びつく。

私(スティーブ・ジョブ)はReed Collegeを6ヶ月で辞めた。そして興味ある科目だけをドロップイン(聴講生)として受講した。当時は大学を辞めるのは大変怖かったが、振り返ってみると、これは人生の中で最もよい決断の1つだった。自分の好奇心と直感で「Caligraphy (文字を美しく見せる手法)」のクラスを受講した。その頃Reed Collegeは国内で最高のカリグラフィークラスがあり、キャンパスは美しい手書きの文字で溢れていた。Serif (文字の端の小さな飾り)やSan Serif (飾りのない書体)、また一番美しく見せる文字と文字の間隔などを学んだ。美しく、伝統があり芸術的で魅了された。当時、これが将来何かの役に立つとはまったく予想もしていなかった。しかし10年後、最初の Macintosh Computerをデザインした時、この全てがよみがった。この時に学んだすべてのことをMacに注ぎ込んだ。美しいタイプグラフィ(適切なフォントと種類を選び、美しく文字を見せること)を持つ初めてのコンピューターになった。

If I had never dropped in on that single course in college, the Mac would have never had multiple typefaces or proportionally spaced fonts.

【もし、私がこの科目にドロップインしていなかったら、Macは決して複数の書体、もしくは比例間隔のフォントを持つことはなかっただろう】

And since Windows just copied the Mac, it’s likely no personal computer would have them. 

【Windowsは、Macのコピーなので、パーソナルコンピューターがそれらを持つことはなかったと思える】(これが話された後で、大きな笑いと拍手が起きています。)

If I had never dropped out, I would have never dropped in on this calligraphy class and personal computer might not have the wonderful typography that they do.

【もし大学をドロップオフしなければ、私は決してこのカリグラフィーのクラスを受講することはなく、パーソナルコンピューターは現在のような素晴らしいタイポグラフィを持っていなかったかもしれない。】

もちろん、当時はカリグラフィークラスを受講したことが将来に結びつくと分かるのは不可能だった。しかし10年後振り返ると、点と点は確かに繋がっていたことが分かる。皆さんも、点は将来に繋がっていることを信じること、そうすれば自分の心に従う勇気を持つことができる、と語られます。

第2ストーリー:Love and Loss (愛と喪失)

要約:アップル社をクビになった時の喪失、しかしその絶望の時代を、愛する仕事に新たにチャレンジすることで乗り超え、それがより素晴らしい結果を導いた。愛する仕事をすることが重要である。

20歳の時にWozと私の家のガレージで会社を始めた。懸命に働き、10年で2ビリオン、従業員4000人の会社にまで成長した。しかし最新のMacintoshをリリースした時、会社をクビになった。ちょうど30歳になる時だった。

自分が作った会社をなぜクビになったのか?会社が成長している時期に、経営の才能があるパートナーを見つけた。最初1年ほどはうまくいったが、将来の展望が違ってきて、最終的に分かれた。その時に取締役会は彼の側に立ち、私は公的に会社を追われた。絶望の淵に立ち、数ヶ月どうすればいいかのか分からなかった。しかし時が経つうちに、私は自分がして来た仕事をまだ愛していることに気がついた。Appleからは拒絶されたままだったが、仕事をまだ愛していた。だから再出発することにした。

I didn’t see it then, but it turned out that getting fired from Apple was the best thing that could have ever happed to me.

【その時には分からなかったが、Appleをクビになったことは、私にそれまで起こりえたことの中で、最高の出来事に変わった。】

成功者の重荷を降ろし初心者に戻ることができた。それからの5年間は生涯で最も創造的な時期になった。新しい会社NeXTと別会社Pixarとを立ち上げ、将来妻になる素晴らしい女性と恋に落ちた。Pixarは世界初のコンピューターアニメーション映画、トイストリーストリーを作り、現在、世界で最も成功したアニメーションスタジオになっている。特記すべきことは、AppleがNeXTを買い、私はAppleに戻った。現在のAppleの繁栄の中心はNeXT時代に開発したテクノロジーの賜物であり、そしてLaurene(その女性)と私は素晴らしい家族を作っている。(以下の文に続きます。)

I’m pretty sure none of this would have happened if I hadn’t been fired from Apple.

【確かなことは、もし私がアップルをクビになってなかったら、これらの事は何も起きていなかったということだ】

It’s awful tasting medicine, but I guess the patient needed it. Sometimes life hits you in the head with a brick. Don’t lose faith.

【非常に苦い薬だったが患者には必要だったのだと思う。人生には時々ブロックで頭を打たれるようなことがある。しかし信念を失ってはいけない】(苦い薬とは会社をクビになったことで、患者はスティーブ・ジョブズ自身)。

自分の愛している事を仕事にして、愛する人のために仕事をする。仕事は人生の大きな位置を占める。満足できるのは、自分が素晴らしいと思う仕事をする事、と熱く語られます。

第3ストーリー:Death (死)

要約:人間は誰も必ず死ぬ。そしてそれは遠い先のことではない。あなたたちの時間は限られている、人生を無駄にしないように。(自身がガンになった経験を交えて語られる。)

「もし今日が人生最後の日だと思って暮らしたら、やがてその日が現実になる」という言葉を若い時に読み印象に残った。それから33年間、毎朝鏡を見て自分自身に問いかけた。

If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?

【もし今日が人生の最後の日だとしたら、私は今日しようと思っていることをしたいだろうか?】

”NO”(いいえ)という答えが続いたら、何か変化が必要だとわかる。

”すぐに死ぬ”ということをことを覚えていることは、人生で大きな決断を迫られた時の助けになる最も重要な道具である。なぜなら死を目前にすれば、ほとんど全てのこと、外的な期待、プライド、失敗の恥ずかしさや恐れなどは遠くに行き、最も大切なことだけが残るから。死ぬことを覚えておくことが、何かを失うかもしれないという考えに囚われることを避ける一番の方法。

You are already naked. There is no reason not to follow your heart.

【あなたたちはすでに裸なのだ。自分の心に従わない理由は何もない】(わかりやすく、かっこいい言葉ですね!)

約1年前に癌になり余命3-6ヶ月と告げられた。しかし細胞が変化し手術を受け、ありがたいことに回復した。この経験から死は必要で純粋に知的な概念だと理解した。誰も死にたくはない、しかし死はすべての人がシェアーする目的地であり、誰も避けることはできない。そして、そうあるべきなのだ。なぜなら、死は人生のもっとのシンプルな発明だから。人生の変化、新しいものを作るために古いものを一掃すること。今、あなたたちは新しい、しかしそう遠くないうちに、だんだん古くなりやがて遠く追いやられていく。残念だが、本当のことなのだ。

Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life.

【あなたたちの時間は限られている、だから誰か別の人の人生を生きて、無駄にしてはならない】

他の人の期待や意見に惑わされず、自分の心と直感に従って生きる勇気を持つこと。あなたたちは、本当にどうなりたいのか多分もうわかっているはず、と語られます。

Stay Hungry, Stay Foolish

最後に、スティーブ・ジョブズが20才ぐらいの時に発行されていた”The Whole Earth Catalog” (当時の若者のバイブルだった)の最終号の裏カバーの言葉 Stay Hungary, Stay Foolish が紹介されます。

I have always wished that for my self. And now, as you graduate to begin anew, I wish that for you.

私はずっとこうありたいと思ってきました。そして今日、卒業して新しく始める皆さんに、この言葉を贈ります。】 

Stay Hungry, Stay Foolish

これは訳しません。この言葉どう解釈するか、それぞれが、スピーチを聞いて自分なりに考えてみてはどうでしょうか?

まとめ

スティーブ・ジョブズ のスピーチから「仮定法」が使われている英文や他の英文を引用し、内容も紹介しました。仮定法は難しいですが、実際に使用される英文を暗記すれば、理解できるようになると思います。

ぜひ YouTubeで全スピーチを聞いてみてください。

心に残り、覚えておきたいフレーズがたくさんあります。

お読みいただきありがとうございました。

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