
2025年10月11日から配信の韓国ドラマ『テプン商事』。
1997年のIMF(国際通過基金)危機の韓国、父の急死により、父の会社『テプン商事』の新米社長になったカン・テプンが、会社の仲間や家族や周囲の人々と共に奮闘、成長していく物語。普通の人々の心温まるドラマの予感、すごく楽しみです。
あらすじを紹介しながら、感想を書いていきます。
*ネタバレあり
『テプン商事』登場人物()はキャスト
〔主要人物〕
カン・テプン(ジュノ):何不自由なく奔放に暮らしていた青年。IMF危機で父が急死、経営難に陥った父の会社『テプン商事』の新米社長になる。
オ・ミソン(キム・ミンハ):『テプン商事』の経理、家族を支える大黒柱でもある。新米社長のテプンを支える人物。
〔カン・テプンの家族〕
カン・ジニョン(ソン・ドンイル):テプンの父、テプン商事の創業者
チョン・ジョンミ(キム・ジヨン):テプンの母
〔テプン商事の社員〕
ク・ミョングァン:テプン商事経営部理事
チャ・ソンテク:テプン商事総務部次長
コ・マジン:テプン商事営業部課長
ぺ・ソンジュン:テプン商事物流部代理
〔オ・ミソンの家族〕
オ・ミホ:ミソンの妹
オ・ボム:ミソンの弟
ヨム・ブニ:ミソンの祖母
〔カン・テプンの周辺の人々〕
ワン・ナムモ:テプンの友人
キム・ウンニョ:ワン・ナムモの母
ピョ・パクホ:ピョ商事代表
ピョ・ヒョンジュン:ピョ・パクホの息子、テプンのライバル
第1話 台風の季節
『テプン商事』は、社長のカン・ジニョンと10名余りの社員が働く貿易会社。今日はテレビの撮影が入り、社長はじめ社員の面々は緊張しながらも、温かい社風を漂わせていた。
同じテレビ局が夜の若者たちを取材したが、若者たちは親のお金で快楽をむさぼっていた。
カン・テプンもその一人、クラブの常連で、女子に人気絶頂の ”アックストリート・ボーイズ ”のメインボーカル兼ダンサー。
その夜も大いに盛り上がったが、その後、ヒョンジュンに絡まれ、彼の仲間たちも加わり、激しいケンカが始まった。
オ・ミソンは、一家の大黒柱、家族を支えるために、朝8時から夜7時までテプン商事で経理として働いていた。そして仕事の後は、大学受験のためにソド学院に通っていた。
テプンたちは警察に捕まり、母親たちが迎えにきた。警察は「店側が器物破壊で訴えた。示談しなければ罪が重くなる」と言ったが、そこにテプンの父(カン・ジニョン)が来て、「示談はしない。もう大人だから自分で解決を」と言った。
ケンカ相手のヒョンジュンの父ピョ社長も警察に来ていた。彼とカン・ジニョンは面識があった。ピョ社長は、示談で話をつけていた。
父がテプンに「お前のような子が息子だとは情けない」と言ったので、テプンは反抗的になった。父はテプンを殴った。
テプンは地下鉄で隠れ家に戻った、バラを育てている温室だ。彼は「今日、父さんに殴られた、理由も聞かずに、初めてだ」とバラに話しかけ、カセットを聴きながら、一晩中は花の世話をした。
翌朝、彼は温室の外のコスモスを摘んで、新聞紙に包んで電車を待った。
同じ駅でミソンが電車を待っていて、同じ電車に乗った。彼女は、コスモスを抱えて今にも眠りそうな男(テプン)が気になった。彼女は、乗客が捨てようとした新聞をもらって読んだ。”アジア通貨危機”の大きな見出しが出ていた。
テプンがソウル駅で降りた時、コスモスの花が1本だけ電車内に落ちていた。
ミソンは誰よりも早く出社して、社員全員の机を拭いた。新聞紙に包んで持ってきた1本のコスモスをガラス瓶に生けた。
テプンの母は、息子が持って帰ったコスモスを花瓶に生けた。父は、ベッドで寝ているテプンのサイドテーブルのコスモスを見て微笑み、息子に布団をかけた。
母は夫が、息子に手を挙げたことを後悔していて、息子をすごく心配していることを知っているが、夫はいつも反対のことを言うのだ。
しかし、テプンは今日も父の靴を磨いていた。父は喜んでいたが、口には出せなかった。
テプン商会では、カン社長から、社員たちに特別ボーナスが支給された。先月はテバン繊維の件を頑張ってくれたからだった。
そこに、テバン繊維からの追加注文の電話が掛かってきた。
社長は、”イタリアの仕入れは先払いなので、大型注文を受けるのは無理がある”と心配したが、社員たちは、試算して、利益が億を超えると興奮した。
カンは社長室で、首の後ろを抱えて辛そうにしていた。ミソンが経理の資料を持って入ってきた。社長は彼女に、テバン繊維の件について意見を聞いた。ミソンは「断った方がいいと思います。仕入れできるのは先払いだからで、規模が大きすぎる」と意見を言った。
花の世話をして自宅に戻ったテプンは、父の靴がまた汚れていたので、すぐに磨いた。
翌日、カン社長は、テバン繊維の大型注文を受ける契約にサインした。
その夜、テプンは仲間の一人から、「ユンソンが夜逃げした。破産したらしい」と聞いた。
テプンはユンソンの家に行ってみた。誰もいなかったが、ユンソンが家を見に来た。逃げようとしたがテプンが捕まえた。ユンソンは、「テプン、他人を信じるな。俺たち家族のようになる」と言った。テプンは財布から身分証明書だけを抜き、財布と時計をユンソンに渡した。
帰り、父が一人でため息をつきながら食事をしているのを見たが、声をかけられなかった。
テプンの温室では、彼が開発したバラが美しく咲いている。純韓国産第1号のバラ、安くて色もいい、これがテプンの夢、彼は、もうすぐ父に見せることができると楽しみにしていた。
テプン商会では、カン社長が社員たちに、「キソン化学から受け取っていた手形が不渡りに、だから今月の給料はかなり遅れると思う。最近、イタリアの仕入れ先に支払いをしたばかり。給料を早く払えるように最前を尽くす、すまない」と頭を下げた。
そして彼は社長室に入った途端に倒れた。
すぐに救急車で病院に運ばれた。テプンは走って病院に来た。父は検査中だった、母が彼を見て泣いた。
テプンは、意識不明の父に一晩寄り添っていた。父の靴をセーターの袖先でまた磨いた。
翌日、ミソンは ”大学就学能力試験事前招集”会場に来て、試験を受けた。
夜は、カン社長のお見舞いのおかずを作った。社長は、妹ミホの学費を出してくれた恩人でもあるのだ。
テプンはずっと病室で父に付き添っていた。意識はまだ戻らないが、医師は、今は容態は大丈夫だと言った。ポケベルがなりメッセージを聞くと ”ヒョンジュンがユンソンとユリムをクラブの部屋に連れ込んで大変”と緊迫した声が入っていた。
テプンはタクシーを飛ばしてクラブに行ったが、メッセージはテプンを呼び寄せるためのウソだった。
ナムモが、「何してる、すぐに病院に帰れ」とテプンに言った。彼は急いでタクシーに乗った。台風が来ていて、激しい風と大雨が降っていた。
ミソンは社長の病室に来た。おかずを冷蔵庫に入れて帰ろうとしたら、社長が「ミソン」と声をかけた。
テプンのタクシーは渋滞で動かない。彼はタクシーを降りて雨の中、病院まで走った。
病院に着くと、白い布で覆われた人が担架で運ばれていた。そのすぐ後に母の姿が。母は泣きながら、「どこに行ってたのよ、臨終にも立ち会わないで」と言って倒れた。
テプンはただ呆然と立ち尽くした。
ロビーのテレビが、”韓国政府はIMFに緊急融資を申請した。国家としても不渡りを認め、国際機関の指導のもと復興を目指します”と伝えていた。
第1話 感 想
『テプン商事』、これはかなり期待できそう、私が好きなドラマの予感です!
カン・ジニョン社長、情に厚い、社員思いのとてもいい社長でした。息子のテプンのことも愛していているのに、それを伝えられないまま、1話で亡くなってしまったのは、とても悲しかったです。社長の心労は相当きついですね。手形が不渡りなり、お金を回収出なければ、社員に給料を払えないのだから。
ジュノさん演じるカン・テプンがほんとに素敵❤️。遊び人に見えるが、花を育てている、お父さんの靴をいつも磨いてあげる、すごく友だち思い。コスモスを新聞紙に包んで、電車に乗るなんて美しすぎでした。もうすぐお父さんに、自分が開発したバラのことを話せると思っていたのに、お父さんが突然亡くなって、悲しいです。
オ・ミソンを演じているキム・ミンハさんは、アップルTVの『パチンコ』で初めて知りました。主人公の若い時代、激動の時代を逞しく生きる女性を見事に演じておられました。今回もすごくいいです。若いながら一家を支えるために真面目に働き、社長からの信頼も厚い、実直で賢い女性なのがすぐに分かりました。
ところで、若い女子社員が朝一番に出社して、社員の机を拭いて、みんなにお茶をいれる、昔の日本にもありましたが、今はもうないですよね?すごく時代を感じます、わずか30年弱前なのに。
病室で、カン社長がミソンに気づいて話かけました。それが最後の言葉だと思いますが、何を言ったのかとても気になります。
第2話 アスファルトの男
テプン商事の社員たちは、突然の社長の死に大きなショックを受けた。
テプンは、子供の時からよく父の靴を磨いた。父はよくお花見にも連れていってくれ、テプンはそれで花が好きになった。実をつけるために花を咲かす姿を見せたかったのに、その前に父はこの世を去ってしまった。
葬儀場に来たチェ社長が、”未収がある”と香典を持って帰ろうとしたが、ミソンが「支払い期日は70日後。香典は社長の個人的なお金、持ち出したら窃盗罪」ときっぱり言った。
そこにピョ社長が現れ、膨らんだ封筒に入れた香典を置いた。ミソンは彼を怖い目で見た。彼女がカン社長を見舞った台風の夜、ピョ社長も病室に来ていた。彼が病室から出た時、ミソンは廊下で彼と目があったのだった。
ミソンの妹ミホは、IMF危機で、航空会社の採用が取り消しになっていた。
キム・ウルリョ(ナムモの母)が働く銀行でも、ウルリョと十数名に待機命令が降り、彼女たちの机が運び出された。彼女たちは寒いのに1日中廊下にいるしかない、辞職の書類にサインをすれば終わりだから。
『テプン商事』では、若い社員たちは退職届をだし、残ったのは5名だけだった。彼らは、「テバン繊維の売り上げが入ったら給料をもらおう、売り上げは1億1240万ウォン」などと話していた。
テプンが父の物を取りに会社に来て、初めて社長室に入った。
そこに昨夜、香典を持って帰ろうとしたチェ社長が部下と現れ、「金を払うか、連帯保証人のサインをしろ」と保証書を出した。テプンが、「今日からここの社員なので、保証人になる」と言ってサインした。チェ社長は、社長室の机を引き出しを勝手に開け、”事務所の契約書”を担保に持って帰った。
ミソンは、テプンの入社手続きのために、彼に人事記録の書類に記入してもらった。
テプンは父の物を1個の箱に入れて家に持って帰ったが、電気が消えている。クリスマスの飾りのろうそくがついていた。電気が止められ、暖房もつかず、母は父に買ってもらった毛皮を着ていた。
電話線が抜けていたので繋ぐと、借金取りの罵声が聞こえた。母はすぐに電話線を抜いた。
テプンが「父の物が多いから、また会社に戻る」と言うと、母は「歳月の垢ってやつね。26年もあそこで過ごしたから物が多い。お父さんが好きな帳簿や日誌、お父さんの分身よ」と言った。
ミソンは、庭で受験票や入試問題集をドラムカンに入れて焼いていた。ミホは水をかけ、「あきらめないで。姉さんにお返しする」と怒って泣いた。
テプンは社長室に戻り、家族写真の額の裏に小さな鍵を見つけた。その鍵は机の後ろの棚の鍵で、開けると中に秘密の金庫が隠されていた。
翌日もテプンは会社に行った。11時に会議があった。
”イタリアの生地の件は、仁川港に伝表の提出が完了、2日後に配送できる。この件が失敗したら大変なことになる。重要な仕事だから用心を”と確認し合った。
テプンはその後で、「テプン商事にとって重要な4桁の数字は?」と聞いたが、無視された。
社員たちは、一緒にドジョウ鍋を食べに出たが、テプンは断った。
ミソンが「4桁の数字、私の憶測ですが2072。社長の夢は100年企業を作ること、100年目が2072年なので」と言った。
夜になり、テプンは誰にもバレないように会社に戻った。
社長室の秘密金庫、”2072”を試すと見事に開いた!中には5冊の”積立口座通帳”があった。
”チャ・ソンテク”、”オ・ミソン”、”コ・マジン”、”ペ・ソンジュン”、そして、”カン・テプン、夢実現用”の通帳が。通帳と一緒に、父と子供の頃のテプンの写真が入っていた。
翌日テプンは、ミソンに昼食を一緒にと頼んだ。
テプンは「仕事を教えてください。父が何を大切に思ってたのか 少し分かった、テプン商事です。だから本当の社員になりたいんです」と言った。
ミソンは、「社長は最後にこう言ってました、”テプンはやり遂げる”と」と彼に伝えた。そしてカン社長は、ミンソに”頼む”とテプンのことを頼んだのだった。
ミソンはその後、注文していた、”カン・テプン”の名刺を取りに行った。
父の伝言を聞いたテプンは、昨日見つけた通帳を開けた。1995年2月から毎月300,000ウォンが積立されて、1997年10月が最後だった。
”私の息子テプンへ。父さんはお前の夢を応援する。私はいつもお前を一番に愛してる。ただ教えてやりたかった、お前自身がつかみとった物こそ自分のものだと。結果より大切なのは人だ。私の願いはこれだ、息子よ、いつも幸せで。”というメモと共に。
テプンは泣いた、父に謝り、会いたいと泣いた。
1997年12月1日。
テプンは、キチンとしたスーツ姿で出勤してきた。テバン繊維に納品に行く日で、彼は同行を希望した。
コ・マジン課長の車と、テプンの車にミソンが乗り、仁川港に到着。
イタリアからの生地は無事に到着し、大型運送コンテナー・トラックに4台に運び入れられ出発した。
テプンはミソンを乗せて、テバン繊維に向かった。彼らはトラックよりも早く到着した。
2人は迎えの人と一緒に事務所に入った。ミソンは、取引明細書をいただき、受領書と一緒にFAXしたいと言った。
テバン繊維は創業30年以上と聞いていたが、事務所の様子が妙だった。FAXの電話線が抜かれていて、ゴミ箱は空、書類の箱も空、 ”歳月の垢”が全くなかった。暖房もなく社員たちはダウンを着ていた。
テプンはミソンに「これは妙です、FAXはダメ、印鑑はもらわないで、僕を信じてください」と言って急いで外に出た。道を走ってもどり、輸送トラックの前で大の字になりトラックを止めた。そして、「引き返してください!」と言った。
運転手が「どけ」と怒ったが、テプンは動かない。
トラックは動き出そうとした。テプンはアスファルトの道に大の字になって倒れた。トラックが迫ってきた。
第2話 感 想
カン社長の秘密の金庫には、4人の社員とテプン名義の積立通帳が入っていました。息子だけでなく、社員にも積立をしてあげているのはすごいなと思いました。社長にとっては、社員も本当に家族だったのですね。
父の息子へのメッセージが愛に満ちていました。それで、テプンは父が大切にしていた”テプン商事”で働きたいと思ったのでした。
しかし、とにかくハラハラします、通過危機ってほんと怖いなって。
1つの会社が倒産すると、次々に負の連鎖が始まり、すべての人々の生活に影響が及ぶのが理解できるから。そしてある日突然、電気が止められたり、採用が取り消されたり、リストラに合ったり、日常生活が脅かされる。
テプン商事の最後の望みはテバン繊維でしたが、この会社も、実質 潰れているようです。テプンが母から、”歳月の垢”という言葉を聞いていて、テバン繊維の異変に気づいてよかったです。父が守ってくれたのですね。
次回、テバン商事への納品はないとしても、トラック4台分の生地はどこに行くのか?買い手がなければ、テプン商事には一銭も入らないし、保管する場所代だけでもかなりの経費になるでしょうし(と色々心配です、笑)。
ところで、ピョ社長が気になります。カン社長のお見舞いに来て、「どこだ、どこにあるんだ」と眠っている社長を詰問してました。何のことなのでしょう?果たして、彼は、味方なのか敵なのか?
ジュノさんは、どんなファッションも素敵ですね💕
第3話 ソウルの月
ミソンはテバン繊維からFAXを送ろうとしたが、テプンの言葉を思い出し、送信を取り消して外に出た。
解雇や給料未払いに抗議する大量の人々がプラカードを持って、事務所へ向かっていた。
ミソンは落ちたビラを見た。「予告なしの工場閉鎖」「勝手に廃業するな!」と書かれていた。
彼女はそのビラを握りしめ、走り出した。
テプンは道路に大の字になって寝そべり、トラックを止めていた。
ミソンはテプンにビラを見せ、「テバン繊維への納品は中止です」と告げた。
次の課題は、コンテナ3台分の布の保管場所の確保だった。
社員たちは倉庫を手配するために電話をかけまくったが、ツケで貸してくれるところは一つもなかった。
テプンはトラックに乗って港へ引き返した。だが、トラックをいつまでも停めておくことはできない。
彼は使われていない駐車場にすべての布を一時保管し、寒風吹きすさぶ港で一晩中、荷物の番をした。
翌朝、ク理事とコ課長が港に現れ、「倉庫が見つかった」と告げた。
ピョ商船が後払いで貸してくれるという。
テプンはピョ社長のもとを訪ね、お礼を述べた。
布が運び込まれた倉庫を見に行くと、長く使われていなかったらしく、状態はひどかった。
壁はひび割れ、天井には穴が空き、屋根の鉄骨は今にも崩れそうだった。
ピョ商船の室長が「不満が多いなら契約しないのか?」と急かした。
テプン商事に選択肢はない、コ課長は二枚にわたる契約書をよく確認せず、社印を押した。
次に社員たちは、布の買い手を探すため、全員で電話をかけまくった。
ミソンとテプンは夜11時まで働き、帰り道、テプンはミソンを家まで送った。
テプンは、葬儀の日に彼女が言った「悲しみは流すもの」という言葉に感謝を伝えた。
ミソンは、「自分のために言ったんです。“商社マン”になりたいという分不相応な夢を諦めました」と言った。
テプンは、ミソンが以前、商社の仕事について講義してくれたことを思い出した。
「いい品物といい取引先を見つけるのが商社マンの力」だと。
彼女が豊富な知識を持っていることに驚き、理由を尋ねると、「好きだから」と微笑んだ。
キム・ウンニョの勤める銀行の支店が閉鎖された。
突然の失業に、行員たちは寒風の中、立ち尽くした。
息子のナムモが花束を持って母に会いに来て、「お疲れ様、32年間」と言った。
ウンニョは「あと3年勤めれば勤労手当がもらえたのに」と泣き崩れた。
30歳で夫を亡くし、息子を育てながら副支店長まで昇進したのだった。
テプン商事では全ての取引先に電話をしたが、布の買い手は見つからなかった。
ミソンは返品を提案した。
契約書によると「天災」を理由に返品は可能で、数量と品質に変化がない場合は15%の手数料で済む。
テプンは、為替レートの上昇を踏まえて30%で提案すればと言った。
チャ次長が「為替は変動するが、平均1600ウォンとして計算すれば30%でも利益が残る」と言い、全員が納得した。
「もし返品を拒否されたら、半額で売ると伝える。生地の値段は下がってもう上がらない。きっとそれが嫌で受け入れるはず」とテプンが言い、皆は感心した。
クリスマスシーズンで欧州の会社は休暇中だったため、FAXを送り続けた。
時差の関係で、社員たちは交代で会社に泊まり、返信を待った。
数日後、待ちに待ったFAXが届いた。
「韓国の状況は不可抗力と判断し、そちらの提案を例外的に受け入れます。数量と品質に変動がなければ」と。全員が歓声を上げた。
キム・ウンニョは息子ナムモと共に、“モモ家のチキン”という飲食店の開業準備を進めていた。
その夜、大雨と雷鳴でテプンは目を覚ました。
「生地が危ない」――彼はすぐに倉庫へ向かった。
ミソンも近所の店を開けてもらい、雨よけのビニールシートを買って倉庫へ走った。
倉庫を開けると、雨漏りと壊れた窓からの雨で生地が濡れていた。
二人はビニールシートで生地と窓を覆った。やがてペ代理、チャ次長、コ課長、ク理事も駆けつけ、全員で必死に生地を守った。
朝になり、雨が上がった。
全員で港の食堂に朝食を食べに行った。
温かいわかめスープがテプンの前に置かれた。
みんな、今日がテプンの誕生日だと知っていた。
「明日は創立記念日、テプンが生まれた次の日。だから“テプン商事”という名前に」とチャ次長が話してくれた。みんなは水で乾杯し、テプンの誕生日と入社を祝った。
しかし、意気揚々と倉庫に戻ると、生地が運び出されていた。
ピョ商船の室長が「差し押さえ中」と告げた。
契約書を確認すると、二枚目に小さな文字で「保管期間は契約から最大72時間。延長しない場合、保管物は差し押さえ及び破棄」と書かれていた。
テプンは契約書を持ってピョ社長のもとへ行った。
「契約書に誤りがあるようです、確認をお願いします」と言ったが、相手にされなかった。
「これが本当なら詐欺ですよね」と言うと、ピョ社長は冷たく言い放った。
「経営者として金勘定をしただけ、テプン商事が悪い。人のせいにするな」
会社に戻ると、社員たちは電話対応に追われていた。
「テプン商事が不渡りを出した」という噂が流れ、取り立ての電話が鳴りやまなかった。
社内は張り詰めた空気に包まれていた。
テプンは社長室で、父が残していた五つの通帳を見つめた。
銀行で確認すると、すべての口座の名義はテプン自身だった。
ミソンは事務所に残り、未収案件の整理をしていた。
彼女は一本のバラを差し出し、「おめでとう」と言った。
「大変な誕生日でしたね」と言うと、テプンは「いえ、すごく記憶に残りました。ありがとう」と言った。
翌日、テプン商事では社員たちが荷造りをしていた。
チャ理事がミソンに名刺を差し出し、「ここに連絡して面接を受けなさい」と言った。
テプンは未収金と廃業届の書類を渡され、「今日中に税務署に出して」と言われた。
やがてコ課長、チャ次長、ク理事、ペ代理が会社を去った。
ミソンは「帰りましょう」と言って会社を出た。
テプンは税務署に行った後、隠れ家の“バラの温室”に立ち寄った。
バラはすべて枯れていた。しかし、バラの実が三つ結ばれていた。
父の言葉を思い出した。
「韓国語では花びらが散ることを“花が負ける”と言うけど、本当は違う。花は最善を尽くして“勝ってる”んだ、実を結ぶためにな」
テプンはドラム缶で枯れたバラを焼いた。三つの実を強く握りしめながら。
夜、ミソンは帰ってこない妹を迎えに外に出た。
雪が降っていた。向こうから、テプンが青ざめた顔で歩いてきた。
「伝えたいことがある。面接に行かないで」
そう言って、テプンは自分の名刺を差し出し、「税務署で代表者を変更しました」と。
名刺にはこう書かれていた。
“社長 カン・テプン”
「たった今、社長になりました。社員もいない、お金もない、売るものもない。でも、オ・ミソンさん、テプン商事の“商社マン”になってください」
ミソンは涙を流しながら、「はい」と言った。
第3話 感 想
第3話、ハラハラドキドキの展開でした!
テプン商事の社員たちは力を合わせて、次々に試練を乗り越えていきました。
まず、廃業したテバン繊維への生地納品を回避。
次に、保管場所の確保にも苦労したが、それもなんとかクリアー。
しかし、生地を買い取ってくれる会社が1つも見つからず、返品を模索することに。
時差やクリスマス休暇という壁を乗り越え、ついにイタリアの会社から返品受け入れのFAXが来た。
そして大雨の夜中、社員全員が倉庫に集まり、生地を守った。翌朝 テプンの誕生日をみんなで祝って、水で乾杯。テプンの感動している表情が良かったです。
ここまで頑張ったのに、ピョ商船の汚い契約書で生地を差し押さえられ、テプン商事はすべてを失ってししまった。初めから、一銭も払わずにあの大量の布を手に入れるつもりだったんですね、テプン商事の弱みに漬け込んで。2話の感想で「ピョ社長は敵か味方か?」と書いたけど、敵でした。
情のあるカン・ジニョン社長とは正反対です。
結局、最後まで会社を守ろうとした社員たちも会社を去ることに。
仕方ないとはいえ、辛い展開でした。
しかし、テプンは父の会社をどうしても守りたい、だから廃業届を出さず、代表者の変更手続きをして、自ら“社長”に。
そしてミソンに会いに来て、「何もない会社だけど、テプン商事の商社マンになってください」と頼みました。
その言葉を聞いて涙を流し、「ええ」と答えるミソン。この場面に涙腺崩壊。ジュノさんとキム・ミンハさんの演技に心が揺さぶられました。
テプンとミソンは、父の葬儀で初めて会って、まだ数日ですが、その間に、お互いを信じられる人間と分かったのです。ドラマを見てる私も、この二人が大好きになりました。
今は、どん底で、まだ苦難はあるでしょうが、2人なら乗り越えられるはず。
お父さんが残した5つの通帳が、きっと新しい「テプン商事」を守ってくれる気がします。
そしてもう一人、印象に残ったのがキム・ウンニョさん。
彼女は銀行の副支店長だったんですね。女手一つで息子を育て、昇進して責任ある立場に、本当に立派。
息子のナムモも優しくて、母思いです。
通貨危機の煽りを受けて銀行が閉鎖、失業してしまいますが、すぐに飲食店の準備を始める姿に驚きました。泣いても嘆いても仕方ない、やるしかない、強いです!
通貨危機という“天災のような出来事”に巻き込まれた人々の生き様、これからの展開がほんとに楽しみです。
第4話 風が吹いても
翌朝、ミソンが出社すると、すでにテプンが来ていて、コーヒーを淹れてくれた。
彼はミソンに、ピンクの名刺入れを差し出した。中には新しい名刺が入っていた ”テプン商事 主任 オ・ミソン”。
一方、ピョ商船は、テプン商事から没収した生地を立派なコンテナーで保管していた。売りさばきたいが、高級な生地で量も多いので苦戦していた。
テプンはピョ商船の前で、社長が出てくるのを待った。
イタリアの取引先とFAXでやり取りした書類を差し出し、「返品の了承を取り付けました。手数料3割引いても、今の為替なら利益が出ます」と言った。
ピョ社長が、「テプン商事を売ればいい。高く買ってやる」と言うと、テプンは
「俺は父から羽ばたく方法を教わりました。何度も飛んでは落ちるを繰り返し、いつの日か自由に飛び回るでしょう、社長の頭上を」と言って微笑んだ。
会社に戻ったテプンに、先日のコンテナー・トラックの運転手から電話があった。
彼はトラックの荷台に、テプン商事が輸入した生地を積んでいた。それは、生地の約10%分で、あの日、駐車場には置く場所がないと聞き、預かってくれていたのだ。
テプンはその生地を売る方法を思いついた。
契約書を確認すると、返品条件には「数量に変動がないこと」とあり、数量の単位は書かれていなかった。輸入は5万メートルだが、もしピョ商船に5万ヤードと伝えれば、彼らは返品の方が得だと思うだろう。テプンとミソンは、返品を勧める役を元課長コ・マジンにお願いした。
コ・マジンは、人目を避けて、ピョ商船の室長に会った。
「入庫数量は5万ヤード、ぴったりで返品を」と書類を提示し、“権利放棄書 承継者 ピョ商船”に印鑑を押した。これで生地の返品責任はピョ商船に移った。
商談成立後、コ元課長は「室長の鼻の明かせたのはよかったが、これで終わり」とテプンたちに言った。
テプンは、父が彼の名前で貯金していた通帳を渡そうとしたが、彼は受け取らなかった。
後日、5万ヤードの生地はイタリアへ送られた。
そして、テプンたちの予想通り、ピョ商船にイタリアから通知が届いた。
「数量不足のため返品不可。不足分を送らなければ全量返送、輸送費用は全額ピョ商船が負担」と。
テプンとミソンの出番、2人は不足分の生地をトラックに乗せて、ピョ商船に来た。
「不足分です。価格は1124万ウォン、販売条件は現金決済後引き渡し」とミソンが言って、契約書をピョ社長に渡した。
そして、テプンが、「1124万は原価、販売価格は3倍」と付け加えた。
「買い取って返品する方が、物流費を負担し在庫を抱えるより ましかと」とミソンが冷静に言った。
テプンは、思案しているピョ社長を見て笑った。
そして、ミソンに「面白いです、商社マン」と言った。
ピョ商船からの入金したテプンは、“サプリタ物流”のチェ社長を訪ねた。
花束と封筒を差し出し、「申し訳ありませんでした。“はした金など存在しない”」と謝った。
父の葬儀の際、香典を奪って帰ろうとしたチェ社長に、「はした金など持って帰ってもらえ」と言ったことを詫びたのだった。
チェ社長は、「挨拶しなかったのは、カン社長の顔を見たら香典を奪えないと思ったから。社長は、会社と社員を守るためには何でもするもんだ」と静かに言った。
テプンとミソンは釜山に来た。
”ホンシン商会”のチョン・チャラン社長を訪ねるためだった。
ハイテンションなチョン社長に迎えられ、国際市場を抜けて事務所へ向かった。
“両替・国際送金”を扱う会社で、様々な国の紙幣が集まっていた。
チョン社長が外出するのにミソンは同行し、テプンは一人で市場を歩いた。
煩雑で活気に満ちた店が並んでいたが、1軒、静かな靴屋があった。
“SHOE PARK(シューパク)”。
店主のパク・ユンチョルがテプンに名刺を渡した。「創業30年」と書かれていた。
テプンは展示されている靴を手に取った。”シューパク セーフ”というブランド名。
パクは「この靴は絶対に壊れません」と実演してみせた。
テプンが興味があるとわかると、パクは店の後ろにある工業も案内した。
テプンは興奮して、チョンさんの会社に戻ってきた。そして、”売買契約書”をミソンに渡した。
”入金500万ウォン、全額先払い”と書いてあった。ミソンは怒った。
3人で屋台で食事をしながら、彼は買ってきた靴を2人に見せ、どれぐらい頑丈かを話した。
卸売価格が本来3万ウォンのところ、500足、500万で購入したと。
ミソンは、買い付けで使ったお金は、来月の家賃だったのにと嘆いた。
チョンさんは「シューパク?この街に詳しいけど聞いたことがない」と言った。
食事の後、テプンはミソンを怒らせたことを謝り、二度としないと言った。
しかし、あの品質で1万ウォンなら500足売れると自信を持っていた。
彼は、「社長が何かはまだわからないが、会社のためなら何でもします」と言った。
ミソンは「私は商社マンになる自信があります」と言った。
「主任はコスモスのようです」とテプンが言った。
クリスマスイブ。
テプンは母のために、ケーキとプレゼントを買って家に戻った。
しかし、家には差し押さえ業者が来ていて、30分以内に荷物をまとめて家を出るようにと言われた。
テプンと母は急いで身の回りのものをスーツケースに詰めて家を出た。母は結婚指輪と父から最後にもらった毛皮だけは持ってきた。
母は知り合いに電話したが、誰も受け入れてくれる人はいなかった。
2人はテプン商事に来た。カップラーメンを食べた後、社長室のソファで横になった。
テプンは母へのクリスマスプレゼントのオルゴールを見せた。
”ツリーの森で舞う2人の天使”、母は「きれいね」と涙ぐんだ。
眠った母に毛皮をかけてあげて、テプンも涙ぐみながら、「父さん、メリークリスマス」とつぶやいた。
ピョ社長はその夜も、テプンの動向を気にしていた。
テプンは、買い付けた靴で勝負しようと決意していた。
第4話 感 想
怖そうだったコンテナートラックの運転手さん、実は救世主でしたね。
テプン商事が仕入れた生地を保管してくれていたおかげで、ピョ商船の社長と室長に一矢報いることができて、スカッとしました!
ピョ商船からの入金があった直後に、テプンは、お花を持ってチェ社長のもとへ支払いに行きました。チェ社長、テプンの素直で可愛げのある一面に心を動かされたのではないでしょうか?これからテプンの味方になってくれそうな気がします。
朝一番に出社して、ミソンにコーヒーを淹れてあげるテプン、いいですね。
社員たちが忙しいミソンをアゴで使っていたことに違和感を覚えていましたから。若さゆえの柔軟さだと思います。
しかし、若くて経験がないゆえの危なっかしい面も。
釜山で、なんと500万ウォンを前払いして靴を購入してしまうなんて!
釜山に詳しいチョン社長ですら知らない業者という時点で、もう怪しいです。
それに、そんな大金を支払う前に、まずミソンに相談しなくては、、、どうなることやら。
ミソンに、「主任はコスモスのようです」って、もう愛の告白?テプン、第1話で「好きな花はコスモス、強い花だと思う」と言ってましたから。
この二人が恋人になるのは想定内ですが、個人的には恋愛要素はあまり入れず、二人でテプン商事を立て直すストリーで進んでほしいです。
そして最後、クリスマスの日に家を追い出されてしまったテプンとお母さん、本当つらいですよね。
通貨危機、おそろしいです。でも、テプン商事の社長室があって良かったです。
第5話 私たちの天国
朝 出勤してきたミソンは、テプンとテプンの母が社長室で寝ているのを見て驚いた。
彼女は、2人を自分の家に連れて来た。テプンたちは、ミソンの妹、弟、祖母を紹介され、使っていない離れを提供してもらった。彼らは布団の上で横になれることに感謝した。
ミソンの妹のミホは、デパートの仕事以外に、アルバイトで飲食店を回っていた。しかし、ナムモのチキン店で男性客に絡まれた。ナムモは助けようとしたが、コテンパンにやられてしまった。ミホがテコンドーで男たちを倒した。ナムモは彼女が、先日出場したデート番組「愛のスタジオ」の一番さんだと気づいた。
ミソンは銀行に行き、テプンが買付けしたシューパクに約束の金額を振り込んだ。
テプンは”安全靴”の販売先として、建設業界を考えていたが、ミソンはより幅広く、製造工場、化学工場、災害現場も需要があると資料を集めていた。
翌朝、テプンは仕入れた靴を取りに釜山に行った。ミソンは、届いた靴を保管する倉庫で待っていた。
しかし、テプンがチョン社長とシューパクの倉庫に行くと、中は もむけの空だった。
テプンは、表のドアの鍵を壊し、店に入った。店の奥で社長のパクはケガをして倒れていた。彼は顔もあげずに「すみません、すみません」と繰り返した。チョン社長は、彼がヤミ金からカネを借り、かれらの餌食になったのだと分かった。
テプンは絶望した、「大事なカネだったのに」と怒ったが、どうにもできない。
テプンは”特許証”だけ数枚持って外に出た。チョン社長が、ミソンに電話してくれた。
テプンの母は、ナムモのチキン店でテプンを待っていたが、彼は現れなかった。
母は一人で家に戻った。テプンは坂で上で待っていた。
母はテプンを見て「何かあったの?」と聞いたが、彼は「何もない」と強がった。
「テプン、私はあなたさえいればいい。ずっと後悔している、”私に頼っていい”とお父さんに一度も言えなかった。私に頼って、つらかったら頼ってちょうだい」と母は息子を抱きしめた。
テプンは、「つらいよ。商品がなくなったんだ、お金も無くなった、だからすごく怖い」と母に本音を言って、母の胸で泣いた。母は息子を抱きしめた。
テプンたちが家に戻ると、釜山のチョン社長から電話が掛かっていた。
「商品の場所が分かった、ヤミ金業社、知ってる子だった。500はあなたのものだと言うと、500万ウォンで返すと」と彼女が言ったが、テプンは「あれは俺のものだ」と反発した。
チョン社長は「イヤならいい」と電話を切りそうになったので、ミソンが代わり、「お金を用意してご連絡します」と言って電話を切った。
テプンはなんとかするとミソンに言ったが、ミソンの方が現実を理解していた。
翌日、テプンはお金の工面のため、あちこちに電話したが、どこも貸してくれなかった。
ミソンはテプンにお金を渡した。前社長のカン・ジニョンがミソンに残してくれた通帳から引き出したのだ。テプンは「あれは父の気持ちです。ダメなら諦めます」と返そうとしたが、ミソンは「諦めたらダメ、商品を取り戻して売らないと」と言った。
テプンはミソンからもらったお金を持って、再び釜山に行った。
チョン社長に案内され、ヤミ金のリュ・ヒギョに会いに来た。チョン社長は、事前に、「怖い男だから、余計なことは言わずに、お金を渡し、商品を受け取ったら帰るように」と釘を刺したが。
リュは、チョン社長に挨拶もしない無礼な男だった。
テプンが靴を確認に倉庫に行くと、そこにはピョ商船のハ室長がいて、靴を運び出していた。
「7000足のうち、500残せ」と声が飛んでいた。ピョ商船が6500足を3000万ウォンで仕入れるようだ。父のピョ社長の命令で、ヒョンジュンも来ていた。
テプンは床に血の跡がついているに気づき、辿っていくと、パク社長が血を流して倒れていた。鉄パイプで殴ったのは、明らかにヒョンジュンだった。
テプンは事務所に戻った。カネを支払わず出るつもりだったが、帳簿を見てるリュ・ヒギョに、
「おじさん(パク社長)の借金は?」と聞いた。
「5000万、だが利子が膨らみ7000万」とリュ。
「1億、安全靴7000足を売って1億やる、3000万?そんな安物じゃない」とテプンは言った。
〔1億払えなかった場合、担保は パク社長の命とテプンの両目〕と借用書が書き換えられた。
ヒョンジュンは「それなら身を引いてやる」と面白がった。
テプンは、「1億もらって縁を切ると約束しろ」と言って、右手全体に朱肉をつけ、借用書に手形を押した。
第5話 感 想
カン・テプン!無謀すぎ!!!
最後、思わず画面に向かって叫びそうになりました……まあ、ドラマですからね。
最初の場面に戻って:
ミソンのおかげで、テプンとお母さんがようやく布団の中で体を伸ばして眠ることができて、本当によかったです。家があって、暖かい布団があることが、どれほど幸せなことか――改めて感じますね。
テプンが釜山で仕入れた靴、きっとトラブルがあるだろうなと思ってましたが、やはりその通りでした。
私は「品質は大丈夫か?」「詐欺にあっているのでは?」と心配していたのですが、特許を取得した、高品質の製品だと分かって安心しました。
宿敵のピュ商船の社長も、安全靴を仕入れて販売する計画を立て、息子のヒョンジュンとハ室長を釜山に出張させました。でも、結果的には、テプンがパク社長を助ける為に、自分の目を担保にして1億ウォンを借り、7000足を買い付けるという展開に。
ピョ社長がこのことを知ったら、激怒するでしょうね。だって、万が一テプンが失敗して、彼の“目”をもらったところで、商売人としては何の得にもなりませんから。
今後、この7000足の安全靴が、テプン商事を再生へ導く大きな一歩になるだろうと思います。
ミソンが調べてたように、安全靴は、建設現場だけでなく、製造工場や化学工場、災害現場などで常に必要とされるものですし、外国でも需要がありそうです。
ミソンはそれも踏まえて、英語を練習していたのでしょうね。彼女は本当に賢いです。
そうなれば、 ”カン・テプン、無謀すぎ!!” ではなく、 ”カン・テプン、よくやった!!” ですね。
きっと、そうなる気がします。
第6話 野望の伝説
テプンとチョン社長は、ケガをしていたシューパクのパク社長を助けた。
パク社長の希望で、2人は彼を病院ではなく自宅へ送り届けた。
そこには、娘のボラムが一人で待っていた。
その夜、テプンはミソンに電話して「仕事が終わった」と報告した。
大晦日、ミソンの家族は1998年の新年カウントダウンをテレビで見ていた。
翌日、テプンはソウルに戻った。
元旦からミソンも出勤し、テプンは彼女に借りたお金を返した。
やがて、テプンが仕入れた安全靴がトラック数台に積まれて到着。
パク社長とチョン社長も同行していた。
しかし、靴の数が「7000足」と聞いて、ミソンは驚き、怒ってその場を離れてしまった。
チャン社長が彼女を追いかけた。
チャン社長が「なんで怒ってるの?」と声をかけると、ミソンは「相談がなかったからです」と答えた。
するとチャン社長は、「あなたは何か失った? テプンには会社しか残ってない。確かにテプンが悪いけど、割り切らなきゃ」と諭した。
一方その頃、テプンはミソンを怒らせてしまったことを気にしていた。
パク社長はテプン商事の社長室に泊まることになった。
ミソンはチャン社長を車まで見送り、そこへテプンが現れて謝罪した。
ミソンは「謝罪は受け入れます。でも次からは突発的な行動はやめてください。ケガもしないと約束して」と言った。
テプンは「約束します」と言って、指切りをした。
その後、テプンは急にパク社長のことが気になり、会社に戻るが、彼の姿はなかった。
高速バスターミナルで、「ワンド行き」のチケットを買うパク社長を見つけた。
彼は、島の多いワンドに逃げて数年隠れ、状況の好転を待つつもりだった。
テプンは説得した。
「ボラムは? シューパクの社員たちは? あなたの30年の努力は? 特許はどうするんです? 靴を売りましょう。まだ何もしていない。俺が売ってみせます!」
一方、テプンの母は新聞広告を見て縫製の仕事を始めていた。
慣れない仕事で手は傷だらけ。給金をもらったが、ほんの少しだった。
ミソンの弟のボムが、傷だらけの手を“ふうふう”してくれ、「ここが職場なの?」と聞いた。
母は「おいしいものを作ってあげるから、秘密に」とボムと約束した。
テプンたちはシューパクの安全靴を紹介するビデオを撮影した。
商社マンとして、商品の素晴らしさを世界に伝えたい一心だった。
安売りはせず、ターゲットをアメリカとヨーロッパに定め、海外企業にビデオテープを送った。
さらに、外国企業が入居するビルの郵便受けにも直接投函した。
やがて、ある企業がテプン商事のビデオに興味を持ち、連絡をくれた。
テプンとミソンはその会社を訪れ、ミソンが流暢な英語で見事なプレゼンを行った。
一方、ナムモは今日もデパート前でオ・ミホを待ち、家の近くまで送って来た。
ナムモは999羽の折り鶴が入ったボックスをプレゼントし、「君がもう1羽折ると願いが叶うらしい」と言って折り紙を1枚渡した。
ミホが「願いは金持ちとの結婚よ」と言うと、「俺が金持ちになるよ」とナムモ。
ミホは彼の頬にキスをして、「また明日」と言って帰った。
テプンが家に戻ると、ごちそうが並んでいた。母が働いたお金で肉を買ったのだ。食卓にはボムもいた。
テプンは、母の手が傷だらけなのに気づいたが、母は「家事に慣れなくて」とごまかした。
翌日、ついに待ちに待った電話がかかってきた。
テプンとミソンに、初めての注文が入ったのだ!
2人は歓声を上げて喜んだ。
テプンは注文書を手に取り、父の写真に向かって報告した。
「父さん、初めて商品を売れたよ。なんていい気分なんだ!」
その後、テプンは積み込みを確認するため再び釜山へ向かった。
しかし、またもトラブル発生。
テプン商事がブラックリストに載っているという理由で、荷物を載せてもらえない。
またしてもピョ商船の妨害だった。
ピョ・ヒョンジュンが担当者に「テプン商事は詐欺師だ。ヤミ業者から商品を奪った」と嘘を吹き込んでいた。
夜、テプンとチョン社長とパク社長は、パク社長の事務所に戻った。
中ではボラムが寝ていたが、そこにヤミ金のリュ・ヒギョもいた。彼はテプンに、
「船積みに失敗? どうやって返すつもりだ。お前の目は一ヶ月後には俺のものだ」と脅した。
ミソンが現れ、「どういうことですか?」と問い詰めると、リュは”担保:両目”と書かれた借用書を見せた。ミソンは何も言わず、その場を出ていった。
テプンが追いかけ、「説明させてください」と言ったが、ミソンは怒りをあらわにした。
「社長、本気ですか? 仕事を遊びだと思ってるんですか? どういうつもりで借用書に判を押したんです?」
テプンは「シューパクの社長を助けるためだった」と。
「ヒーローごっこ? 感情で動いてどうするんです? 会社や社員のこと考えました?」とミソン。
「俺は力不足です。感情で動くが遊びだとは思っていない。つらいし怖いです、でも死の淵にいる人を助けたい。俺は信頼に値しない人間ですか?」とテプンは訴えた。
彼はミソンの荷物を持って歩き出した。バス停に行くつもりだが、道を知らなかった。
港を歩いていると、遠洋漁船が停泊していた。世界を股にかけて漁業をしてると聞き、テプンとミソンは船長に頼んだ。
「安全靴5000足をメキシコに届けてくれませんか?」
第6話 感 想
シューパクの安全靴をビデオで売り込み、ついに初注文!やりましたね!!!
「初めて売れた」と写真の父に報告するテプン、その笑顔、輝いてました。
でも、やはりそう簡単にはいかない…。
ピョ商船の妨害で積荷ができず、再びピンチに。
目を担保にしたことをミソンに知られて、彼女に責められますが、「つらいし怖い。でも死の淵にいる人を助けたい」と言うテプン、それは彼の男気です。
“遠洋漁船に頼む”という展開、これが突破口になるのでしょうね。
でなければ、本当にテプンの目が危ないから…。
ナムモとミホ(ミソンの妹)のやり取りが微笑ましい。ナムモ、ほんとうに優しいです。
テプンの母もまた、慣れないミシン仕事で手を傷だらけにしながら頑張ってます。でもテプンには内緒にしたい。ボムが癒しです。
ピョ商船が、テプン商事を毎回 妨害しますが、それが同じパターンで面白みに欠ける気がします。
次回は、もうひとひねりある展開に期待したいです。
第7話 生きるということは
テプンとミソンは、遠洋漁船の船長に、メキシコまで靴を5,000足運んでほしいと頼んだが、断られてしまった。
頼みの綱はチョン社長。顔の広い彼女は、船の名前が「イマジン号」と聞くと、すぐに二人と一緒に船長に会ってくれた。
船長は、テプンが“カエサル・カン”の息子だと知ると態度を一変させた。“カエサル・カン”とはテプンの父の別名で、船長とは同じ釜の飯を食った仲間だったのだ。
船長は「現地にブローカーがいても、物だけ送るとトラブルになる」と言った。すると、シュー・パクのパク社長が自分が同行すると申し出た。海洋大学出身で油槽船に2回乗船経験があるという。
次の課題は、5,000足の安全靴をどう積むかだった。
翌日、「カニと海鮮」と書かれた大きなトラックが港に到着。運転していたのはテプンだった。荷台には冷凍カニの箱が積まれており、その下に安全靴の箱が隠されていた。
港では多くの女性たちが“カニ”の絵のついた箱を船に載せ、ミソンが数を確認した。
作業中、おばさんの一人がテプンに言った。
「好きに生きるんだよ。お金も何も持ってなくても、そばに誰かがいれば大丈夫」と。
その視線は、ミソンに向けられていた。
積み込みが終わり、出航直前、突然サイレンが鳴り響き、警察のパトカーが何台もやってきた。「不審物が積まれた」との通報を受け、船内の検査が始まった。
テプンは隠れて船の中を移動し、小麦粉の袋を見つけると、それを持って給油ボートに飛び乗った。小麦粉を自分に振りかけ、麻薬に見せかけて警察の注意を自分に向けさせたのだ。
警察は小麦粉だと気づき、漁船に問題ないと船を降りた。こうしてイマジン号は無事出航した。
しかし、テプンは給油ボートの船長たちに捕まってしまった。そこへリュ・ヒギョとヒョンジュンが現れ、「テプンは俺の物だ」とリュが言った。
リュはテプンを海に突き落とそうとしたが、テプンの「金はいらないのか?」という一言で考えを変えた。ヒョンジュンは不満そうだったが、リュは取り合わなかった。
一方ミソンは、テプンを心配して浮き輪を持ち、海に飛び込む覚悟だった。しかし無事に戻ってきた彼を見て、思わず抱きついた。
テプンはミソンに「オ主任が好きかも。いや、好きなんだ、だからかわいい」と告白した。
そのころ、テプンのまわりの人々もそれぞれの場所で、IMF危機の厳しい現実に耐えていた。
チャ次長は飲料販売員を、
ク理事は日雇い仕事を求めてさまよい、
ぺ代理は公務員試験の勉強を続け、
コ課長の家には新しい命が生まれた。
テプンの母も縫製の仕事に慣れてきて、ミソンの弟ボムを自分の末息子のようにかわいがっていた。
テプンとミソンは、ヤミ金のリュ・ヒギョの事務所に出向き、現金1億ウォンを返済。テプンが手形を押した借用書を無事に取り戻した。
一方、ピョ商船ではピョ社長が息子ヒョンジュンとハ室長に激怒していた。テプンは利益を上げたのに、二人は会社に損失を出したからだ。
ヒョンジュンが「テプンが金を用意できなければ、ヤツの首も商品も手に入ったはずなんだ」と言い訳したが、ピョ社長は「お前ごときが、テプンにかなうと?」と冷たく言い放った。
一方、ナムモの母キム・ウンニョは怪しい投資セミナーに参加していた。
「皆さんも毎月3,000万ウォン稼げます!」という甘い言葉に、参加者たちと一緒に拍手喝采。
ナムモが“モモ家のチキン”のシャッターを開けると、店の中にはマルチ商法で勧められた商品がたくさん置かれていた。
テプンはユンソクと河原で再会した。彼は人目を避けて暮らしてるから。ユンソクは、テプンの家が倒産し、父が亡くなったことも知っていた。
彼はヘルメット工場で働いており、「うちの新商品」と赤いヘルメットをテプンに渡した。
テプンも「これは俺が初めて売った商品だ」と言って安全靴を贈った。袋には花が一本添えられていた。
テプンが去った後、ユンソクが靴箱を開けると、中には丸めたお札が入っていた。
一方テプンも帰る途中で、ヘルメットの内側にお金が入った封筒を見つけた。表には「給料が出た。真っ先に返したくて」と書かれていた。
翌日、テプンは赤いヘルメットをミソンに見せ、「これを売りたい」と話した。
そして、「仕事は一人じゃできない。誰かがいないと」と言った。
その後、コ課長を待ち伏せし、「これから輸出を始めます。営業はオ主任。課長も一緒に。俺に仕事を教えてください」と言って、赤いヘルメットを彼の頭に乗せた。
「明日、必ず会社に持って来てください」と言い残して去っていった。
翌日、テプンとミソンが会社で待っていると、コ課長が2人の取引先の男性と入って来た。
第7話 感 想
テプンたちの安全靴5,000足は無事メキシコへ出荷され、売上金も受け取り、ヤミ金への返済も完了。借用書を取り戻すことができました。おめでとう!
やはり頼りになるチョン社長、そして亡くなったお父さんと遠洋漁業の船長との縁があってこその成功でした。テプンもミソンも本当によく頑張りました!
港のおばさんの「そばに誰かいれば大丈夫」という言葉が胸に残りました。
テプンとユンソクの再会の場面も良かったです。言葉には出さず、互いを思いやる気持ちが伝わってきました。“イヤなヤツのことを考えるのではなく、大事な人のことを考えて過ごす”、その通りだと思いました。
ヒョンジュンは父から「お前がテプンにかなうとでも?」と言われ、悔しそうな目をしてました。ますますひねくれそうです。
今回は、テプン商会の元社員たちの近況も描かれ、それぞれが厳しい時代を懸命に生きていました。
ラストでコ課長が戻ってきたので、他のメンバーも徐々に戻ってくるだろうと期待しています。
テプンのお母さんが、ボムを末息子のようにかわいがっている姿が温かいです。
一つ気がかりなのは、ナムモのお母さん、怪しいマルチ商法に巻き込まれているようです。ナムモは気づいているようですが。お母さん、傷が深くならないうちに気づいてくれますように。
第8話 若者の日向
コ課長と一緒に会社に来たのは、カンソン・ヘルメットの営業担当と開発担当の2人だった。
彼らは、フルフェイスとオープンフェイスの2種類のヘルメットを持参しており、どちらが壊れにくいかをデモンストレーションで比較した結果、フルフェイスに決定。まずは500個からという契約になった。
次に重要なのは、輸出先の国である。
テプンは「タイ」に決めた。ヘルメット着用が義務化されて2年、取り締まりも厳しくなっており、需要が見込めると判断したのだ。
コ課長の遠い親戚であるマヨンさんは、タイで「サワディー貿易」という会社を15年にわたって経営している。
コ課長が連絡を取ると興味を示し、ヘルメットのサンプルを送ってほしいと言ってきた。
その後、コ課長はミソンと2人きりになったとき、こう言った。
「オさんのために言うが、営業はやめてほしい。若い女性が海外で営業して歩いたら、我が社の顧客はどう思うか?女性は商社マンにはなれない」
ミソンは、「アドバイスありがとうございます」と礼を言った上で、
「営業としての評価は顧客がするべきです。男とか女とか関係ありません。私は真の意味で商社マンになりたいです」と、はっきりと自分の考えを伝えた。
しかし、コ課長は納得していなかった。
テプンはナムモからキャリーバッグを借りて家に戻った。
ナムモは、テプンがミホの家に住んでいると知り、嬉しそうだった。
その夜、ナムモはテプンの部屋に泊まった。眠れず、夜中にミホを呼んだが、彼女は弟のボムと一緒に現れた。それでもナムモは彼女の顔を見て喜んだ。
テプン、ミソン、コ課長の3人はタイに到着。マヨンさんは気さくに3人を歓迎した。ミソンは事前にタイ語を勉強してきていた。
コ課長はマヨンさんに、テプンのことを「社長」と紹介したのに、ミソンについては「ただの社員です」とぞんざいに言い、ミソンを傷つけた。
彼らに用意されたのは机が一つだけ、その机に椅子を3つ置いて共用することになった。
3人はマヨンさんと一緒に食事をしたが、テプンが料理を取り分けているのを見て、またもやコ課長は文句を言った。
マヨンさんは「人脈を作るならクラブがいい」とアドバイス。
「明日、税関に品物が届くから見に行くか?」とミソンに聞くと、彼女は「行きます」と答えた。コ課長は「なぜ行く?察しろ。社長と俺が行くのが当然だ。社長が甘やかすからつけあがるんだ」ときつく言った。ミソンはいたたまれず、部屋に戻った。
テプンは、ミソンのために部屋に食事を運んだ。
「社長、自分でなんとかします。優しくされるのが気まずくて」と言うミソンに、
テプンは「働く仲間として気遣っているだけ。劣等感のせい?自己評価が低いんじゃない?食べてください」と言い、食事を渡した。
翌朝、コ課長はミソンが出られないよう戸を閉めたが、ミソンはそれを開けた。2人の関係はギクシャクしていた。
マヨンさんの車で3人は税関のある港へ。ミソンは記録係として写真をたくさん撮っていたが、またもやコ課長は「せわしない」と文句をつけた。
マヨンさんが「あとでアーティットが来るから挨拶して」と言って手続きをしている間、コ課長は韓国から持ってきたタバコの箱に50ドル札を忍ばせようとしていた。
それを見たミソンが「賄賂になるからやめてください」と止めたが、コ課長は「これが営業の基本だ」と言って彼女をバカにした。
アーティットが到着し、コ課長は彼にタバコの箱と50ドルを渡した。ミソンは離れた場所で写真を撮るしかなかった。
コ課長とミソンの険悪な状況にテプンは困り果てたが、その夜は、社長命令で、2人ともクラブへ同行することになった。
落ち込んでいたミソンのもとへ、宿の女主人がパーティードレスを持ってきてくれた。
宿の外ではタキシード姿のテプンが待っており、ミソンのドレス姿に目を見張った。
クラブには、ニハカム財閥の末娘・ニチャがいた。テプンはマヨンさんの息子スカイから彼女を紹介され、一目で気に入られた。
テプンが知っている曲が流れ、勧められて歌うと、全員が聞き惚れた。ミソンは足の痛みと、その場の雰囲気に馴染めず外へ出た。
テプンは歌い終えると彼女を探しに行き、靴擦れをハンカチで手当てした。
ミソンは「来たことを後悔しています。出張費の無駄遣いだったかも」と言った。
テプンは「俺は父に認めてもらいたかった。花を育てた時も、うまくいってから父に見せようと思ってた。でも父は分かってくれていた。だから、分かってます、無理しなくていい」と言った。
ミソンは何度もうなずき、「分かりました」と答えた。
その夜、3人の宿に警察がやってきて、全員が連行された。
容疑は「収賄」。公務員への賄賂は重罪だと警官がタイ語で告げた。
タイ語を理解したミソンは、「課長、あの50ドルのせいかもしれません」と言い、テプンは初めてその事実を知って驚いた。
警官が持ってきた写真には、コ課長の姿が写っていた。
そして、コ課長だけが両腕をつかまれ、奥の部屋に連れて行かれた。
第8話 感 想
テプン商事の次の輸出商品は「ヘルメット」。
タイへの輸出を目指し、テプン・ミソン・コ課長の3人が出張するというストーリーでした。
コ課長は以前からミソンを見下していましたが、彼女が“商社マン”として営業することが気に入らない。
第8話は、ほとんどコ課長がミソンを無視したり、文句を言ったり、けなしたりする場面が続き、愉快ではありませんでした、小さい男ですね。
商品を売るための戦略やスリル、失敗と再起、そういった要素を期待しているのですが、それが少なく、物語の展開に物足りなさを感じています。
また、テプンがミソンに甘い言葉をかけて見つめるなど、いわゆる“韓国ドラマあるある”の恋愛シーンが多く、退屈に思ってしまいました(ごめんなさい)。もっと自然に、お互いに信頼関係が生まれ、気持ちが近づいていくことを描けると思うのですが。
ミソン役のキム・ミンハさんの凄みのある演技(目や表情だけで心情を表現できる)をもっと見たいし、IMF危機のヒューマンドラマをもっと掘り下げてほしいです。次回に期待します。
ーー第9話に続きますーー



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