『私たちのブルース』 18話~20話(最終回)までのあらすじと感想【オクドンとドンソク 1, 2, 3】*ネタバレあり

私たちのブルース、いよいよ大詰め最終章です。最後は、母と息子の物語。末期ガンで余命わずかな母オクドン、その母を「おばさん」と呼ぶ息子ドンソク、この親子にどんな歴史があり、どんな結末が待っているのでしょうか。

*ネタバレあり

14話から17話までのあらすじは以下でまとめています。

第18話 オクドンとドンソク1

オクドンは、朝からたくさんの布団の整理をしながら、ドンソクに電話するが出ない。

ウニがオクドンに牛肉スープを持ってきた。オクドンの電話に出ないドンソクに電話した。

「なぜ母親の電話に出ないの。お母さんはガンなの。それも末期よ。後悔しないためにもすぐ戻りなさい」と言ったが、「後悔しようと思う」とドンソクは言って切った。

ドンソクは、ソナの会社の前に来て電話したが、そこに、彼女の息子と元夫が来た。3人で仲睦まじく話し歩いてるのを見て、ヨリが戻ったのかと思った。クラクッションを鳴らし、ソナに合図をしながらも、そこから去リ、フェリーに乗った。

済州島についてから、ホシク、イングォン、チュニさんからも、オクドンに電話するようにメールが届いた。ソナからは「電話してね」と。


オクドンの家に、チュニさんとウニたちが来て、キムチ作りを手伝っていた。祭祀の準備らしい。

オクドンが、チュニに「また見たいわ」と言うと「お金を取るよ」とお金をもらって、嬉しそうに携帯を見せた。

ウンギが「おばあちゃん、私が正しかったでしょ、パパは生きてるよ」と言っている。意識がもどり、ベッドに横たわってウンギに話しかけるマンスと幸せそうなヘソンの動画だった。


ドンソクは、市場の裏で、ホシクとイングォンに会い、話があるとプルンに連れて行かれた。

ウニもジョンジュンもいた。

ウニは「母親と一緒に木浦に行って。私が仕事を休んで行くと言ったが断られた、文字を読めないのに1人は危険よ」とドンソクに頼んだ。ホシクとイングォンは「母がガンで余命わずかなのに、親孝行しろ」と意見した。

オクドンが、ドンソクのお姉さんが死んだ後、1ヶ月も経たないうちに他の男と一緒になったことをみんなは知っていて、ドンソクの気持ちを理解しているつもりだと言った。

「でも、もう時間がない。許してあげて」と。

「許せない」とドンソク。「理解しているだと、いったい何を?自分の母親が父さんの友達の愛人になった。自分の見てる前で養父の部屋に入って行き、一緒に寝るのを見たことがあると?」

ドンソクは怒って出て行った。じっと黙っていたジョンジュンが、ドンソクのトラックを運転して、海岸の通りを走り、建てている家まで送った。

ソナから電話があった。

「母親が末期のガン、何とも思わないが、養父の祭祀に行こうと言うんだ、俺が嫌がるのを知ってて。父が海で死に、3年後に海に潜っていた姉が死んだ。母しかいない俺に、養父の愛人になる時、ばあさんは、”今後は、ジョンウとジョンチェルの母が母親だから、私をおばさんと呼んで”と言ったんだ。”できない”と答えると、俺をじっと見つめたあと、引っぱたいた、何十発も、口が切れるまで。それ以降、俺はその約束をきっちり守って、おばさんと呼んでやってる。初めて他人に話したよ」とドンソクは言った。「ジョンウとジョンチェルに殴られた時も、目をパチクリさせて見てるだけだった」と。

ソナは「今でも父親に聞きたい。なぜ娘を残して車ごと海に突っ込んだのか。でも、もう聞けない。ドンソクさんはまだ間に合う。”俺を愛していたか?””殴られた時なぜ守ってくれなかった?”全部聞くべきよ」と言った。

「あの男とやり直すのか?」と聞くドンソクに「いいえ、私はドンソクさんと一緒になりたい」とソナは言った。


翌日、市場で、オクドン、チュニ、ウニたちがイングォンの店でお昼を食べていた。ヒョンも手伝っていた。ドンソクも来たが、ウニたちは無視した。

ドンソクは「祭祀はいつ?」と独り言のように聞いた。

「明日の午後よ」とチュニが代わりに答えた。「早朝の船で行くわ」というオクドン「朝4時に迎えに来て」とチュニが言うと、ドンソクは全員分を払って「じゃあ、4時に迎えに行く」と言って去った。

みんなが喜んでいると、ヒョンに連絡。「ヨンジュが授業中に病院に運ばれた」と。ヒョン、ホシク、イングォンの3人は大慌てで病院に向かった。

夕方、ウニが病院に行くと、病院の前で、ホシク、イングォンが手を繋いで深刻な表情で座っていた。「陣痛が始まってからもう10時間だ」と。「それってただの陣痛でしょ?」とウニが聞くと頷く二人。ウニは「驚かせないで。母子が危険かと心臓が止まりそうだったわ。無事産まれてほしい」とホシクの手を握り、3人で並んで祈った。

ヨンジュは、もうすぐ産まれそうと分娩室へ。ご家族は中へ?と呼ばれ、ホシクが行こうとしたが止められ、ヒョンが入った。


翌朝、オクドンは、夜中から部屋の拭き掃除をしていた。たくさんの布団が片付けられて、大きな風呂敷に包まれ置かれていた。

マス目の大きなノートに、字を書いて、練習していた。”カ” ”ナ” ”タ”

ドンソクは4時に迎えに来た。「おばさん、迎えに来た」と声をかけても出てこない。

「待ってて」オンドクはトイレの掃除をしていた。

「部屋にある荷物を、裏の畑まで運んで。後でウニが処理してくれる」と言われ、荷物を運んだ。部屋には、ヨンヒさんの描いた”オクドンとドンソク”の絵があった。

やっとトラックに乗ったと思ったら、「庭の台の袋を持ってきて。ワラビと干し大根はジョンチェルの好物なの」と。持ってきて運転席の横に置いたら「後ろに。チュニさんも一緒に行くわ、マンスに会いに」と言われ荷台に。

「力がないから、ドアを閉めて」と言いドンソクにドアを閉めさせ、チュニを迎えたら、次は市場へ行けと。

ドンソクは、大量のお土産、ウニ水産と書いてある大きな箱2つ、あと1箱、もう1箱を運び車の荷台へ。

フェリーに間に合わないかもと、すごーいスピードで運転したが、トラックが済州港に到着すると同時に、ポォーとフェリーは出港して行った、、。

「コーヒーを」とチュニ、「朝ごはんを食べましょ」オンドク、二人を睨むドンソク、、、。

感 想

ハハハハハ、、、ドンソクさん、やはり母は強し、太刀打ちできないですね。

言われた通り、朝4時に迎えに行った後の、お母さんのマイペースさ、チュニさんも行くって知らないし、チュニさんはチュニさんで、大量のお土産だし、二人の大女優、最強です。

フェリーに乗り遅れても、動じないし(笑)

こんな豪華俳優さんたちのコントを見せてもらえるとは、、、韓国ドラマすごいですね。


オクドンさんは、どんな人生を送ってきた人なのでしょ?

ドンソクへの仕打ち(ソナに語ったこと)は相当だと思うけれど、それは、ドンソクから見た母で、オクドンさんには、やむにやまれる事情があったのかもしれません。

しかし「ワラビと干し大根はジョンチェルの好物なの」と、ドンソクの大嫌いな養父の息子の好物を覚えていて、それを彼に取りに行かせる、こういう所に、今までの母とドンソクの関係が垣間見えた気がしました。

来週、オンドクさんの人生が語れるでしょう。


ウンギの100個の月の願いが届いて、マンスさんは生きていて回復に向かっているようで、よかったです。

若い二人に子供も生まれるようですね。ホシク、イングォン、ウニさんたちが可愛い❤️

ジョンジュンは、ほんとにいい男!

第19話 オクドンとドンソク 2

フェリーに乗り遅れ、ドンソクは、2人を喫茶店と食堂に案内し、自分は、キンパを食べると歩いて行ったが、オクドンは、ドンソクの後をついて行った。


ヨンオクはジョンジュンの両親に会いに行くことになったが、気が重い。姉のヨンヒのこと、両親がいないことを両親がどう思っているか心配していた。

待っている彼の両親に罪悪感を感じ、ヨンオクは行くことにした。しかし「失礼な態度なら我慢しない、すぐに帰る」と言った。ジョンジュンは「3回は我慢を。罪悪感がなくなるから」と言った。

両親の家に着いたが、二人は、にこりともしない。1回、とヨンオク。食事の用意をしている母親に話しかけても、返事もしない、2回目。

食事のテーブルに着くと、母親がヨンオクのお茶碗に肉を乗せて「一人でお姉さんの世話は大変だったでしょう。苦労したわね」と涙ぐみ、、ヨンオクは驚いた。ジョンジュンは笑顔になった。父も「ヨンオクに遠慮しないで食べるように」と優しく言った。


ドンソクたちは、次のフェリーで、木浦に向かった。

ドンソクは、母に「したいことは全て言え。なんでもしてやる。その後に言いたいことを言ってやる」と言った。

木浦に着いた。まず、マンスが入院している病院にチュニを送った。ウンギとお嫁さんが笑顔で待っていた。オクドンもマンスを見舞い、回復を心から喜んだ。

オクドンは、チュニに「マンスとウンギに」とお金を出した。チュニは断ったが、上着のポケットに入れ「幸せに。あなたはゆっくり来て」と言った。


ドンソクとオクドンは、養父の祭祀が行われる息子のマンションに来た。ドンソクは家には入らないつもりだったが、駐車場で、養父の長男のジョンウに会ってしまい、昔、殴られた恨みが蘇り、部屋までついて行った。

長男は、商売に失敗して、養父の財産を全て失くしてしまっていた。しかし彼は、父親が亡くなったのは、ドンソクが家のお金を持ち逃げしようとしたから、、と彼に喧嘩を吹きかけた「この泥棒野郎め、貧乏で哀れだから引き取ってやったのに」と侮辱した。

オクドンが怒った。「あんたの父親は、あんたが船と土地を売り事業を潰したから死んだ。私は寝たきりのあんたの母親を15年、父親を10年以上女中のように世話した。その対価を払って。この子は、なんの罪もないのに兄弟に殴られ、母親は愛人で女中扱いされた。なぜこの子を悪くいうの」と泣きながらなじった。ドンソクは、母を連れて家を出た。

母親の忘れ物を取りに戻り「許してくれ。俺とおばさんに会うのは今日が最後だから」と謝り「葬儀にも来るな。おばさんは末期癌で余命わずかだ」と言って帰った。

オクドンは疲れ切って、体調も悪かったが、病院には行かないと言った。ドンソクは、旅館にオクドンを連れて行き、寝床の用意をしてあげた。

自分はトラックで寝ると部屋を出て行く時に「なぜ俺には一度も謝らないんだ?悪いことして傷つけたと分かってる?」と初めて訊いた。母は、キョトンとして「私があんたに謝ることがある?」と言ったのだ、、、。

ドンソクは、黙って、ドアをキツく閉めて行った。


翌日、養父の下の息子、ジョンチェルの肉屋に行った。

ジョンチェルは、ドンソクのトラックの荷台にお土産の肉を入れ、助手席に座った。兄のジョンウから、おばさんが末期ガンだと聞いて心配していた。「葬儀の際は連絡しろ」と言ったが、ドンソクは「お前らには言わない」と。「あの頃はお前も俺も幼くて苦しい時期だった」とジョンチェルは言って、車から降りた。


オクドンは「”マダン里”に行きたい、故郷だから」と言った。ドンソクは初めて知った。村公民館で聞いたが、”マダン里”は貯水池になり、村はなくなっていた。それでも、母は行きたいと言った。その前に食事をしようとしたが、食堂の店主の態度にドンソクが怒り、散々な気分に。

「道端の犬にはニコニコし、人には悪いことをしてなくてもペコペコするのに、俺に謝ることはないって?なぜ謝らない。マダン里に行こう。それで最後だ。そっちの願いを聞くのは。次は俺の番だ、期待してろ」とドンソクは、トラックを走らせた。

感 想

19話は、淡々とした回でした。

18話で、ドンソクが、母親を”養父の愛人”になったと言ったのは、ドンソクを連れ養父の家に行った時、養父の妻はまだ存命だったが、寝たきりだった。その妻をオクドンさんが15年も世話をしたということだったのですね(合ってますか?)。

オクドンさん一家、夫を海で亡くした後、海女の娘が生計を立てていたのでしょう。その娘も海で亡くしたオクドンさんには、まだ幼い(中学生?)のドンソクを養うためには、養父の家に行くしかなかったのでしょう。

「あの頃はお前も俺も幼くて苦しい時期だった」と義兄のジョンチェルはドンソクに言いました。義兄たちにとっても、実母が病気で寝たきりのところに、別の母親(オクドンさん)が来た、というのは、複雑で受け入れ難いことだった、その苛立ちが、ドンソクへの暴力になったのかもしれません。


後半は、ほとんど、オクドンさんとドンソクの2人だけで、噛み合わない会話か、沈黙。

「なぜ謝らないのか?」とドンソクが聞いても「謝ることがある?」と訊いてくるオンドクさん。

もし、オンドクさんが「悪かったわ」と涙を流して謝れば、ドンソクは納得するのか?

オンドクさん、祭祀で、ジョンウに声を荒立てたが、それ以外は、淡々としています。

子犬に微笑み、マンスの怪我に涙を流し、彼の回復を心から喜ぶけれど、ドンソクに対しては淡々と、何を考えてるのか分からないような表情です。

それなのに、オンドクさんを見ているだけで、なぜ、こんなに涙がこぼれるのか?

キム・へジャさんの存在感に圧倒されます。その表情、声の出し方、仕草、歩き方、、全てに。

幼いドンソクを叩き「これから私をおばさんと呼ぶように」と言った時から、母は、相当の覚悟をして生きてきたに違いない、説明したり言い訳したり、謝りもしないと。簡単に言葉にできないような思い、時間、、全てを抱えて生きてきたはずだから。

ドンソクがオクドンさんを許しても許さなくても、オクドンさんが謝っても謝らなくても、二人にとって、今、一緒に時間を過ごしていることが全てなのでは? オクドンさんが亡くなった後で、ドンソクにとっては、この時間こそが宝になるのではないかと思います。

明日、どんな最終回が用意されているのでしょう。

第20話 オクドンとドンソク 3

ドンソクとオクドンは、山道を歩き ”マダン里”が沈んでいる貯水池が見える場所まで来た。オクドンは、祭祀用の黒い靴を履いて山道を歩き、足をくじいた。ドンソクが、生まれた家の場所を聞いたが、沈んでしまっていて、母には分からなかった。

ドンソクは、母に、両親や家族のこと聞いた。両親は母が6歳と7歳の時に続けて亡くなり、兄も19歳で(オクドンが14歳)亡くなったことを知った。姉かおばさんがいたが、その人も3年前に亡くなっていた。

帰り際、ドンソクは、母が足を挫いていることに気づいた。雨が降りそうになり、彼は母をおぶって山を降りた、軽くなってしまった母を。

大雨になった。トラックの中でドンソクは「俺が殴られている時、心が痛んだ?母さんを苦しめようとわざと殴られた。心配した?興味なかった?男が好きか?俺が養うと言った、学校を辞めて本土に行きカネを稼ぐと。俺には母さんしかいなかった。”母さんと呼ぶな” あの時、たった1人の母親まで奪われたんだ。なのに申し訳ないと思わないのか。なぜ謝らない」と、長年、心の奥深くに秘めていた苦しみを吐露して、母を責めた。

「愚かな女は、謝り方なんか知らないわ。愚か者だから、海に入るのが怖いと娘を海女にさせて殺した。生きるために愛人にまでなった。息子にご飯を食べさせ学校に行かせれば十分だと勘違いしてたの。息子が殴られても知らん振りなんて、私は最低な母親よ。私が死んでも葬式なんかしないで。泣く必要もないわ。お父さんとドンイがいる海に投げ捨てなさい」とオンドクは言い胸が苦しくなってせた。ドンソクは泣きながら聞いた。

病院に連れて行くと、すぐに入院させるように指示されたが、オンドクは、済州に帰ると言い、ドンソクは、母の言う通りにした。

ドンソクは、トラックの荷台から母に合うサイズの運動靴を出して、それを履かせた。

母の望みで、ジャージャー麺を食べに行った。お父さんとたまに食べてた、と母は言った。そして、母の願いで、父親と知り合った食堂に連れて行った。

母はここで、13か14歳の時から、ご飯を炊いて皿洗いをしていたのだ。

夜のフェリーで済州に戻った。

フェリーの中で、オンドクは「”ギョン”はどう書くの?」と聞いた。ドンソクは、窓を息で曇らせて字を書いた。その文字の前に、母は、”オ” “マン” と書いた。”オ・マンギョン、母さんの名前” と母は言った。ジンソクは、母の父親の名前を聞いて書き、父の名前、姉の名前、自分の名前、母の”カク・オクドン”、それから母が知りたい”済州”、”木浦”、、、次々と書いていった。母は目を輝かせて、ドンソクが窓に書く字を見ていた。

白鹿譚ペンノクタム”、済州島にある山、オクドンは行ったことがなかった。「雪に覆われた白鹿譚は最高だ。世界で一番美しい」とジンソクが言うと、母は行きたいと言った。

翌日、ドンソクは、山に母を連れて行った。中腹の駐車場に車を止め、目覚めた母は、雪景色の美しさに驚いた。白鹿譚は、もっと綺麗だ、とドンソクが言うと、連れて行ってと母は言った。

4-5時間は歩いて登る、無理だと言っても、母の意思は堅い。ドンソクは、母に登山用の靴を履かせて、一緒に雪道を歩いた。

「生まれ変わりたい?」と聞くドンソクに、「生まれ変わりたいわ。お金持ちの家に生まれて、字を学びたい。子供たちを働かせることなく、勉強させるわ」と母は言った。

座って休んだ。

「俺が優しい息子だったら、また母親になる?」と聞くと、うん、と母は頷いた。

「姉さんは海が好きだった。自分の意思で海女になった。母さんは反対してた、俺が覚えてる。人生で最高の瞬間は?」とドンソクが聞くと

今よ。あんたと山にいる今が最高に幸せよ」と母は言った。

ジンソクは、これ以上は母が雪山を歩くのは無理と思い、下山してきたカップルに母を下山させるように頼み、雪に覆われた頂上の写真を撮るため、一人で登った。

しかし頂上近くに”悪天候のため、登頂禁止します”の看板があった。ドンソクは、そこで、雪に覆われた風景を360度の動画に撮り、音声も入れた。

下山して、麓のカフェで待っていた母をトラックに乗せ、動画を見せた。母は、一心不乱に、何度も繰り返しその動画を見た。

ドンソクは「俺が建てた家を見に行きたいか」と母を誘った。家には、ソナと息子のヨルがいた。ドンソクは、母に「俺が好きな人」と小さな声で言った。母は丁寧にお辞儀をした。

ドンソクとヨルは家の前のブランコに乗り、ソナは玄関でオクドンにお茶を出して話した。

ドンソクは、本当に心の優しい子よ」とオクドンが言うと「知ってます」とヨナ。

本当に情が深くて優しい子なの」とオクドンはもう一度言って、優しい笑顔でヨナを見た。その母の顔をドンソクが見ていた。

母を家に送った。ドンソクは「泊まろうか?怖くない?」と聞いたが、「何を怖がるの。ドンイの所に行ける」と母は言った。ドンソクは「明日の朝はみそチゲを作ってくれ。母さんのはうまい。それ以外はまずい」と言って帰った。

翌朝、オンドクは、みそチゲを作り、いつもの通り、子犬たちや猫にご飯を与えた。

ドンソクが家に来ると、みそチゲの朝食がテーブルに載っていた。

オンドクは横になっていた。一口食べて「うまい。食べに来たぞ、起きて」と声をかけた。

返事がない、、顔を母の顔に近づけると、、、息をしていなかった。

ドンソクは、母の手を握り、顔を触り、、母を抱きしめて、、、泣いた。

”愛してるともすまないとも言わず、母親は逝ってしまった。俺の好きなみそチゲを作って天国へと旅立った。母親を抱いて泣きながら、やっと気づいた。今まで母親を憎んていたのではなく、仲直りしたかったことを。俺はこうして母親を抱きしめながら、心が納得するまでずっと泣きたかったんだ”


1ヶ月後、”プルン里 対 オサン里 親善運動会” が開かれた。

いつもの済州島の仲間達の所に、ハンスやミラン、チュニの孫のウンギ、ヨンソクの姉、ヨンヒ、そして、ヨナもやってきた。

感 想

母オクドンさんと、息子ドンソクの最後の時間が丁寧に描かれました。

母の生まれ故郷、貯水池の下に沈んでしまった”マダン里”、ドンソクは、初めて母の生い立ち、幼い時に両親と兄まで亡くしたことを知りました。学校に通えず、13、14歳から食堂でご飯炊きをして、そこで父と出会ったことも。

大雨のトラックの中で、ドンソクが、長年の思いをオクドンさんにぶつけた時、オクドンさんは「愚かな母親だった。泣く必要もない、葬儀はしないで、海に捨てて」と言いました、決して泣かずに。ドンソクは泣いて聞いていたのに、、、。

フェリーの中で、自分の母親の名前を窓ガラスに書いてもらって、父親、夫、娘、息子、、次々に名前を書いてもらう時の、オクドンさんの喜びで興奮する目、本当に良い場面でした。

”字が読めない”人生はどんなに苦難だっただろう、と思います。自分の名前、子供の名前さえ書けず、読めず、、。ドンソクに曇りガラスに書いてもらった字は、別世界に繋がっているように輝いていたのではないでしょうか?

そして、雪に覆われた白鹿譚(ペンノクタム)を見たいと一緒に登り、ドンソクが撮ってきたビデオを夢中になって見る、、、子供のように好奇心いっぱいの目をして。

ドンソクには、最後まで優しい笑顔を見せなかったけれど、ヨナに「ジンソクは本当に情の深い優しい子なの」と2回も言って、満面の笑顔を見せました。その母の顔をドンソクは見ました。

家に戻り、ドンソクが帰って行った後、眠る前のオクドンさんは笑顔だったような気がします。

朝起きて、ドンソクの好きなみそチゲを作って、いつもの通り、犬たちや猫たちにご飯をあげ、、部屋で横になって、逝きました、、。

ドンソクに見つけてもらえて、抱きしめられ、泣かれて、、オクドンさんの苦難の人生は、ドンソクと過ごした最後の時間で、たとえ数日だったとしても、報われたように思います。

ドンソクにとっても、オクドンさんと過ごせた最後の時間は、母からの最大の贈り物だったと。

キム・へジャさんの抑えた演技が胸に迫り、、、涙が止まらなかったです。

私たちのブルース、人生について、何が大切なのかをまた教えてもらいました。

最後までお読みいただきありがとうございました。


Drama
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