
今年の秋の注目作!
小栗旬さんとハン・ヒョジュさん主演のNetflixドラマ『匿名の恋人たち』が、2025年10月16日に全8話一挙配信されます。
人の目を見られない天才ショコラティエと、人に触れられない製菓メーカーの御曹司――。そんな二人が織りなす、甘くて切ないロマンチックコメディ。
原作はフランス映画『匿名レンアイ相談所』。
韓国の脚本家キム・ジヒョンさんが日本を舞台に新しい物語としてリメイクし、監督は『君の膵臓をたべたい』などで知られる月川翔さんが務めています。
脇を固める日本の俳優陣も豪華ですね。
この記事では、あらすじを紹介しながら感想を書いていきます。
*ネタバレあり
『匿名の恋人たち』登場人物()はキャスト
〔主要人物〕
藤原壮亮(小栗旬):チョコレートショップ ”ル・ソベール”新代表。双子製菓御曹司。人に触れることができない、極度の潔癖症。
イ・ハナ(ハン・ヒョジュ):天才ショコラティエ。身元を隠して”ル・ソベール”で働いている。人の視線に耐えられない視線恐怖症。
高田寛(赤西仁): ジャスバーのオーナー。壮亮の親友。
アイリーン(中村ゆり):精神科医、壮亮の友人でありカウンセラー。
〔双子製菓〕
藤原孝(成田凌):壮亮のいとこ。双子製菓社員。
藤原俊太郎(佐藤浩一):双子製菓会長。
〔ル・ソベール〕
黒岩健二(奥田瑛二):“ル・ソベール”のオーナー・ショコラティエ。
川村元美(伊藤歩):“ル・ソベール”のチーフ・ショコラティエ。
山岡澄子(伊勢志摩):“ル・ソベール”のホールマネージャー。
『匿名の恋人たち』相関図

第1話 レインボーパレット
イ・ハナは、朝作ったチョコレートを「ル・ソベール」に届ける。
決まった場所にそっと置き、前日の容器と交換する。そして合図の鐘を鳴らし、誰にも顔を見られないうちに自転車で帰る——それが彼女の日課だ。
店のスタッフたちは、彼女を“匿名ショコラティエ”と呼んでいる。
ハナの顔を知っているのは、オーナーの黒岩健二ただ一人。
チョコレートのブランド名は「Pure Kenji」、そう、オーナーの名にちなんでいる。
ハナは他人の視線恐怖症を抱え、人の顔を見ることができない。
勇気を出してショコラティエの大会に出場したものの、多くの人々の視線を感じてパニック障害を起こしてしまった。その会場にいたのが健二だった。彼はハナの腕前に惚れ込み、「ル・ソベールで一緒に働かないか」と声をかけた。以来、健二は彼女を従業員としてだけでなく、まるで親代わりのように気遣ってきた。
彼は、誰にも会わずにチョコを作るだけの日々を送るハナを案じ、「心理カウンセリングを受けてみないか」と一冊の本を手渡した。
ハナの誕生日はバレンタインデー。健二は「その日はシエルロでお祝いしよう」と約束した。
そして行きつけのジャズバー「BRUSH」のオーナー・高田寛を、同じ日のディナーに誘った。
ハナが彼を“剣道君”と呼び、密かに憧れているのだ。
一方、藤原壮亮は、双子製菓の新チョコブランド発表に向け、会長である父や役員たちの前で大事なプレゼンを行っていた。
だが、ペンを拾おうとした女性社員と手が触れた瞬間、体に異変が起き、彼はトイレに駆け込み、何度も手を洗った。その後シャツを着替えた。彼は常に数枚の替えシャツをトランクに入れて持ち歩いていた。
プレゼンは中止。会長は壮亮に、カウンセリングを受けるよう命じた。
壮亮は友人で精神科医のアイリーンのもとを訪れる。
彼女は「接触恐怖が顕著で、日常生活に支障が出ている。脅迫性障害の可能性が高い」と診断した。
壮亮は、「支障はない」と偽の診断書を書いてくれと頼んだが、結局、“大トロ”という名札を頭につけられ、無理やり集団カウンセリングに参加させられた。
バレンタインデー。
ハナは目立たないワンピースを選び、シエルロへ向かった。
席に案内されるも、一人でいることに耐えられず、パティオで健二に電話をかけた。
「代わりにバレンタインのプレゼントを渡しておいたからな」と言って電話は切れた。
高田寛が店に現れ、席についているのを見て、ハナはパニックになり、慌てて店を飛び出した。その際、コートを忘れてしまった。
ル・ソベールに灯りがともっているのを見て、ハナは中へ入った。キッチンのテーブルには、ハナのためのバースデーケーキが用意されていた。
だが、カウンターの向こうで健二が倒れていた——。
すぐに救急車を呼んだが……。
健二は亡くなり、「ル・ソベール」は休業した。
双子製菓の会長・藤原俊太郎は店の買収を決意、壮亮は「自分に経営を任せてほしい」と申し出た。
こうして、双子製菓によるル・ソベール買収と、壮亮の新代表就任が発表された。
ハナは健二の死で、親代わりも心の拠り所も失った。
彼女は、健二が勧めてくれたカウンセリングを受ける決心をし、本の著者である精神科医アイリーンにメールを送った。匿名でのカウンセリングを希望して。
新社長となった壮亮は、社員たちに挨拶し、営業再開に向けて協力を求めた。双子製菓の社員で従兄弟の藤原孝も同行していた。
「心こめて、よろしくお願いします」と、健二が毎朝言っていた挨拶をした。
壮亮は匿名ショコラティエに「至急、対面で打ち合わせをお願いしたい」とメールを送った。
だがその場で、スタッフたちにこう告げた。
「打ち合わせの時、レシピを受け取ったら契約を解除する。外注のチョコはやめ、店内で安全に生産する」と。素性の知れない相手とは契約を続けられない、それが壮亮の考えだった。
ハナは勇気を出して、ル・ソベールを訪ねた。
ちょうどその日は、ホールマネージャーの山岡さん(通称ママ)の最終勤務日。スタッフたちは、ママが壮亮に解雇されたと憤っていた。
ハナは、自分が匿名ショコラティエだと名乗ろうとしたが、スタッフ募集に応募してきたと勘違いされ、壮亮の面接を受けることになった。
「ここのチョコレートを一万個は食べました。心がつらいとき、いつもここのチョコに救われたんです」
そう言って帰ろうとするハナに、壮亮は言った。
「合格です。すぐに働ける人が必要なんです。幸せな心で頑張ってください」
孝がハナを社員たちに紹介しようとした瞬間、ハナは人の視線に耐えられずパニックを起こし、社長室へ逃げ込んだ。
「無理です……」と言って向かってくるハナに、後ずさりする壮亮、、、その拍子にサイトテーブルにつまずき、倒れかけた彼の手をハナが掴み、二人は一緒に倒れた。
第1話 感 想
まず、”レインボーバレット”というチョコレートのパッケージが、とてもきれいで可愛くて、見てるだけで心が躍ります。
そのレインボーパレットの最後に、匿名のショコラティエの作るシンプルな「Pure Kenji」が並ぶ。光沢のある滑らかなチョコレートが、美しく映えますね。
ハナ役のハン・ヒョジュさんは、本当に可憐で、日本語もとても自然。彼女の雰囲気が、この役にぴったりだなと思います。
藤原壮亮を演じる小栗旬さんの、真面目で実直な雰囲気もいい感じです。
「人にまったく触れられない」って、実生活で大変ですよね。幼い時のつらいトラウマを抱えているようです。
第2話 ゆずトリュフ
ハナは剣道の防具をつけ顔を隠して、アイリーンのビデオカウンセリングを受けた。
「視線恐怖症の私にとって、母を亡くしてからの日本での生活は、緊張の連続だった。しかしある日、車にひかれそうになった私を一人の男性が助けてくれた。人生の恩人と出会って、剣道を始めて気が晴れた」と。その男性は、高田寛だった。
「そして最近、母以外に顔を見ることができた男性が一人いる、でも全然タイプじゃなかった」とハナは言った。
一方、壮亮もアイリーンのカウンセリングで、「ぶつかっても症状が出なかった女性がいた。でも、まったくタイプじゃなかった」と話した。アイリーンはその女性を、“ミラクルタッチ”と名付けた。
ハナはホールで働き始めた。
お客様から、“レインボーパレット”の復活の要望が多いが、まだ目処は立っていない。
そんなある日、「くまゆず」の社長が店に怒鳴り込んできた。ホールマネージャーのママが辞めたことに激怒し、取引停止を宣言した。
“くまゆず”のゆずジャムは、健二が数ある業者の中から特別に選んだものだった。
ハナが、お客さまに質問され、ゆずトリュフの美味しさについて話していた。「秘訣はこのゆずジャム、ゆず特有の苦味を、岩塩でうまく消している」と。
それを聞いていた壮亮は、ハナに、くまゆずへの同行を頼んだ。
手を怪我してる壮亮は、運転ができず、友人の高田寛に運転を頼んだ。ハナは急に機嫌がよくなった。
「交渉がうまくいったら、代わりに握手してくれないか。手が使えないから」と壮亮は彼女に頼んだ。
“くまゆず”に着くと、社長は不在だった。二人は待つように言われ、部屋に案内された。ここは温泉宿でもある。
寛に、「アイリーンが酔って大騒ぎしている」と店からの電話があり、彼はタクシーで戻った。
だいぶ待って、やっと社長が戻ってきた。
彼は二人に豚肉を焼き、韓国風の夕食を振る舞い始めたが、突然、深く頭を下げた、「すまんかった」と。
彼はママに会いに行き、真相を聞いたのだ。
彼女は、糖尿病網膜症を発症し、治療に専念するため実家のある長野に戻ったのだ。壮亮は退職金から治療費まで負担し、大学病院の名医まで紹介していた。
「ママちゃんのために、ここまでしてくださって……本当にありがとうございます」と、社長は再び深く頭を下げた。
そのとき、焼いていた肉の油が壮亮のシャツに飛んだ。彼は立ち上がってトイレに逃げ込んだ。
ハナが彼からの電話を受けて、シャツを持ってきたが、それは新しいシャツじゃなかった。ハナは旅館の浴衣を差し出した。
浴衣姿で戻ってきた壮亮に、社長は笑顔で言った。
「お湯を入れ替えておきました。食事のあと、ゆっくり温泉に入ってください」と。
湯船には、たっぷりのゆずが浮かんでいた。
「ママさんが辞めた理由、どうして言ってくれなかったんですか?」とハナが、女湯から聞いた。
「ご本人が、誰にも知られたくないとおっしゃっていたから」と壮亮。
「ママさん、きっと感謝してますよ。……誰にでも秘密はあります。私にもありますから」
その言葉に、ハッとした壮亮は携帯を取り出し、メールを送った。
ハナの携帯に通知音が鳴った。
匿名のショコラティエ様
考えが変わりました。ぜひこのままのお取引をお願いします。レインボーパレットを復活させたいです。明日の朝の納品からお願いします。
ハナは、明日の朝からの納品に、「え〜っ!」と大きな声を上げた。
帰り際、ゆずジャムを車に積み込み、社長が差し出した手をハナが代わりに握った。
車の中で、壮亮はハナに「どうして人の目を避けるんですか?」と聞いた。「秘密です」とハナ。
「じゃあ、どうして僕の目は見られるの?」そう言って、二人はじっと視線を合わせた。
到着後、車を降りたハナに、壮亮は、「今日はありがとう、その意味で握手を」と言った。
ハナが手を差し出し、壮亮もおそるおそる手を出し、握手した。
壮亮の脳裏に、幼い頃、病院にいた兄と交わした握手がよみがえった。彼の目に涙がにじんだ。
「泣いてるんですか?涙って、こんなに一瞬でこみ上げるんだ、初めて見た」と驚くハナ。その彼女の目にも涙がにじんだ。
ハナが帰る後ろ姿を見ながら、壮亮は左手で、ハナと握手した右手を触って言った、”あったかいな~”と。
第2話 感想
エピソードのサブタイトルは、レインボーパレットのチョコレートの名前が付けられているようですね。
壮亮さん、人情味のある人です!ママが退職した理由は、彼女の希望で秘密にしていました。それで誤解されていたのですが。真相を知った「くまゆず」の社長、熱い!情に生き情に死ぬ人だから、これからは壮亮の強い味方ですね。
誰にも事情があるというハナのことばで、匿名のショコラティエに、今まで通りの契約でとすぐにメールするのもすばらしい。
壮亮さんの潔癖症は、日常生活を送るの相当大変そうです。
でもハナと握手できて、人の手の温もりを思い出すことができて、ほんとよかった😊
第3話 わさびアンソワ
レインボーパレットが復活して、注文を受けたハナは、朝一番にPure Kenjiをル・ソベールに届けた。
そして、ホール係として出社した。
藤原孝が壮亮に、わさびチョコに対するクレームが多数きている、単品の売れ行きも悪い、本社から生産中止を言い渡されたと伝えた。
壮亮は、ショコラティエたちに、改善の余地を聞き、変える意思がないのなら、中止するしかないと言った。
壮亮は、匿名のショコラティエに、わさびチョコレートの問題点とリニューアルに関して相談メールを送った。
ハナは、すぐに返信した。
ご相談、感謝します。わさびのような個性の強い材料は、絶妙なバランスで使用すると最高の味が出せます(これは健二が言ってたこと)。リニューアルで提案したいことは、味わう順番を変えること。まず舌が辛さを感じたあとに、甘いチョコレートが包んでくれるとより甘く感じらるのです。
壮亮は、返信内容に満足した。
ハナは、改良”わさびアンソワ”を作って、翌朝、Pure Kenjiと一緒にル・ソベールに届けた。丁寧なイラストと説明も添えて。
ショコラティエとスタッフ全員が、届けられた”わさびアンソワ”の味見した。全員、美味しいと満足した。
早速、明日から新しい”わさびアンソワ”で進めることに決まった。
その日はお祝いで、全員、”BRUSH”に飲みに行った。
ハナにカラオケの順番が回ってきた。高田寛がピアノ演奏してくれると言ったので、思い切って前に出て、”上を向いて歩こう”を歌った。
そして、「実は私が、、、」と話し始めたが、全員の視線を感じてパニックを起こしそうになった。壮亮が後方から、「こっちを見ろ」と言って前に来た。
ハナは雨の中、泣きながら帰って行ったが、壮亮は心配で傘をさして追いかけてきた。
彼は、「視線が怖いんですか?もしかして、あなたも私だけ大丈夫なんですか?私は人に触れることができない、でもハナさんだけが大丈夫なんです」と言って、彼女の手を持って傘を渡した。そして雨の中を戻ったが、「無理だ、濡れたくない」と言って傘を取り返した。
壮亮は、店に戻ってシャツを着替えた。ハナが彼を心配して追いかけてきた。
ハナは、「大きなことは望んでいません。ただ好きな人と顔を見ながら、笑いあえたり泣きあえたりできたらいいなと」と言った。
壮亮も「僕もできないことだらけで。友達とふざけたり、肩組んだりハイタッチしたり、握手だってしたかった。僕は人を汚いと思ってはいません。ただ、人に対して自分が汚いんだと思って」と言った。
子供の頃、無菌室に入院している兄の病室に入って、兄におやつをあげた。その後、兄が亡くなったことが、彼のトラウマになっていた。
ハナが、「私たちは助け合えるのでは?練習してみましょう」と提案した。そして、「練習」と言って握手して、お互いを見つめ合った、そしてハグした。
壮亮は、幼稚園の帰り、迎えにきてくれた兄に抱きついた温かみを思い出した。
ハナは、子供の頃、母に抱かれて笑い合ったことを思い出した。
藤原俊太等は、孝に、壮亮の行動を逐一報告させていた。彼は、すべてのレシピを盗み、用がなくなったら、ル・ソベールは潰すつもりだった。
第3話 感 想
ハナ、わさびアンソワの改良レシピをすぐに考えて、作れるなんて、天才ですね。作り方のイラストもすごく可愛いです。
ハナと壮亮が、お互いにしたいことを話す場面は辛かったです。特に壮亮が、「人に対して自分が汚いんだと思ってる」と言ったのが、すごくかわいそうでした。子供の頃に兄を亡くしてから、ずっと、そんな思いで生きてきたのかと思うと、ずっと辛かっただろうなと。
ハナは壮亮は、見つめることと触れることの練習を始めました。二人がハグして、子供の時の幸せな時間を思い出すシーンにはジーンとなりました。
第4話 ボンボンさくら
ハナは寛から電話をもらった。
「バレンタインデーの日に忘れたコートを預かっています。水曜日の12時、シエルロでランチはどうですか?」と。彼女は了承の返事をしたものの、”行けるわけがない”と落ち込んだ。
その後、壮亮からも電話があった。
「練習、どうですか?よかったらランチをシエルロで」と。
ハナは承諾した、水曜日の寛とのランチの“練習”のために。
2人はレストランで向かい合った。
練習中、ハナにじっと見つめられた壮亮は汗をかき、何度もシャツを着替える羽目になった。
そこへ、父・俊太郎が取引先の人と現れた。肩を叩かれた壮亮は、思わず飛び上がった。
結局、レストランでの食事は2人にはハードルが高すぎた。ハンバーグを買って、車の中で食べた。
壮亮のもとに、『ガブリエルブロッサム』から手紙が届いた。
「どうしても弊社のリキュールが必要なら、新代表とお会いしたい」と。
社長の宝仙尚子は厳しい人で、取引先を決めるときは面接のように質問を重ね、答えられないと契約してもらえないという。
ショコラティエたちは「どうしてもガブリエルブロッサムのリキュールが必要」と口を揃えた。
壮亮はハナに、「明日、ガブリエルブロッサムに一緒に来てほしい」とメールしたが、断られた。
その日は、ハナにとって寛との大切な“デートの日”なのだ。
水曜日。
レストランのあるビルの前で、ハナは壮亮に車から声をかけられた。
「一緒に行きましょう」
後ろからの車が詰まっていて、ハナは乗るしかなかった。
壮亮は、どうしてもひとりで行きたくなかった、彼女が必要だったのだ。
けれどハナも、二度も寛をすっぽかすわけにはいかない。
彼女はアイリーン先生にビデオ通話で頼んだ。
「代わりにコートを受け取ってきてください」と。
アイリーンはシエルロに行ったが、待っていたのが寛だと知ると逃げ出した。
ハナは、アイリーンから「ごめんなさい、行けなくなってしまった」とメールを受け取り、どうしようと嘆いた。寛からの電話も、出ることができなかった。
車は桜並木の下を走り抜け、やがて『ガブリエルブロッサム』に到着した。
立派な日本家屋だった。
案内されて待っていると、現れたのは宝仙清美。
「母は2年ほど前に亡くなりました」と言った。
「遺言が2つありました。ひとつは、取引先の社長が交代したら必ず呼び寄せること。もうひとつは、自分の死を3年間は口外するなというもの。3年経っても何も言われなければ、私たちの“勝ち”だと。でも、もう疲れてしまって。ガブリエルブロッサムは畳もうと思っています。偉大な創業者の跡を継ぐのは、勝ちのない戦いのようで……」
ハナは静かに言った。
「最近 変えた味も素晴らしいと思います。おそらく香味の抽出方法を変えられたのでは?私は、今のほうが風味と深みがあって、美味しいと思います」
清美は驚き、「本当にそう思いますか」と尋ねた。
「はい。酸味がきいていて……春が来たような味がします」
ハナの答えに、清美の目に涙がにじんだ。
「嬉しいです。母の味を変えることに罪悪感がありました。でも もう少し、自分のやり方で頑張ってみようと思います」
その後、3人は庭に出た。ハナは花の香りを嗅いでいた。
「その花、何だと思います?」と清美に問われ、壮亮は言葉に詰まった。
代わりにハナが答えた。
清美は語った。
子どもの頃、母が黒岩健二に同じ質問をしたことがあった。
そのとき清美は小さな声で、“あ・ん・ず”と教え、健二が正解を言って「合格」になった。
お礼に健二がくれたのが、ル・ソベールのチョコレート。
「健二先生からもらったチョコレートの味は、一生忘れられません」と清美は微笑んだ。
「子どもにとって、チョコレートのプレゼントは最高の幸せです」とハナが言った。
ハナが正解したことで、今回も“合格”となった。
帰りの車の中で、壮亮はハナにお礼を言った。
ハナは「嬉しいけど、私の恋はめちゃくちゃ」とつぶやいた。
壮亮は、「ハナさんには、相手に本心を伝える力がある。だから、自信を持って告白すれば、きっと思いは伝わりますよ」と励ました。
次のグループカウンセリングのあと、壮亮は、”招き猫”さんにチョコレートを渡した。前回、「最近主人を亡くしたので、孫たちがよく遊びに来てくれるが、接し方がわからない」と話していたから。
「子どもたちにとって、チョコレートのプレゼントは最高の幸せです。次にお孫さんたちが来られたとき、ぜひ召し上がってください。ル・ソベールのチョコレートです」。
「ル・ソベール? 子どもたちにとっても、私にとっても、きっと素晴らしいプレゼントになると思います」と、招き猫さんは喜んだ。
翌朝、ハナは剣道の稽古に行った。
相手は“高田”と書かれた道着を着ていた。
稽古が終わると、ハナは言った。
「何度も約束を破ってすみません。あの、私は——」
そして頭から防具を外し、しかし目をつぶり、
「ずっと、ずっと、あなたのことが好きだったんです」と告白した。
しかし、相手は走って逃げてしまった。寛ではなく、壮亮だったから——。
第4話 感 想
第4話でいちばん心に残ったのは、ハナがガブリエルブロッサムの清美さんに、「最近、味を変えていますよね」と気づいたことを伝える場面でした。
ハナは、「今の味のほうがもっとおいしいと思う」と言い、その理由も丁寧に話しました。
創業者の重圧に押しつぶされそうになっていた二代目の清美さんにとって、それは何よりも励まされる言葉でした。
壮亮もまた、ハナの味覚の鋭さとチョコレートへの愛情に、きっと感銘を受けているはずです。
彼はまだ、ハナがショコラティエだとは知らないのですが。
そして最後——。
ハナ、勇気を出して告白したのに、その相手がまさかの壮亮だったとは……。
第5話 スペシャルオランジット
その日、ル・ソベールにやって来た女性客・杉山礼子さんは、「30年前のオランジェットを作ってもらえないか」とお願いした。
「子どもの頃、姉が買ってくれた”オランジェット”が本当に美味しかったんです。闘病中の姉に、もう一度あの味を食べさせてあげたい。時間があまり残されてないから」と。
壮亮たちは、30年前にそのチョコレートを作っていたショコラティエを探すことに。
見つかったのは、当時の職人・三枝律子さん。連絡を受けた三枝さんは、老人ホームから電車に乗ってすぐにル・ソベールへ駆けつけた。
オランジェットをひと口食べた三枝さんは、「何かが違う」と指摘。
今使っているのは阿波の和三盆だが、当時は讃岐の和三盆だったことを思い出した。
すぐに仕入れ先に連絡を取り、昔と同じ讃岐の和三盆を手に入れると、厨房ではショコラティエ全員が総出で作業を始めた。
三枝さんの指示で、ハナも手伝うことに、嬉しくてたまらないようす。
完成したチョコレートを礼子さんに味見してもらったが、「少し違うような気がする」とのことだった。
壮亮とハナが電車で三枝さんを送って行った。
三枝さんは、「久しぶりにチョコレートを作って、20歳くらい若返った気分だった」と喜んだ。
そして、「あなたのお父さん、よく来てたわよ。大切な息子に手作りチョコを食べさせたいって、たくさん買っていったの」と話した。
しかし壮亮は、父はそのチョコを兄のために買っていたと知っていた。
体が弱く、食欲のなかった兄が好きだったオランジェット。ある日、その兄が「これ、あげる」と自分にもくれた、壮亮は、「それが本当においしくて」とハナに話した。
そこへ三枝さんが、「思い出したわ。子どものためのスペシャルオランジェット。あなたのお父さんのおかげで生まれた特別なレシピ」と告げた。
生クリームの代わりに豆乳を使い、鉄分とビタミンCを一緒に摂れるよう工夫されていた——子どもの体を思って作られたチョコレートだった。
壮亮とハナは、そうして作られたスペシャルオランジェットを礼子さんの元に届けた。
礼子さんはベッドの姉に「食べて」と言った。姉は「おいしい。全く同じ、いえ、もっとおいしい」と笑顔を見せた。
その夜、壮亮は父の家を訪れ、テーブルの上にスペシャルオランジェットをそっと置いて帰った。
父は数日前に検査を受けたばかりだった。
ハナは寛の忘れ物の竹刀を届けに“BRUSH”へ向ったが、2階の明かりの下で、男女が抱き合う姿を見てしまった。
壮亮が後ろから目を覆い、「見なくていい」と言った。
2階から降りてきたアイリーンは、ハナが “ミラクルタッチ”だと気づいた。寛も降りてきた。
壮亮は「そう、ミラクルタッチ。今、俺がすごく気になっている人」と2人に言った。
第5話 感 想
ル・ソベールに来た杉山礼子さんが、子供の頃に食べた”オランジェット”を作ってほしいとお願いしたことから、話が広がっていきました。
当時のショコラティエ・三枝さんのすごくサバサバした人柄がとても魅力的でした。
彼女が壮亮に語った「あなたのお父さんのおかげで、子どものための“スペシャルオランジェット”が生まれたのよ」という言葉。そのチョコレートが、壮亮や兄、そして父にとっても特別な存在だった――その繋がりが描かれるストーリーが本当に素敵でした。
いつも壮亮の側にはハナがいて、「チョコレートはもらう人もプレゼントする人も幸せだから、社長はいい弟でした」言ってあげる言葉にも愛がありましたね。
第6話 トゥーウェイコンフィズリー
壮亮はハナに、彼女が間違って自分に告白したと伝えた。
「先ほど言ったことは本当です。ハナさんに関心があります……いや、あなたは私の従業員ですから」と、慌てて言い訳をしながら、竹刀を手に帰っていった。
アイリーンは寛に打ち明けた。
「私の母は恋愛依存で、自分を愛せない人で、私のことも愛さなかった。母は私の前から去った。私は死ぬ気で勉強して、男のためには生きないと決めた。私、いい人間じゃない。あなたはもっといい人に出会って」
寛はその言葉を真に受けず、「週末の予定は?」と尋ねた。
アイリーンは「学会で泊まりで長野に行く」と答えた。
壮亮はスタッフたちに提案した。
「長野ワインとラベンダーがシンボルの“トゥーウェイ コンフィズリー”、これが最善なのか確かめたい。長野のワイナリーに社員旅行に行きましょう」
社員たちは歓声を上げた。
専門的なソムリエも同行することになり、〈BRUSH〉の寛に声がかかった。寛は”長野”と聞き、参加を決めた。
ラベンダー畑のベンチに座ってる寛の隣に、ハナが腰を下ろした。
「ヒロさんに謝らなくちゃいけないことがあります。シエルロを2回もすっぽかしてしまって」
寛は初めて、健二先生から頼まれた相手がハナだったと知った。
寛は、ハナと壮亮が付き合っていると思い込み「お似合いですよ」と言うが、ハナは首を振った。
「私、片思いしてる人がいます。片思い専門なんです」
寛が「どんなに好きでも、相手が負担を感じていたら諦めた方がいいと思いますか?」と尋ねると、
ハナは「誰かを好きになったら、その人の気持ちまで大切にして好きになるんだと思います」と答えた。
長野ワイナリーでは、ぶどう畑を案内されたあと、ワインの試飲。
「ラベルがラベンダーの香りで、ワインの味とラベンダーの香りを同時に楽しめるワイン」と寛が説明した。
ハナは、“トゥーウェイ”が「香りと味」、「鼻と舌」という2つの意味だと気づいた。
全員がバスでホテルに向かったが、寛の誤解で、ハナと壮亮の2人だけ取り残された。
ル・ソベールの社員たちが宿泊ホテルに到着。
ロビーで寛は、偶然カンファレンスに来ていたアイリーンの姿を見つけた。
壮亮は「行きたい場所がある」とハナを誘った。
連れて行かれた場所は、ハナの携帯の待ち受けと同じ風景だった。
壮亮は偶然その写真を見たのだった。
ハナは驚いて話し始めた。
「この写真はお父さんが撮ったものなんです。お父さんは旅が多くて、あまり一緒にいられなかったけど、誕生日にはいろんな国からチョコレートを送ってくれました。だから、いつかチョコレートを作る人になりたいと思ったんです」
壮亮は、「父親は、子どもに気持ちを伝えるのにチョコレートを使うんですね。うちの父もそうでした」と言った。
「チョコレートはやっぱり“サラン”です。好きな人をもっと幸せにしたいっていう気持ち。サラン?」とハナは言った。
寛はアイリーンを誘い、ラベンダー畑の丘でアイスクリームを食べた。
昼間のデートを楽しみたかった寛だったが、アイリーンは突然その場を立ち去った。
彼女は、普通のカップルのように振る舞うことができなかった。
寛は宿泊せず一人で東京に戻った。
翌日、壮亮は帰京前に従業員たちを“ある場所”へ案内した。そこは、ママさんの家だった。
再会の喜びで皆が抱き合う中、ママさんは笑顔で言った。
「社長のおかげで最高の治療を受けさせてもらってます。でも、来年はこのきれいな景色を見られないかもしれない。だから今見られることが幸せなんです。みんなの顔を見られて、本当に良かった」
そして、ハナにそっと言った。
「あなたが匿名のショコラティエだって、知ってたわ。本心を伝えたら、きっとみんなわかってくれる」
ル・ソベールに戻ると、ショコラティエたちは早速 “トゥーウェイ コンフィズリー”の改良版を完成させた。壮亮は「いい、味も香りも完璧だ」と満足した。
双子製菓の会長は、壮亮に、「ル・ソベールの原材料もレシピも、ほとんど把握できたようだな。これ以上得るものがなければ店は潰す。ル・ソベールのチョコレートは、今後コンビニで“双子製菓”の名で売る」と冷たく言った。
ハナは〈BRUSH〉へコートを受け取りに行った。
しかし、寛は酔っていて、ハナをアイリーンと勘違いした。
彼女の手を握り、「独りでいたくない、一緒にいてください、あの時みたいに」とつぶやき、ハナにもたれかかってキスをした。
壮亮が店に来て、二人の姿を見て、店を出て行った、、。
第6話 感 想
壮亮がハナに好意を抱いていることが、かなり明らかになってきました。
一方で、ハナの心はまだ寛に向いているようです。
寛がハナに“片思い”の相談をしていた場面で、ハナの言った
「誰かを好きになったら、その人の気持ちまで大切にして好きになるんだと思います」
という言葉が、とても印象的でした。ハナさんはいつも名言を言いますね❤️
また、壮亮がハナを、彼女の携帯の待ち受けと同じ風景の場所に連れていったシーンも素敵でした。
ハナも壮亮も、子どもの頃、チョコレートを通じて父の愛を感じていたのですね。
ハナが、世界各地から父が送ってくれるチョコレートを心待ちにしていたことから、ショコラティエを志す夢を持ったという流れにも心が温まりました。
「チョコレートはやっぱり“サラン”です。好きな人をもっと幸せにしたいっていう気持ち」、これも、ハナさんの名言でしたね。
壮亮がル・ソベールのスタッフたちを“ママさん”の長野の家に連れて行き、再会を果たした場面にも感動しました。壮亮は、最高の社長だと思います。
第7話 ピュアケンジ
壮亮は会長に、「ル・ソベールにもう一度チャンスをください。ワールドショコラティエマスターズで優勝し、世界最高のチョコレートであることを証明します。そして双子製薬にも利益をもたらします」と直訴した。
彼はショコラティエたちに、「大会にはル・ソベールを象徴する“ピュアケンジ”で出場する」と宣言、しかし、そのためには“匿名のショコラティエ”の協力が欠かせない。
ハナは自分がその本人であることを言い出せず、「匿名のショコラティエに連絡できると思います」と チーフに言った。
彼女は、匿名のショコラティエに“ライブでレシピを教えてもらう”という設定にして、マスク・サングラス・ヘルメットで顔を隠した自分の写真を用意した。
ライブ配信では、ハナがレシピを口頭で伝える形をとり、チーフの元美たちが実際にピュアケンジを作り上げた。
ライブは成功したかに見えたが、孝が「ハナのWi-Fiがどこにも繋がっていない」と気づき、真実を見抜いてしまった、「ハナが匿名のショコラティエだ」と——。
みんなの驚きと動揺の視線に耐えきれず、ハナはル・ソベールから逃げ出してしまった。
家に戻ったハナは、壮亮の「ル・ソベールを守るためには今回の大会で勝たなくてはならない」という言葉を思い出す。
そして、健二が話していた“コイタ共和国のバニス農園のカカオ”が必要だ思った。
壮亮は、匿名のショコラティエ抜きで出場する覚悟を決めていたが、チーフの元美が「ル・ソベールのためには、ハナさんのピュアケンジが必要です」と説得する。
ハナはみんなに謝罪と感謝の手紙を残していた。
「騙すつもりはありませんでした。小さい頃から視線恐怖症という心の病気で、人前に出られませんでした。でも皆さんと出会って一緒に働いて、もう一つの家族ができたような気がしました。本当にありがとうございました。一生忘れません。」
壮亮はハナの部屋を訪れ、彼女が毎日ひとりで”ピュアケンジ”を作っていた作業場を見た。
別の部屋にカカオの本があり、“コイタ共和国バニス農園”のページが開かれていた。
そこは、かつて健二が“Godsend”という幻のカカオを見つけた場所だった。
寛はアイリーンを呼び出し「好きな人がいるんです」と言った。
母が父親のDVを受けてアルコール依存症になり、自分を置いて去ってしまった過去を語りながら、
「その人を見ると母を思い出す。きれいで心の美しい人でした。僕も壊れているのかもしれない。でも、これからはちゃんと未来を選びたい。もう終わりにしましょう」と言って、紙袋に入れたコートを返した。
壮亮は寛に航空券を渡し、「ハナさんはカカオを探しにコイタ共和国に行った。お前が連れてこい」と告げ、「この間、2人がキスしているのを見た」と続けた。
酔った寛がアイリーンと間違えてハナにキスしようとした時のことだが、実際は、ハナが止めてキスはしていなかった。寛が目覚めると、ハナは「ここで事故に遭いそうになったとき、寛さんに助けてもらって…その時から、好きでした」と言って去ろうとした。だが寛は、「僕じゃないと思います、ハナさんを助けたの」と言った。
ハナを助けたのは、”高田”と名前が入った剣道着を届けに行く途中だった壮亮だった。
寛は壮亮に、「ハナさんが好きなのは、ずっと前から壮亮」と言った。
その頃ハナは、幻の“Godsend”を求めてコイタ共和国にたどり着いていた。
だが現地で悪い男たちに絡まれていた。危機一髪で、壮亮が救い出した。
壮亮は改めて、「ワールドショコラティエマスターズにル・ソベールの代表として出てほしい」と頼んだ。
だがハナは「自分が出たら台無しにしてしまうかもしれない。だから、幻のカカオ、Godsendを見つけに来ました」と言った。
「奇跡を見つけにきたようなもんだ」という壮亮に、ハナは「奇跡は起きるから奇跡って言うのではないでしょうか?」と返した。
そんな二人に奇跡が起き、彼らはバニス農園を訪れ、オーナーの女性と出会うことができた。
彼女は健二を覚えていて、懐かしそうに話してくれた。
「実は、Godsendは傷んだ実だった。でも健二さんは食べられる部分だけ分けてくれたら買うと言ってくれた。それが奇跡でした。そして後日、彼からチョコレートが届いたのです。自分たちが育てたカカオで作られたチョコレートを食べたのは初めて、みんな、人生最高の味だと泣きました。健二さんは、私たちの仕事に誇りを持たせてくれたのです」。
彼女は、健二が送ってくれたチョコレートパッケージを見せた。
**「Le Chocolat du Bonheur(幸せのチョコレート)」**と書かれていた。
農園を後にした二人、壮亮は、「ちょっと問題がある傷んだ実が神からの贈り物だったなんて、それこそ奇跡だ」と言った。
「ちょっと問題があるけれど、こんな私でも大丈夫なら、、出ます!」とハナ。
「ハナさんの視線の先には、いつも俺がいるから」と壮亮。
そして彼はハナの手を取り、「これは、サラン」と言った。
一方その頃、東京では藤原孝が双子製菓の株を買い集め、経営権を奪おうとしていた。
それを聞いた会長の俊太郎会長は、自宅で倒れてしまった、、、。
第7話 感 想
とうとう、ハナが“匿名のショコラティエ”だとバレてしまいました。
壮亮はハナなしで大会に挑もうとしましたが、チョコラティエたちが「ル・ソベールにはハナさんが必要」と声をあげたのが胸を打ちました。ハナの謝罪と感謝の手紙も、本当に温かかったです。
そして彼女は、“幻のカカオGodsend”を探しにコイタ共和国へ。
若い女性が無防備で危険な国へ行く——これって、韓国ドラマのあるあるですね(笑)。
また、ハナを交通事故から助けたのが寛ではなく壮亮だったという真実に、なるほどって思いました。
彼女は人の顔が見られないから、“剣道着の名前”だけで寛と勘違いしてしまった。また、壮亮は、彼女を助けた後、彼女に触れたのに平気だったことに自分でも??でした(笑)。
「奇跡は起きるから奇跡っていうんだ」とか、
「ちょっと問題がある傷んだ実が神の贈り物だった」とか、7話もいいセリフがたくさんありました。人もみんな、ちょっと問題があるのが、神様の贈り物なのでしょう。
バニス農園の女性の言葉もすごく温かったです。健二先生の心が、ここでも生きていました。
”ピュアケンジ”という名が、深く響く回でした。
第8話(最終回)幸せのチョコレート
ハナは、壮亮から「サラン」と言われ、戸惑った。
そして、「サラン、男性が女性に簡単に言ってはダメです。サラン禁止です」と、生真面目にたしなめた。
その直後、壮亮のもとに日本から電話が入り、父・俊太郎が倒れたと知らされた。彼は急ぎ日本へ戻った。
俊太郎の容体を受け、壮亮は緊急に役員を招集し、今後の方針を説明していた。
そこへ従兄弟の藤原孝が現れ、「双葉製菓を守るために、俊太郎代表取締役と壮亮取締役の解任を株主総会で求めるつもりです」と宣言した。
今月30日に臨時株主総会が開かれることが決まった。
ハナはサングラスをかけ、緊張しながら“ル・ソベール”のドアを開けた。
元美をはじめショコラティエたちがサングラス姿で「おかえり!」と笑顔で迎えた。
ハナの日常が戻ってきた。
壮亮はハナに、「大会には行けないかもしれない。同じ日の同じ時間に臨時株主総会が重なってしまった」と告げた。
ハナは「大丈夫です。会社を守ることの方が大事です」と答えた。
壮亮は株の50%を確保するため、関係者に協力を求めた。
「くまゆず」社長、「ガブリエルブロッサム」宝仙清美社長、「長野ワイナリー」社長、「エイダキャピタルCEO」杉山礼子氏らが、壮亮のためにル・ソベールの株を購入してくれた。
株主の一人・黒岩文子(持株1.25%)は、まだ孝についていなかった。彼女の支持が鍵を握っていた。
ワールドショコラティエマスターズ当日。
ハナの控室に元美たちがやってきて、「ル・ソベール イ・ハナ」と刺繍の入った白いコックコートをプレゼントしてくれた。
ハナはその白衣に袖を通し、会場へ。いよいよ大会が始まった。
一方、壮亮は株主総会の会場にいた。ル・ソベールに縁のある人たちも集まっていた。
壮亮は株主の前で語り始めた。
「最高のチョコレートを届けるとはどういうことなのか、私が気づいたことをお話しします。
ル・ソベールが築いた歴史と伝統、変化、そして人とのご縁を通じて、チョコレートの作り手たちの幸せも重要なのだとようやく理解しました。チョコレート作りに関わった全ての人への敬意を込めた思いです。チョコレートの役割は、日々をほんのちょっとだけ幸せにしてくれるものだと私は思います。
ル・ソベールを通して、チョコレート 一つで幸せになった人たちとたくさんに出会いました。
それは奇跡です。そんな奇跡を私と双葉製菓で夢見てもらえませんか」。
会場から温かい拍手が起きた。
続けて壮亮は、「ル・ソベールのショコラティエが、今まさに世界に最高のチョコレートを披露しようとしています。私にもできることがあると気づきました。これにて失礼します」と言って会場を後にした。
株主からの質疑が始まり、一人の女性が手を挙げた。
「黒岩文子と申します。夫は元ル・ソベール代表の黒岩健二です。夫を亡くしてから深刻な精神疾患に悩まされました。勇気を出して外に出たとき、私を慰めてくれたのは、チョコレートをくれた藤原壮亮さんでした。私は現・藤原壮亮社を全面的に支持します。」
会場は大きな拍手に包まれた。
大会では審査員が各ショコラティエの作品を審査していた。
いよいよハナの番、しかし彼女は人の視線が怖くて、うまく話せなかった。
その時、会場の一番後ろに壮亮の姿が見えた。
彼が大きく手を振り、「僕を見て」と合図した。
ハナは落ち着きを取り戻し、話し始めた。
「私はチョコレートに救われた人間です。チョコレートを作っている時間が、私の生きる力でした。
今頑張っている誰かの力になりたくて、このチョコレートを作りました。
このチョコレートが皆さんの幸せになりますように」
会場から温かい拍手が沸き起こった。
そしてハナは見事優勝、トロフィーをチーフの元美に手渡し、壮亮を探しに走った。
彼を見つけ、胸に飛び込み、二人はキスを交わした。
株主総会では壮亮が再び選任された。
彼は孝に「これからはツートップでやっていかないか」と声をかけた。
壮亮は病院にいる父・俊太郎を見舞った。
俊太郎は目を覚まし、「大丈夫だ」と言った。
「こんな時でも、俺はお前に触れてやることができない」と呟く父の右手を、壮亮は、ちょっと躊躇した後、力強く握りしめた。
大会を終えたハナはル・ソベールの前に立ち、健二に初めてここへ連れてこられた日のことを思い出した。
「“ル・ソベール”とは救世主という意味だよ。誰かの人生がつらい時、少しでも甘さを届けられたら、それで十分だ」と健二は話してくれた。
ハナは正式にル・ソベールの厨房で働き始めた。
壮亮は双葉製菓のCEOに復帰し、ル・ソベールの新社長には元美が就任した。
そして、壮亮とハナの結婚式が行われた。俊太郎のたっての願いだったから。
ウェディングドレス姿のハナを見て、壮亮は「本当に綺麗だ」と言った。
式には二人にゆかりのある人々が集まり、海外にいたアイリーンも帰国して参列した。
彼女は寛の隣に座り、「ここから始めよう」と手を差し出した。
ハナは入場の途中で立ち止まり、緊張で足が止まってしまった。
壮亮が駆け寄り、「大丈夫?」「無理」と言う彼女の手を握ると、そのまま二人で会場を飛び出した。
後ろから「おめでとう!」という声と拍手が沸き起こった。
アイリーンのグループカウンセリングが始まった。
今期から新しいカウンセラー・安藤先生が参加。
そして、少し遅れて、韓国人の男性が一人 入ってきた。
ーー完ーー
『匿名の恋人たち』全話 視聴した感想
一言で言うと、とてもいいドラマだったなぁと思います。
このドラマで、私は、”チョコレート”という材代を使って、”仕事とは何か?”と言うことを教えていただいた気がします。
”チョコレート”で人に幸せを届ける人たち、ショコラティエだけではなくて、チョコレート作りの過程に関わったすべての人たちの「いいチョコレートを届けたい」という思いが、1つ1つのチョコレートに込められている、その事が心に響きました。
「チョコレートの役割は、人々にほんのちょっとの幸せを届ける事だと思う」と壮亮が株主総会で話しました。でもそれは、チョコレート作りに限らず、全ての仕事に言えることだと思いました。
”人々の役に立ち、人々を幸せにする”、それが仕事だと改めて理解できました。
”レインボー・パレット”というネーミングが秀逸で、1つ1つのチョコレートに込められた思いやエピソードが、本当に良かったです。
もちろん、このドラマは、”人に触れることができない”藤原壮亮と、”視線恐症”のイ・ハナ、この2人の不器用な恋愛が中心だったのですが、この2人の間に”チョコレート”という”愛”の形があったことが、お互いの思いが通じた大きな要素だった気がします。
最終回で、壮亮が父の手を握るシーンがありました。淡々としたシーンでしたが、壮亮だけでなく、父も長年の苦しみから解放された感動的なシーンでした。
アイリーンと寛、この二人も心に傷を持った人たちです。そのために恋愛ができなかったけれど、最終回では前に進む姿が描かれました。
アイリーンのグループカウンセリングは、どんな人も、大なり小なり、心の病を抱えているというなのだと思います。
大きな事件が起きるわけではなく、復讐も嫉妬も暴力もなく、登場人物たちは、概ねいい人たち(最後の孝の造反も大したことなかったです)。 ”普通”のドラマのように見せながら、すごくよく練られたすばらしい脚本だったと思います。
主演の小栗旬さんとハン・ヒョジュさんのケミも爽やかでした。特に、ハン・ヒョジュさんの可憐さには、どんな人も魅了されてしまうのではないでしょうか?
健二先生役の奥田瑛二さん、双子製菓会長役の佐藤浩一さん、この二人の俳優さんの存在感も大きかったと思います。
気軽に見られる、心温まる上質のドラマでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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