Netflix 映画『単騎、千里を走る』あらすじと感想【高倉健とヤンヤン】*ネタバレあり

高倉健さんの映画が Netflixにあるのを見つけて、何気なく見始めた。他の日本の俳優は、中井貴一さんと寺島しのぶさんだけで、中国の監督の作品。観賞後、数日経ち、時間が経てば経つほどに、しみじみと心に残っている、そんな映画でした。

概 要

2005年製作、中国・日本共同製作

監督:チャン・イーモウ、降旗康男

登場人物

高田剛一(父親):高倉健

ジャン・ウェン(現地 通訳兼ガイド)

チュー・リン(現地案内人)

リー・ジャーミン(仮面劇の役者)

ヤンヤン(リー・ジャーミンの息子)

高田健一(息子):中井貴一

高田理恵(健一の妻):寺島しのぶ

あらすじ

*ネタバレあり

地方の港町で漁師として働く高田剛一の元に、息子、健一の妻の理恵から健一が入院したとの手紙が届いた。剛一と健一の間には深い確執があり、10年も連絡を取っていなかった。剛一は直接会って話せる最後の機会だと思い上京したが、病室の外で待つ彼に、健一の激しい拒絶の言葉が聞こえた。

理恵は、健一が中国で撮った”中国の仮面劇’のビデオテープを剛一に渡した。

健一は、毎年、中国雲南省を訪れ、仮面劇を撮影していた。演者のリー・ジャーミンは「今度は最高の仮面劇『単騎、千里を走る』をやります』」と言い、健一は「じゃあ、来年また来ます」と約束していた。

数日後、東京の理恵から電話があり、健一の病名は、末期の肝臓癌だと知らされた。

剛一は、リー・ジャーミンに会いに中国へ行くことを決めた、健一の為にできることはそれしかないと。

空港で出迎えてくれたガ通訳のジャンと共に、リー・ジャーミンのいる雲南省の町に行った。地元に別の案内人、チューがいた。剛一は、理恵に電話をして、”単騎、千里を走る”を撮影する為に中国に来たことを伝え、健一には内緒に、と付け加えた。

しかし、想定外の困難が待ち受けていた。

まず、肝心のリー・ジャーミンが問題を起こし、刑務所に入っていた。「仮面をつけるので誰が演じても同じ」と言うチューを遮り、剛一は、リー・ジャーミンにこだわった。

「外国人が刑務所に行くことは無理、諦めてください」と通訳のジャンに言われたが、剛一は諦めない。彼の熱意に押され、ジャンとチュリが協力してくれた。

まず、外務省に行ったが、即、却下された。しかし剛一は諦めない。ビデオを撮り事情を訴えた。

「長い間断絶状態である息子が、最近、癌だと分かり、長くないかもしれない。息子は長年中国の仮面劇に情熱を注いてきた。息子のため私がしてやれることは、約束していたリー・ジャーミン「単騎、千里を走る」を撮影することだけ、力を貸してください」と。そして、『助』『謝』の2つののぼりを出しお願いした。

剛一の心からの訴えが通じ、外務省と法務局の許可がおり、刑務所に行くことができた。

衣装を着て、仮面をつけたリー・ジャーミン、しかし演じることができない、、。剛一の事情を聞いた彼は、一度も会ったことがない息子のことを思い、涙が止まらず、演じることができないのだった。

剛一は、リー・ジャーミンの息子を連れてくることに決めた。

翌日、チューの案内でリーの息子がいる村(石村)に行った。遠かった、、。

村の長老たちが集まった。リーの息子の母親は1週間前に亡くなったばかり、他の家族はいない、村のみんなで彼の世話をしていた。

村長たちは、剛一が息子のヤンヤンを連れて行くことに合意した。その夜、村の人たちが全員集まり、すごく長いテーブルで食事、剛一をもてなしてくれたのだ。(この映像、心揺さぶられます。)

ヤンヤンが連れてこられて、村長の横に座った。剛一は、ヤンヤンが父親に会いたか知りたがったが、村長は、問題ない、と彼には聞かない。

日本の理恵から電話があり、剛一が中国に行っていることを健一に話した、と言った。「お父さんが中国に行かれたことが健一さんにはかけがえのない贈り物、だから帰ってきてください」と。

翌日、剛一とチューは、ヤンヤンを連れて、トラクターで雲南省に向かったが、、、途中で壊れた。運転手とチェーが直そうとして、剛一が写真を撮っている隙に、ヤンヤンがいなくなった。

ヤンヤンは、向かいの崖の下の方を走っていった、、、剛一が気づき追いかける。どこまでも逃げるヤンヤン、、、(ドキドキする場面です。)

やっと追いついた。

夜になり、村に戻ったチェーの通報で、住民たちは、松明たいまつをたいて二人を捜索していた。

剛一は、ヤンヤンの後をひたすらついて歩いた、長ーい時間。

迷った二人、夜になった、、、。

剛一は、風を避けられる窪地にヤンヤンを連れていって、休もう、と言った。

ヤンヤンが突然走ったので、慌てて追うと、隠れて、ウ◯チをしていた。

ヤンヤンは手で剛一にあっちに行け、と。剛一は、写真を撮りながら、手で鼻をつまんで笑って見せた。ヤンヤンも笑う。

剛一は、闇の中、カメラのフラッシュを焚いてここにいると合図した。

カバンに笛を見つけて吹いた。

ヤンヤンも吹いた。剛一は笛をヤンヤンあげた。

剛一は上着をかけ、眠るヤンヤンを一晩中抱きしめていた。

翌日、二人は無事救出された。

剛一は、村長に「ヤンヤンは父親に会いたくないのではないか、聞いてほしい」と頼んだ。

村長たちは、子供に聞く必要はない、と言ったが、剛一はもう一度頼んだ。

ヤンヤンは「行かない」と怒りながら涙を流した。「一度も会ったことがない、お父さんじゃない」と。

剛一は、村長と村の人たちに「ご迷惑をおかけしました。ヤンヤンは連れていきません。心の準備がまだできていないと思う。子供でも気持ちを大事にしてやってほしい」と深く頭を下げ頼んだ。村長たちはわかってくれた。

帰る前に、剛一は、ヤンヤンを強く抱きしめた。鼻をつまんでニヤッとした。

走る車の後ろから ”ヒュッー、ヒュッー”と笛のなる音が、、ヤンヤンが車に向かって走りながら吹いていた。

剛一に理恵から電話が。「昨夜から電話が繋がらなかった。健一さんが、昨日の晩、逝ってしまったんです」と。健一は、理恵に頼んで、口頭で剛一への手紙を書いていた。理恵がそれを電話口で読んだ。

剛一たちは、再び刑務所を訪れた。たくさんの受刑者が待っていた。リーもいた。

そこで、剛一は、村の景色とヤンヤンの写真をTVに繋げて見せた。みんなは涙を流した。

リー・ジャーミンが「単騎、千里を走る」を舞う準備をしていた。

「ビデオに撮って、健一さんに見せてください。ぜひまた来てくださいと伝えてください」とリーは言った。剛一は、彼の舞をビデオに撮った。

感 想

高倉健さんが最初から最後まで出ずっぱりで、なんと、中井貴一さんは、病院での声と、最後に手紙を読む声の、声だけの出演でした。

ネット情報によると、中国ロケには高倉健さん単身で参加されたそうです。監督のチャン氏はとても有名な中国の監督で、大の高倉健ファンだったそうです。

主人公の高田剛一が、全く言葉も通じず、事情もわからない中国に行って、息子が果たせなかった約束を果たす、ことと、高倉健さんが単身、中国ロケに参加して映画を撮ったことは、リンクしているように思いました。

チャン監督は、地方で撮影する場合は、プロの役者ではなく、その土地に住んでいる人たちを使うそうです。リーの息子のヤンヤン、村の長老たち、全て現地の人たちでしょう。この高い標高にある小さな村に住んでいる人たち、ドキュメンタリーのようです。

ヤンヤンが逃げて、剛一が追いかけ、一晩、崖の岩の間で過ごす。この場面が、この映画のハイライトだろうと思います。剛一は、ヤンヤンを胸に抱きながら、健一をこんな風に抱いたことはあっただろうかと思います。その時、彼は健一も一緒に抱いていたのだと思います、そして、健一は旅立った、、。

良い映画は、たくさん喋りすぎるといけないのかもしれません。

高倉健という俳優、演技が上手いとか下手とかとは、別の次元にいる俳優さんなのだと思いました。そこのたたずまいがどの俳優さんとも一線を画すという気がしました。

高倉健のとヤンヤン、、。ヤンヤンがかわいすぎて、言葉になりません。

お読みいただきありがとうございました。

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